この記事では「一家を機杼す」について解説する。

端的に言えば一家を機杼すの意味は「一派を起こす」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国立大で国語学を学んだライターのタケルを呼んです。言葉の解説を得意としていて、大学時代はクイズサークルに所属していたので雑学にも詳しい。一緒に「一家を機杼す」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タケル

某国立大で日本語学を専攻。今思えば、日本語学か国文学をもっと究めて、一家を機杼するのも良かったのかもしれない。だが、私(ライター)は移り気で能力もないので、おそらく学者では活躍できなかっただろう。

「一家を機杼す」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「一家を機杼す」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「一家を機杼す」の意味は?

「一家を機杼す」には、次のような意味があります。

《「北史」祖瑩伝から》機(はた)織りでいろいろの柄(がら)を織り出すように、独自の言論や文章を編み出して一派を立てる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「一家(いっか)を機杼(きちょ)す」

何よりも、「杼」という漢字を普段見たことがないという人がほとんどでしょう。 画数の少ない、書き順にも困らないような漢字ですが、「杼」は漢検で現在1級の問題にされるほどの難しい漢字です。

一家を機杼す」は「いっかをきちょす」と読みます。「独自の言葉を編み出して一派を立てる」という意味の慣用句です。

「一家を機杼す」の語源は?

次に「一家を機杼す」の語源を確認しておきましょう。

5〜6世紀、中国は南北朝の時代でした。その南北朝のうちの北朝について書かれた歴史書が『北史』(ほくし)です。『北史』は全100巻で構成され、そのうちの『祖瑩伝』に「一家を機杼す」の記述があります。祖瑩(そえい)とは、その時代の学者であり、官僚でもあった人のことです。

「機杼」は「きちょ」または「きじょ」と読みます。「杼」(ひ、音読みが「チョ、ジョ」)は機織りで横糸を通す道具のことで、「機」と合わせた「機杼」は「機織りの道具」という意味の言葉です。その「機杼」は、のちに「機織りのように言葉を織り出す」という意味も派生しました。「一家を機杼す」の「機杼」はその意味です。つまり、「機を織るように言葉や文字を織り出して一派を立てる」というのが「一家を機杼す」という慣用句の意味となります。

\次のページで「「一家を機杼す」の使い方・例文」を解説!/

「一家を機杼す」の使い方・例文

「一家を機杼す」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.一家を機杼するほどの論文や小説を書きたいものだ。
2.弁が立つ彼の下には多くの若者が集まるようになり、いつしか一家を機杼するようになった。
3.初めて君と会ったときはまだ右も左も分からない若造だと思っていたが、今や一家を機杼して多くの仲間を抱え、次の選挙の有力候補になるなんて感慨深いものだな。

「一家を機杼す」は漢文をそのまま書き下しにしたものです。ゆえに旧来の文体であるため、現代では「一家を機杼する」や「一家を機杼した」などと形を変えて使われます。

「一家を機杼す」の類義語は?違いは?

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ところで、「一家を機杼す」の類義語は何でしょうか。違いとともに見ていきましょう。

「徒党を組む」

「一家を機杼す」の意味の一部である「一派を立てる」という部分を聞いて、「徒党を組む」(ととうをくむ)という言葉を連想する人もいるでしょう。辞書には「あることをなすために団結する」などと意味が記載されています。

しかし、「一家を機杼す」と「徒党を組む」とでは、使う場面が違うことに注意しなければなりません。「徒党を組む」という言葉は、良からぬことを企てている集団に対して使われます。もちろん「一家を機杼す」にはそういった意味合いはありません。ですので、「一家を機杼す」という慣用句を、危険分子や詐欺グループなどに使うのはそぐわないということになります。

\次のページで「「一家を機杼す」の対義語は?」を解説!/

「一家を機杼す」の対義語は?

さらに「一家を機杼す」の対義語も見てみましょう。

「袂を分かつ」「手を切る」

「一家を機杼す」の対義語として定義されていることわざや四字熟語などはありません。仮に最新鋭の電子辞書で検索してみても、正しい答えは表示されないでしょう。よって、反対の意味となる言葉を探す必要があります。

「一家を機杼す」とは「一派を立てる」という意味なので、その反対の意味は「一派を解散させる」といったものです。それを表す慣用句は、「袂(たもと)を分かつ」が適切でしょう。「袂を分かつ」には、「行動を共にした人と別れる、関係を断つ」といった意味があります。「手を切る」も「関係を断つ、縁を切る」などの意味があるので、やはり「一家を機杼す」の対義語にふさわしい慣用句です。

慣用句に限定しなければ、その他には「決別する」「絶縁する」「繋がりを断つ」などでも良いでしょう。「人間関係を解消させる」という意味の日本語は、ここでは紹介し切れないほど多く存在しています。

「一家を機杼す」の英訳は?

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では、「一家を機杼す」を英訳するとどうなるのでしょうか。

「form a sect」「form a sect」

残念ながら「一家を機杼す」の英訳に相当するフレーズはありません。よって、直訳するしかなさそうです。

「一家を機杼す」には、「一派を立てる」という意味があります。「一派」は「party」や「school」などとも訳せますが、「学派、宗派」などの意味もある「sect」を使うと良いでしょう。よって、「form a sect」や「form a sect」が「一家を機杼す」の英訳となります。

余談ではありますが、「機杼」の「杼」は機織りで横糸を通す道具であると語源の項目などでふれました。その英訳は、意外にも簡単に感じるかもしれません。「shuttle」(シャトル)といえば、シャトルバスやバドミントンのシャトルコックなどを連想するでしょう。しかし、もともとの意味は「織り物をするときに経(たて)糸の間に横糸を通す道具のこと」、つまり「杼」そのものです。

「一家を機杼す」を使いこなそう

この記事では「一家を機杼す」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「一家を機杼す」とは、「独自の言論や文章を編み出して一派を立てる」という意味の慣用句です。ある者の言動に賛同したものが集まって一つの勢力となる、といった意味合いとなります。しかし、その言動が良からぬものであったり、私利私欲に走るものであったりしてはいけません。いかがわしい交際や誤ったイズムなどのない、多くの人を正しい方向へと導いてくれる特別な人に「一家を機杼し」てもらいたいものです。

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【慣用句】「一家を機杼す」の意味や使い方は?例文や類語を雑学大好きwebライターがわかりやすく解説!

この記事では「一家を機杼す」について解説する。

端的に言えば一家を機杼すの意味は「一派を起こす」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国立大で国語学を学んだライターのタケルを呼んです。言葉の解説を得意としていて、大学時代はクイズサークルに所属していたので雑学にも詳しい。一緒に「一家を機杼す」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タケル

某国立大で日本語学を専攻。今思えば、日本語学か国文学をもっと究めて、一家を機杼するのも良かったのかもしれない。だが、私(ライター)は移り気で能力もないので、おそらく学者では活躍できなかっただろう。

「一家を機杼す」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「一家を機杼す」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「一家を機杼す」の意味は?

「一家を機杼す」には、次のような意味があります。

《「北史」祖瑩伝から》機(はた)織りでいろいろの柄(がら)を織り出すように、独自の言論や文章を編み出して一派を立てる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「一家(いっか)を機杼(きちょ)す」

何よりも、「杼」という漢字を普段見たことがないという人がほとんどでしょう。 画数の少ない、書き順にも困らないような漢字ですが、「杼」は漢検で現在1級の問題にされるほどの難しい漢字です。

一家を機杼す」は「いっかをきちょす」と読みます。「独自の言葉を編み出して一派を立てる」という意味の慣用句です。

「一家を機杼す」の語源は?

次に「一家を機杼す」の語源を確認しておきましょう。

5〜6世紀、中国は南北朝の時代でした。その南北朝のうちの北朝について書かれた歴史書が『北史』(ほくし)です。『北史』は全100巻で構成され、そのうちの『祖瑩伝』に「一家を機杼す」の記述があります。祖瑩(そえい)とは、その時代の学者であり、官僚でもあった人のことです。

「機杼」は「きちょ」または「きじょ」と読みます。「杼」(ひ、音読みが「チョ、ジョ」)は機織りで横糸を通す道具のことで、「機」と合わせた「機杼」は「機織りの道具」という意味の言葉です。その「機杼」は、のちに「機織りのように言葉を織り出す」という意味も派生しました。「一家を機杼す」の「機杼」はその意味です。つまり、「機を織るように言葉や文字を織り出して一派を立てる」というのが「一家を機杼す」という慣用句の意味となります。

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