
「一笑を買う」の使い方・例文
「一笑を買う」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
1.その甘い考えが一笑を買うことになる。
2.お高いレストランに縁がないのは分かるけど、マナーを知らないとお気に入りの女性からも一笑を買うぞ。
3.著名人が立候補するということで有権者からは彼に期待する声も聞かれたが、とても公約と呼べるような代物でない主張を繰り返すばかりで、挙句の果てには一笑を買う始末だ。
「一笑を買う」が「笑いものになる」という意味であることは前述しました。おもしろいことをして笑わせるのではありません。バカにされる、あるいは見下されるということです。
その「一笑を買う」という慣用句を文章で使う場合は、その原因となるものを前に述べることが多くなります。例文1を見てみましょう。「一笑を買うことになる」の前に「その甘い考えが」とあります。「一笑を買う」原因が「甘い考え(を持っていること)」ということです。
「失笑を買う」「顰蹙を買う」
「他人に笑われる」という意味の慣用句を「失笑を買う」だと思った人もいるのではないでしょうか。辞書にも「愚かな言動のために笑われる」などと意味が載っていますので、「一笑を買う」と「失笑を買う」はほぼ同じ意味だと言って良いでしょう。
あえて違いを挙げるとするならば、「一笑」と「失笑」の違いではないでしょうか。語源の項目でもふれましたが、「一笑」は「笑いぐさにすること」です。そして、「失笑」には「おかしさのあまり吹き出すこと」という本来の意味があります(「あきれる」という意味は誤用です)。よって、同じ「笑われること」でも、「失笑」のほうが笑われる度合いが大きいことになるでしょう。
同じ「買う」であれば、「顰蹙を買う」という慣用句も聞いたことがあるはずです。漢字で「顰蹙」と書けば思わずたじろぎそうですが、「ひんしゅく」という読み方を聞けば納得できるでしょう。その「顰蹙を買う」とは、「良識に反する言動をしてさげすまれる」といった意味となります。つまり、「一笑を買う」と「顰蹙を買う」はどちらも他人から軽蔑されるのですが、違いがあるとすれば笑われるかさげすまれるかになるということです。
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