この記事では「パンドラの箱」について解説する。

端的に言えばパンドラの箱の意味は「災いを引き起こすもの」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「パンドラの箱」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「パンドラの箱」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「パンドラの箱」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「パンドラの箱」の意味は?

「パンドラの箱」には、次のような意味があります。

ゼウスがパンドラに持たせた、あらゆる災いの詰まった箱(本来は壺)。彼女が地上に着いたとき好奇心から開けたところ、すべての災いが地上に飛び出したが、急いでふたをしたので希望だけが残ったという。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「パンドラの箱」

パンドラとは、ギリシャ神話に登場する女性の名前。「パンドラの箱」とはこの女性がゼウスに渡された箱のことを指します。災いが詰まったこの箱を開けてしまったことから、転じて“災いを引き起こすもの”“触れてはならないもの”のたとえとしても「パンドラの箱」は使われるようになりました。

現在でも、“良くないことを引き起こす”という比喩表現などで「パンドラの箱を開ける」といった言い回しが使われます。

「パンドラの箱」の語源は?

次に「パンドラの箱」の語源を確認しておきましょう。パンドラの箱は、ギリシャ神話が由来となっており、ギリシャ詩人のヘシオドスの著書『仕事と日』が、「パンドラの箱」について記されたもっとも古い書とされています。

ギリシャ神話において人間は、神プロメテウスにより火を使うことを教えられました。しかしこの火はプロメテウスが天界から盗んだものだったのです。盗んだ火を人に与えたことを知り、最高神であるゼウスは人類に罰を与えようと考えます。そこでゼウスは男性しかいなかった人間の世界に、鍛冶の神ヘファイトスに命じて人類最初の女性を作らせました。この女性の名前が「パンドラ」です。

パンドラは絶世の美女であり、ゼウスはプロメテウスの弟、エピメテウスの元に送り出しました。このときパンドラは神々からのみやげとして、ひとつの箱(本来は壺)を渡されていましたが、絶対に開けてはいけないと命じられます。しかしパンドラは好奇心に負けて箱を開けてしまい、箱からはあらゆる災いが飛び出してしまいました。パンドラはあわてて箱に蓋をし、箱には「希望」だけが残ったのです。

この神話が「パンドラの箱」となり、“触れてはならないもの”“災いの原因となるもの”のたとえとして使われるようになりました。

\次のページで「「パンドラの箱」の使い方・例文」を解説!/

「パンドラの箱」の使い方・例文

「パンドラの箱」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.うっかり同期が上司に振ってはいけない話をしてしまい、まさにパンドラの箱を開けた状況にヒヤヒヤしたよ。
2.どうにもパンドラの箱としか言えない案件を無理やり押し付けられ、とてもげんなりした。
3.今回の部長のミスはパンドラの箱とされ、誰もその話題に触れなくなるだろう。
4.その話題を今更持ち出しても、パンドラの箱を開けることにしかならないよ。

「パンドラの箱」とは“災いの元になるもの”をたとえる比喩表現。そのため“触れてはいけない話題”“リスクの大きなもの”のたとえとして使われます。用いる際は「パンドラの箱を開ける」「パンドラの箱を渡す」などという言い回しで、例文のようにビジネスでも日常でも用いることも可能です。

「パンドラの箱」の類義語は?違いは?

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続いて「パンドラの箱」の類義語を紹介します。

「禁忌」

「禁忌(きんき)」とは“してはいけないこと”を意味する言葉。タブーとも言われ、道徳や慣習的に禁止したり忌避されたりすることを指して使います。

“触れてはいけないもの”を意味する言葉として、「禁忌」も「パンドラの箱」の類義語と言えるでしょう。

\次のページで「「玉手箱」」を解説!/

「玉手箱」

「玉手箱(たまてばこ)」とは、おとぎ話の『浦島太郎』で登場する箱のことです。亀を助けたお礼に連れていかれた竜宮城で、乙姫から渡される土産のひとつに「玉手箱」が登場します。開けることでおじいさんになってしまう玉手箱は、“軽々しく開けてはいけないもの”のたとえとしても使われる言葉です。

「パンドラの箱」と同じように、“触れてはいけない”たとえにされる「玉手箱」は、類義語と言えるでしょう。

ただし「玉手箱」は、美しいものや珍しいものが多くある様子をたとえた比喩表現として使うこともあります。それぞれの言葉のニュアンスに応じて使い分けるようにしましょう。

「パンドラの箱」の対義語は?

パンドラの箱とは、ギリシャ神話に登場する物質のことで、そこから“災いのもと”とたとえられる言葉です。そのため、明確な対義語というものは存在しません。

言葉の持つ意味や類義語について、正確に抑えるようにしておきましょう。

「パンドラの箱」の英訳は?

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最後に「パンドラの箱」の英語訳についても確認しておきましょう。

「Pandora’s box」

「パンドラの箱」は英語で「Pandora's box」と訳されます。「Pandora」は人名のため頭文字は大文字、「box」は“箱”を意味する単語であり、ほぼ直訳です。

そもそもがギリシャ神話における「Pandora's box」を日本語に訳したものが「パンドラの箱」であるため、この英語表現そのままで意味は充分に伝わります。英語訳として覚えおきましょう。

「パンドラの箱」を使いこなそう

この記事では「パンドラの箱」の意味・使い方・類語などを説明しました。「パンドラの箱」は“触れてはいけないもの”に対して使われる表現です。神話のパンドラは好奇心に負けて開けてしまいましたが、私たちの生活でも似たような経験がある人もいるかもしれません。

うっかりした行動や言動、自分だけの好奇心で相手に不快な思いをさせてしまうようなことのないよう、改めて自分自身の発言や行動には気をつけたいものですね。

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「パンドラの箱」の意味や使い方は?例文や類語を元広告会社勤務ライターがわかりやすく解説!

この記事では「パンドラの箱」について解説する。

端的に言えばパンドラの箱の意味は「災いを引き起こすもの」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「パンドラの箱」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「パンドラの箱」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「パンドラの箱」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「パンドラの箱」の意味は?

「パンドラの箱」には、次のような意味があります。

ゼウスがパンドラに持たせた、あらゆる災いの詰まった箱(本来は壺)。彼女が地上に着いたとき好奇心から開けたところ、すべての災いが地上に飛び出したが、急いでふたをしたので希望だけが残ったという。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「パンドラの箱」

パンドラとは、ギリシャ神話に登場する女性の名前。「パンドラの箱」とはこの女性がゼウスに渡された箱のことを指します。災いが詰まったこの箱を開けてしまったことから、転じて“災いを引き起こすもの”“触れてはならないもの”のたとえとしても「パンドラの箱」は使われるようになりました。

現在でも、“良くないことを引き起こす”という比喩表現などで「パンドラの箱を開ける」といった言い回しが使われます。

「パンドラの箱」の語源は?

次に「パンドラの箱」の語源を確認しておきましょう。パンドラの箱は、ギリシャ神話が由来となっており、ギリシャ詩人のヘシオドスの著書『仕事と日』が、「パンドラの箱」について記されたもっとも古い書とされています。

ギリシャ神話において人間は、神プロメテウスにより火を使うことを教えられました。しかしこの火はプロメテウスが天界から盗んだものだったのです。盗んだ火を人に与えたことを知り、最高神であるゼウスは人類に罰を与えようと考えます。そこでゼウスは男性しかいなかった人間の世界に、鍛冶の神ヘファイトスに命じて人類最初の女性を作らせました。この女性の名前が「パンドラ」です。

パンドラは絶世の美女であり、ゼウスはプロメテウスの弟、エピメテウスの元に送り出しました。このときパンドラは神々からのみやげとして、ひとつの箱(本来は壺)を渡されていましたが、絶対に開けてはいけないと命じられます。しかしパンドラは好奇心に負けて箱を開けてしまい、箱からはあらゆる災いが飛び出してしまいました。パンドラはあわてて箱に蓋をし、箱には「希望」だけが残ったのです。

この神話が「パンドラの箱」となり、“触れてはならないもの”“災いの原因となるもの”のたとえとして使われるようになりました。

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