この記事では「看板に傷がつく」について解説する。

端的に言えば看板に傷がつくの意味は「築いてきた信用に汚点を残す」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好きで歴史好き、名古屋出身で6年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「看板に傷がつく」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/eastflower

今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な6年目のライター、eastflower。「看板に傷がつく」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。

「看板に傷がつく」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「看板に傷がつく」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「看板に傷がつく」の意味は?

まずは、「看板に傷がつく」の辞書の意味を見ていきましょう。ここでは、「看板」と「傷がつく」の意味についてご紹介します。

【看板】
1. 商店などで、宣伝のために屋号、扱う商品、うたい文句などを書いて人目につく所に掲げておく板状のもの。
2. 劇場・映画館などで、出し物・俳優名などを書いて入り口に掲げる板。
3. 世間に信用のある店の屋号。また、店の信用。
4. 人の注意や関心を引きつけるのに有効なもの。また、人気があり、主力となる人や商品
出典:デジタル大辞泉(小学館)「看板」

【傷が付く】
1. 人の経歴などに汚点を残す。不名誉、不面目になる。
出典: 日本国語大辞典(精選版) 「傷が付く」

「看板に傷がつく」と言った場合の「看板」(かんばん)とは、辞書の3番の意味である「世間に信用のある店の屋号。また、店の信用」の意味であり、「傷がつく」は、この場合、「経歴に不名誉な汚点を残す」という意味が当てはまります。「看板に傷がつく」全体で、「今までに築いてきた店などの信用に汚点を残す」という意味になるのです。

「看板に傷がつく」の語源は?

文献によると、「看板に傷がつく」の「看板」が店の「屋号」(やごう)を表示して街中で見られるようになったのは、室町時代の末期ごろからだと伝えられています。そして江戸時代になると商業が発達し、多くの店が看板を掲げるようになっていきました。ですから、「看板に傷がつく」という慣用句は、江戸時代に各店舗が看板をかかげ消費者から信用を獲得した以降にできたものなのかもしれませんね。

\次のページで「「看板に傷がつく」の使い方・例文」を解説!/

「看板に傷がつく」の使い方・例文

「看板に傷がつく」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1. 「うちの弟なんて3年も浪人して未だにどこの大学の医学部に入れないなんて情けない。名医の家の看板に傷がついちゃうわ。」

2. 「いくら不景気だからといって粉の質を下げるなんて和菓子屋としては言語道断だ。看板に傷がつくだけでなく、うわさはすぐに世間に伝わるものだぞ。」

名家や老舗(しにせ)と言われる名店では、伝統を守り、変わらぬ品質のものを提供することが使命のひとつと考えられていて、「看板に傷がつく」ことがないよう日夜、努力をし続けているのです。

「看板に傷がつく」の類義語は?違いは?

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それでは、「看板に傷がつく」の類義語を見ていきましょう。

「顔に泥を塗る」

「看板に傷がつく」が「長い間、築き上げてきた信用に汚点を残すほどの不名誉なできごとが起きる」ことですが、同様の意味で使われる慣用句のひとつに「顔に泥を塗る」(かおにどろをぬる)がありますね。「顔に泥を塗る」の場合の「顔」とは、「対面」や「名誉」あるいは「面目」(めんもく)のことで、「泥を塗る」は、「人、特に目上の人に恥をかかせることや面目を失わせること」の意味になります。「顔に泥を塗る」全体で、「対面や名誉を失わせること」の意味になるのです。

\次のページで「「看板に傷がつく」の対義語は?」を解説!/

「看板に傷がつく」の対義語は?

次に「看板に傷がつく」の対義語を見ていきましょう。

「名誉挽回」

「看板に傷がつく」とは、「人や店の信用に汚点を残す」ことでしたね。対義語にあたる「失った信用を取り戻す」という意味を持つ「名誉挽回」(めいよばんかい)という慣用句があります。「信用」を得ることには莫大な努力と時間を要しますが、「失った信用を取り戻す」ことにもさらなる労力と時間を要するものです。

「看板に傷がつく」の英訳は?

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次に「看板に傷がつく」の英訳を見ていきましょう。

「Credit is damaged」

「看板に傷がつく」を直訳すると、「The signboard is scratched」になりますが、この表現では、「看板に傷がつく」の背景にある意味である「世間の信用を失うような不名誉な結果になる」という意味が伝わらないかもしれませんね。重要な点は、話者の意図を伝えることですから、例えば、「Credit is damaged」と表現してみてはいかがでしょうか?

「Credit is damaged」の「Credit」(krɛdɪt)とは、「信用」や「信頼」という意味で、「damaged」(dæmʌdʒd)は、「名誉や対面を傷つける」という意味を持つ他動詞、「damage」の過去分詞形になります。「Credit is damaged」で、「信用を失う」という意味であり、「看板に傷がつく」の訳としては適切でしょう。他にも「diminish one's credibility」で「誰々の信用が消えうせる」「ruin the reputation」で「評価を台無しにする」などの表現も「看板に傷がつく」の意味を十分伝えられる表現になりますね。

「看板に傷がつく」を使いこなそう

この記事では「看板に傷がつく」の意味や使い方などを見てきました。「看板に傷がつく」は、「長い間をかけて築き上げてきた店などに対する世間の信用に汚点を残す」ことでしたね。長年の伝統や信用を守り続けることは大変なことです。時には汚点を残すような事件が起きることもあるかもしれません。では、「信用を失ったときどうすれば良いのでしょう?」信用や信頼を失ったことに深く悩み、苦しむかもしれませんね。でも、できることは、きちんと反省した後、再び立ち上がって一歩、一歩信用を回復できるように努力することしかないのではないでしょうか?生きる中で汚点を残してしまうことは何度か起こるかもしれませんが、そんなときは、早く立ち直りまた1からやり始めましょう。

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【慣用句】「看板に傷がつく」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「看板に傷がつく」について解説する。

端的に言えば看板に傷がつくの意味は「築いてきた信用に汚点を残す」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好きで歴史好き、名古屋出身で6年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「看板に傷がつく」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/eastflower

今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な6年目のライター、eastflower。「看板に傷がつく」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。

「看板に傷がつく」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「看板に傷がつく」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「看板に傷がつく」の意味は?

まずは、「看板に傷がつく」の辞書の意味を見ていきましょう。ここでは、「看板」と「傷がつく」の意味についてご紹介します。

【看板】
1. 商店などで、宣伝のために屋号、扱う商品、うたい文句などを書いて人目につく所に掲げておく板状のもの。
2. 劇場・映画館などで、出し物・俳優名などを書いて入り口に掲げる板。
3. 世間に信用のある店の屋号。また、店の信用。
4. 人の注意や関心を引きつけるのに有効なもの。また、人気があり、主力となる人や商品
出典:デジタル大辞泉(小学館)「看板」

【傷が付く】
1. 人の経歴などに汚点を残す。不名誉、不面目になる。
出典: 日本国語大辞典(精選版) 「傷が付く」

「看板に傷がつく」と言った場合の「看板」(かんばん)とは、辞書の3番の意味である「世間に信用のある店の屋号。また、店の信用」の意味であり、「傷がつく」は、この場合、「経歴に不名誉な汚点を残す」という意味が当てはまります。「看板に傷がつく」全体で、「今までに築いてきた店などの信用に汚点を残す」という意味になるのです。

「看板に傷がつく」の語源は?

文献によると、「看板に傷がつく」の「看板」が店の「屋号」(やごう)を表示して街中で見られるようになったのは、室町時代の末期ごろからだと伝えられています。そして江戸時代になると商業が発達し、多くの店が看板を掲げるようになっていきました。ですから、「看板に傷がつく」という慣用句は、江戸時代に各店舗が看板をかかげ消費者から信用を獲得した以降にできたものなのかもしれませんね。

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