
端的に言えば蚊の涙の意味は「きわめて少ない量」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
現役のオンライン塾講師でライターのななを呼んです。一緒に「蚊の涙」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/なな
現役のオンライン塾講師であり、現在はライターとしても活動している。作文の添削をする際にひたすら辞書を引いた経験から、正しい日本語について常に考えるようになった。日本語の奥深さを伝えたいという熱い思いをもっている。
「蚊の涙」の意味は?
「蚊の涙」には、次のような意味があります。
わずかな分量のたとえ。雀 (すずめ) の涙。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「蚊の涙」
「蚊の涙」は「かのなみだ」と読む慣用句で、「きわめて少ない量であること」のたとえです。蚊は夏ごろに私たちを悩ませる小さな昆虫。その小さな蚊が流す涙ほど少量であることを表しているのですね。
「蚊の涙」を使ったことわざに、「蚤の小便、蚊の涙」(のみのしょうべん、かのなみだ)があり、「蚊の涙」同様に「ごくわずかであること」をたとえています。
「蚊の涙」の使い方・例文
「蚊の涙」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
1.妻からは蚊の涙ほどの小遣いしかもらえないから、頻繁に飲みに行っているとお金がなくなってしまう。
2.新入社員の賞与は蚊の涙ほどだと知ってがっかりした。
3.収入を上げようと副業をしはじめたころは、蚊の涙ほどの儲けにしかならなかった。
1の例文では、夫にとって、妻から渡される小遣いがかなり少額であることを表しています。2番目の例文は、入社して初めてのボーナスが微々たるものだと知り、落胆してしまったという内容です。副業を始めたばかりの頃はかなり少ない儲けにしかならなかった、というのが最後の例文ですね。
「蚊の涙」は「少なくて役に立たない」というような、マイナスなニュアンスを含むといえるでしょう。
その1「雀の涙」
「雀の涙」(すずめのなみだ)は、日常でよく耳にするのではないでしょうか。「ごくわずかな量であること」のたとえとして用いられます。雀が流す涙かと思うくらい少しだ、ということですね。辞典におもしろい説明があったので紹介します。
もうちょっとほしいのだが現実にはわずかな分量(額)しか無くて、物の用に足りないこと。
出典:新明解国語辞典 第六版(三省堂)「雀の涙」
「雀の涙ほどの賞与だ」というと、「もう少しほしい」という気持ちも含めた表現であることが分かります。「蚊の涙」と同じように、単に「わずかな量」を表すだけでなく、「足りていない、役に立たない」という意味合いがあるといえるでしょう。
ちなみに「猫の額」(ねこのひたい)という言葉がありますが、こちらは「土地などの面積が非常に小さいこと」のたとえです。
その2「爪の垢ほど」
「爪の垢ほど」(つめのあかほど)も、「蚊の涙」の類語といえるでしょう。爪にたまる垢の量くらい「ごくわずかであること」という意味です。「大切に思う気持ちなんて、爪の垢ほどもない」など、大きさや量がはかれないものにも使えます。
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