この記事では「阿呆の一つ覚え」について解説する。

端的に言えば阿呆の一つ覚えの意味は「同じことを所構わず繰り返す」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

多くの学術書を読み、豊富な知識をもつハヤカワを呼んです。一緒に「阿呆の一つ覚え」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハヤカワ

学術書を中心に毎年100冊以上の本を読む、無類の本好き。人にさまざまな影響を与える言語、それ自体に強い興味をもち、言葉の細やかな表現にも並々ならないこだわりをもっている。

「阿呆の一つ覚え(あほうのひとつおぼえ)」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「阿呆の一つ覚え」の意味や語源・使い方を一覧で確認していきましょう。またその他「阿呆の一つ覚え」は分類としては日本の慣用句であるという点も抑えておきましょう。

「阿呆の一つ覚え」の意味は?

「阿呆の一つ覚え」というキーワードを辞典・辞書・事典、ネット上の無料データベースサービス「コトバンク」で用語検索してみると、次のような記載があります。

1.愚かな人間は、一つだけ聞き覚えたことを、どんな時にでも得意になって持ち出すこと。ばかの一つ覚え。
※世相(1946)〈織田作之助〉七「唯一所に沈潜することによって傷つくことから守らうとする走馬燈のやうな時の場所のめまぐるしい変化だけが、阿呆の一つ覚えの覘(ねら)ひであった」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「阿呆の一つ覚え」

「阿呆の一つ覚え」は愚かな人間は一つ覚えたことを、ところかまわず繰り返そうとする、といった考えから、そうした行動をあざけって使用する慣用句です。なにか一つのことを覚えると、それを試してみたくて仕方なく、覚えたことを何度も何度も得意げに繰り返す。

「阿呆の一つ覚え」はこうした様子を揶揄して使われています。「阿呆の一つ覚えみたいに」など、誰かの行動が、ことわざで表現されているような馬鹿みたいである、といった形で使われることが多いですね。また同様の意味で「馬鹿の一つ覚え」ということもあります。

「阿呆の一つ覚え」の語源は?

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次に「阿呆の一つ覚え」の語源・由来を確認しておきましょう。阿呆の一つ覚えは「阿呆」、「一つ覚え」という二種類の単語を組み合わせて生まれています。「阿呆」は愚かであることを指す単語です。また「一つ覚え」は、ひとつのことだけを忠実に覚えているということを指す言葉となっています。

阿呆の一つ覚えはこれら二つの単語を組み合わせて、愚かな人が一つのことだけを忠実に覚えて、そればかり繰り返そうとするという様子を揶揄する言葉となりました。「馬鹿の一つ覚え」についても同様に、馬鹿な人は同じことを繰り返すということを指しています。

\次のページで「「阿呆の一つ覚え」の使い方・例文」を解説!/

「阿呆の一つ覚え」の使い方・例文

「阿呆の一つ覚え」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のような場合に用いられます。例文から具体的に意味を捉えて、正しい場面で使うことができるようにしておきましょう。

1.うちの先生は阿呆の一つ覚えみたいに、毎回過去の偉人の言葉で叱ってくる。
2.阿呆の一つ覚えのように、似たような絵ばかり提出してくる。
3.あの人は阿呆の一つ覚えみたいに、毎回同じジョークを言ってくる。

「阿呆の一つ覚え」は例文のように、誰かがいつも同じ行動ばかりとっているという様子を揶揄して使います。状況が変わっても、自分の知っている知識を使いたくて仕方なく、毎回毎回同じ行動をとってしまう。阿呆の一つ覚えはこうした時折見かける、人のすこし変な行動を指した言葉となっています。

あざけりや揶揄、注意として使われることが多い言葉となっているため、実際に人から言われた時には振る舞いに気をつけていきましょう。また「馬鹿の一つ覚え」もまったく同じ状況で使われています。こちらもあわせて覚えておきましょう。

「阿呆の一つ覚え」の類義語は?違いは?

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続いて「阿呆の一つ覚え」の類義語・違いについて確認していきましょう。「阿呆の一つ覚え」の類義語をいくつかピックアップしました。関連するよく似た表現との違いを確認することで、「阿呆の一つ覚え」という言葉の機能をより深く理解することができます。

その1「判で押したよう」

「判で押したよう」はまったく同じことを繰り返し、少しの変化も見られない様子を表した単語です。はんこで押したように、毎回同じもの・同じ行動をとるといった表現となっており、「阿呆の一つ覚え」とよく似た意味を伝えることができます。阿呆の一つ覚えと違い、揶揄する意味はありません。

\次のページで「その2「型に嵌る(かたにはまる)」」を解説!/

その2「型に嵌る(かたにはまる)」

「型に嵌る」は、個性・独創性といったものがなく、ありふれたものになるという意味をもった慣用句です。いつも同じ行動・同じものしか出来ないという意味を表現することができ、同じ行動を繰り返すという「阿呆の一つ覚え」と似た意味をもっています。ニュアンスの違いに注意しましょう。

その3「常套句(じょうとうく)」

「常套句」は同じような状況でいつも決まって使われる表現・言い回しという意味をもった単語です。現在は同様の意味で「きまり文句」という言葉がより多く使われていますね。こちらも同じ行動を繰り返すという意味で「阿呆の一つ覚え」とよく似た意味をもった表現となっています。

その4「念仏のように」

「念仏のように」はまるで念仏を唱えているかのように、同じことを何度も言う様子を表現する言葉です。こちらも「阿呆の一つ覚え」と同じように、同じことを延々と繰り返すという意味をもった類義語となっています。こちらは何度も繰り返す「行動」については表現しないため注意しましょう。

その5「単調」

「単調」とは調子が単純で変化がなく、一本調子であることを指す表現です。こちらも「阿呆の一つ覚え」と同じように、変化せず同じ行動が何度も繰り返される、といった意味を伝える類義語となっています。「単調な毎日」、「単調な作業」などといった形で使われている表現です。

「阿呆の一つ覚え」の対義語は?

「阿呆の一つ覚え」には、明確に対義語とされている言葉はありません。「阿呆の一つ覚え」は、愚かな人が一つ覚えたことを何度も繰り返す様子を揶揄した言葉であり、反対の意味を定義・判断することはとても難しくなっています。「阿呆の一つ覚え」の対義語はないと覚えておきましょう。

\次のページで「「阿呆の一つ覚え」を使いこなそう」を解説!/

「阿呆の一つ覚え」を使いこなそう

この記事では「阿呆の一つ覚え」の意味・使い方・類語などを説明しました。「阿呆の一つ覚え」は人が一つ覚えたことを何度も繰り返してしまう様子を、愚かだと揶揄して使われている慣用句です。同様の意味で「馬鹿の一つ覚え」という表現も、多く使われています。

また類義語には「判で押したよう」、「型に嵌まる」、「常套句」、「念仏のように」、「単調」などがありました。それぞれ少しづつニュアンスが違うため、細かい意味や使われる場面を確認しつつ、使い分けていきましょう。今回の記事が皆さんの参考になっていれば幸いです。

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【慣用句】「阿呆の一つ覚え」の意味や使い方は?例文や類語を読書家Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「阿呆の一つ覚え」について解説する。

端的に言えば阿呆の一つ覚えの意味は「同じことを所構わず繰り返す」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

多くの学術書を読み、豊富な知識をもつハヤカワを呼んです。一緒に「阿呆の一つ覚え」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハヤカワ

学術書を中心に毎年100冊以上の本を読む、無類の本好き。人にさまざまな影響を与える言語、それ自体に強い興味をもち、言葉の細やかな表現にも並々ならないこだわりをもっている。

「阿呆の一つ覚え(あほうのひとつおぼえ)」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「阿呆の一つ覚え」の意味や語源・使い方を一覧で確認していきましょう。またその他「阿呆の一つ覚え」は分類としては日本の慣用句であるという点も抑えておきましょう。

「阿呆の一つ覚え」の意味は?

「阿呆の一つ覚え」というキーワードを辞典・辞書・事典、ネット上の無料データベースサービス「コトバンク」で用語検索してみると、次のような記載があります。

1.愚かな人間は、一つだけ聞き覚えたことを、どんな時にでも得意になって持ち出すこと。ばかの一つ覚え。
※世相(1946)〈織田作之助〉七「唯一所に沈潜することによって傷つくことから守らうとする走馬燈のやうな時の場所のめまぐるしい変化だけが、阿呆の一つ覚えの覘(ねら)ひであった」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「阿呆の一つ覚え」

「阿呆の一つ覚え」は愚かな人間は一つ覚えたことを、ところかまわず繰り返そうとする、といった考えから、そうした行動をあざけって使用する慣用句です。なにか一つのことを覚えると、それを試してみたくて仕方なく、覚えたことを何度も何度も得意げに繰り返す。

「阿呆の一つ覚え」はこうした様子を揶揄して使われています。「阿呆の一つ覚えみたいに」など、誰かの行動が、ことわざで表現されているような馬鹿みたいである、といった形で使われることが多いですね。また同様の意味で「馬鹿の一つ覚え」ということもあります。

「阿呆の一つ覚え」の語源は?

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次に「阿呆の一つ覚え」の語源・由来を確認しておきましょう。阿呆の一つ覚えは「阿呆」、「一つ覚え」という二種類の単語を組み合わせて生まれています。「阿呆」は愚かであることを指す単語です。また「一つ覚え」は、ひとつのことだけを忠実に覚えているということを指す言葉となっています。

阿呆の一つ覚えはこれら二つの単語を組み合わせて、愚かな人が一つのことだけを忠実に覚えて、そればかり繰り返そうとするという様子を揶揄する言葉となりました。「馬鹿の一つ覚え」についても同様に、馬鹿な人は同じことを繰り返すということを指しています。

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