

端的に言えば血の滲むようの意味は「非常に努力することのたとえ」だが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
塾講師を経験したナギセを呼んだ。一緒に「血の滲むよう」の意味や例文、類語などを見ていくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/ナギセ
塾講師経験のあるライター。もちろん国語も教えた経験あり。国語好きを生かし、楽しく解説する。
「血の滲むよう」の意味は?
「血の滲むよう」には、次のような意味があります。
非常に心身を苦しめ、努力するたとえ。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「血の出るよう」
こちらは聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。「血の出るよう」とも言いますね。「血の滲むよう」は「血の出るよう」よりも継続した長期的な苦労をさす場合が多いです。
「血の滲むよう」の語源は?
次に「血の滲むよう」の語源を確認しておきましょう。
怪我をして、皮膚の表面に血が現れるようすを「血がにじむ」と言います。そこから、怪我をしてしまうほどの努力をすることを「血の滲むよう」と言うようになったのですね。
「血の滲むよう」の使い方・例文
「血の滲むよう」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
1.彼は血の滲むような努力を重ね、大会でいい結果を残した。
2.血の滲むような毎日の英語の勉強が今の彼女を作り上げた。
3.大学での血の滲むような勉学の日々が社会に出てから役立っている。
4.血の滲むような金で息子を大学まで行かせる。
5.この手紙は血の滲むような思いで書いた。
1の例文のように「血の滲むような努力」という言い方はとてもよく使われます。「血の滲むようだ」という言い方もありますよ。覚えておくとよいですね!
「血の滲むよう」な〇〇は、非常な努力をして得た結果の意味で、現在その結果には執着しないということも表しています。また、〇〇には努力・苦労・修行・研究・闘争など、目的をもって継続して行われる行為やその行為の結果、その行為によせる感情などがくるのです。
参考:「慣用句の意味と用法」(明治書院)宮地裕編

どうだ?ここまで見てきて「血の滲むよう」について少しは理解できたか?次はもっと詳しく見ていくぞ!
その1「凄絶な」
非常にすさまじいことを表す言葉です。凄絶な、の後にくる物事の程度の激しさを表します。読み方は「せいぜつな」です。間違えないように気をつけましょう!
1.停滞していたかのように見えていたが、前線は凄絶な争いを繰り広げていた。
2.凄絶な努力が彼女を合格に導いた。
3.凄絶な日本語の勉強がイギリス人の彼にネイティブ同様の日本語力をもたらした。
1の例文のように「凄絶な争い」という言い方がよくされます。すさまじい戦いという意味です。覚えておくとよいですね!
その2「涙ぐましい(努力)」
涙が出そうなほど感動するという意味の言葉です。涙ぐましい努力といった使い方がよくされます。類義語としても使えますが「血の滲むよう」と違って、感動してしまうほどの、という意味になってくるので注意が必要です。
1.涙ぐましい努力によって私たちの会社のサービスがランキング上位になった。
2.彼の仕事への熱心な姿勢が涙ぐましい。
3.彼女の行動はとても涙ぐましいものだった。
涙ぐましい〇〇といった使われ方が一般的です。~が涙ぐましいといった使い方もあるので合わせて覚えておきたいですね!
その3「並外れた」
普通の程度や状態とかなりに違っているという意味の言葉です。非常な努力をする「血の滲むよう」と類似していますね。ただ、並外れたは汎用性が「血の滲むよう」よりも高く、あらゆる点で使えるので注意が必要です。