この記事では「一口乗る」について解説する。

端的に言えば一口乗るの意味は「参加する」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

自治体広報紙の編集を8年経験した弘毅を呼んです。一緒に「一口乗る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/八嶋弘毅

自治体広報紙の編集に8年携わった。正確な語句や慣用句の使い方が求められるので、正しい日本語の使い方には人一倍敏感。

「一口乗る」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「一口乗る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「一口乗る」の意味は?

「一口乗る」には、次のような意味があります。

多人数でするもうけ口や仕事の仲間にはいる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「一口乗る」

「一口(ひとくち)乗る」とは、みんなでなにかを実施しようとするときに仲間に入るとか、おもしろうそうなサイトに登録するときに一緒に会員登録するなど、他の人と同じような行動をするときに使われる慣用句です。特に儲け話があるときなどは、誰もが「一口乗る」ために参加者が増加します。

「一口乗る」の語源は?

次に「一口乗る」の語源を確認しておきましょう。「一口」とはまとめて簡単に言うことのほか、全体の中の一部分のことを指します。前者の意味で使う場合は「一口ヒント」などというフレーズがネットを見ているとよく出てきますから、見た方も多いのではないでしょうか。

「一口乗る」という場合は後者の意味で使われ、「一口株主」「一口五千円の寄付」などという使い方が普通です。また大勢で仕事をするときに一緒にやりたいときは「一口乗る」と言えば、仲間に入れてくれるでしょう。

\次のページで「「一口乗る」の使い方・例文」を解説!/

「一口乗る」の使い方・例文

「一口乗る」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、例えば以下のように用いられます。

1.そのアプリのモジュール変更は、今後いろいろ参考になりそうなので僕も開発に一口乗るよ。
2.アメリカ合衆国の海軍の双発実験機には新しい機能が満載されていて多方面に運用できる可能性を感じるから、テスト飛行に一口乗ることにした。
3.月間検索回数履歴でトップを走る辞書アプリをもっと便利にするために、用語収録作業に一口乗ることにした。

例文には挙げていませんが、「一口乗る」ことが多いのはやはり宝くじやロトなどの儲け話ではないでしょうか。特に宝くじは、職場の同僚たちがお金を出し合って購入する例が多いようです。もっともすべての数字が一致しなければいけませんから当選確率は非常に低く、たいてい遊び半分で大して期待することもなく購入する場合のほうが多いでしょう。

また最近ではオール電化の家も増えてきています。リモコンの表示画面を見てクリックしたり、メニュー一覧から照明をつけたり、お風呂の給湯をしたりと大変便利なものです。またそれらの動作を音声で行う機能を持ったものもあり、そうした家の建設に「一口乗る」人も増えてきました。

「一口乗る」の類義語は?違いは?

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ここでは「一口乗る」の類義語を見ていきましょう。

その1「一枚噛む」

「一枚噛む」「一口乗る」の類義語の一つです。ある事柄に一員として参加する意味で、「一枚」はもともとは相撲の番付や役者の看板のことを指しました。一人を一枚の看板に書いたことが由来となっています。「噛む」には関係を持つという意味もあるのです。「一枚看板」とか「二枚目」という言葉も看板に関連してできた言葉だということをご存じの方もいるでしょう。

「一枚看板」「二枚目」も歌舞伎から発祥しています。歌舞伎の看板は通常8枚からなっており、最初の看板には歌舞伎の外題(げだい)が独特の書体で大きく書かれ、上部に主な役者の絵姿が描かれていました。これが「一枚看板」で、さらに「二枚目」の看板には若い色男の役者名が書かれていたのです。このことから現代でもハンサムな男性のことを「二枚目」と呼ぶようになりました。さらに「三枚目」の看板には道化役を演じる役者の名前が書かれていたことから、今でもおどけてドジを踏むような男性のことを「三枚目」と言うようになったのです。

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その2「片棒を担ぐ」

「片棒を担ぐ」とは、一つの仕事や企てに加担することを言います。たいていは悪い意味で使われることが多い言葉です。「片棒を担ぐ」「片棒」は、昔駕籠(かご)を二人一組で棒を担いでお客さんを運ぶ仕事があり、その一方を担いだことから一緒に協力するという意味になりました。

その3「参加する」

「参加する」「一口乗る」の類義語の一つに挙げてもいいでしょう。学校での祖父母参観やゲストを招いて行う講演会に誘われて、出かける人も多いと思います。

「一口乗る」の対義語は?

次に「一口乗る」の対義語を見ていきましょう。

その1「脱退する」

「脱退する」「一口乗る」の対義語の一つと言えます。それまで参加していた団体や組織から抜けることで、たいていは組織的意向に添って行われるものです。代表的な例では旧大日本帝国がリットン報告書に不満を示して、当時の松岡洋右日本全権大使が国際連盟総会から退場。正式に国際連盟を「脱退する」旨を表明したことがありました。

最近では人気アイドルグループやロックバンドから個人的に「脱退する」場合にも使われています。

その2「不参加」

「不参加」「脱退する」と違って、最初からさまざまなサービスや催しなどに「一口乗る」ようなことはしない場合に使います。参加するか「不参加」にするかを判断するために利用するのは、その行事の概要が書かれたチラシなどです。

その3「身を退く」

「身を退く」とは、これまでしてきたことと関係を断つとか遠慮することを意味します。また、現在の地位から離れて引退する場合にも使われる言葉です。それには年齢的な側面や事業を停滞させたことによる責任を取るなどさまざまな理由があります。

\次のページで「「一口乗る」の英訳は?」を解説!/

「一口乗る」の英訳は?

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最後に「一口乗る」の英訳を見ていきましょう。

その1「join in」

「join in」「参加する」ということで「一口乗る」の英訳と言えます。「join」だけでも「参加する」を意味する英語です。しかしこの場合は一時的に「参加する」という意味になります。それに対して「join in」とすると継続的に「参加する」ことを表すことが多いようです。

その2「get in on the act」

「get in on the act」「活動に加わる」という意味で、日本語の「一口乗る」と同じような意味になります。「act」「行動する」ということで「get in on the act」「活動に加わる」の定型表現と覚えてください。なお、「活動に加わる」状態が継続している場合は「be in on the act」となります。

「一口乗る」を使いこなそう

この記事では「一口乗る」の意味・使い方・類語などを説明しました。「一口乗る」と聞くとどうしても儲け話が頭に浮かびますが、それ以外にもここで解説したような使い方がたくさんあります。あなたもこの記事を参考に語彙力アップにお役立てください。

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国語言葉の意味

【慣用句】「一口乗る」の意味や使い方は?例文や類語を元広報紙編集者がわかりやすく解説!

この記事では「一口乗る」について解説する。

端的に言えば一口乗るの意味は「参加する」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

自治体広報紙の編集を8年経験した弘毅を呼んです。一緒に「一口乗る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/八嶋弘毅

自治体広報紙の編集に8年携わった。正確な語句や慣用句の使い方が求められるので、正しい日本語の使い方には人一倍敏感。

「一口乗る」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「一口乗る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「一口乗る」の意味は?

「一口乗る」には、次のような意味があります。

多人数でするもうけ口や仕事の仲間にはいる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「一口乗る」

「一口(ひとくち)乗る」とは、みんなでなにかを実施しようとするときに仲間に入るとか、おもしろうそうなサイトに登録するときに一緒に会員登録するなど、他の人と同じような行動をするときに使われる慣用句です。特に儲け話があるときなどは、誰もが「一口乗る」ために参加者が増加します。

「一口乗る」の語源は?

次に「一口乗る」の語源を確認しておきましょう。「一口」とはまとめて簡単に言うことのほか、全体の中の一部分のことを指します。前者の意味で使う場合は「一口ヒント」などというフレーズがネットを見ているとよく出てきますから、見た方も多いのではないでしょうか。

「一口乗る」という場合は後者の意味で使われ、「一口株主」「一口五千円の寄付」などという使い方が普通です。また大勢で仕事をするときに一緒にやりたいときは「一口乗る」と言えば、仲間に入れてくれるでしょう。

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