この記事では「暗闇の頬冠」について解説する。

端的に言えば暗闇の頬冠の意味は「無益なことのたとえ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

早稲田大学文学部で日本文学・日本語学を学んだぽん太を呼んです。一緒に「暗闇の頬冠」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ぽん太

早稲田大学文学部で日本語学と日本文学を学び、中高国語科の教員免許も取得している。これまで学んだ知識を生かして、難解な言葉をわかりやすく解説していく。

「暗闇の頬冠」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「暗闇の頬冠」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「暗闇の頬冠」の意味・語源は?

「暗闇の頬冠」には、どのような意味・語源があるでしょうか?

暗闇では顔が見えないのに、ほおかむりをして顔を隠す。無益なことをするたとえ。

出典:コトバンク ー デジタル大辞泉(小学館)「暗闇の頬冠」

「くらやみのほおかむり」と読みます。

これは「無益なことのたとえ」として使われることわざです。暗闇で顔は見えないのに、さらに頰かむりをして顔を隠そうとする様子が語源になっています。「頰冠」「頭からあごにかけて衣服や手ぬぐいなどでおおい隠すこと」という意味です。泥棒が風呂敷を背負って逃げるときに顎の下で何かを結んでいるのがイメージできるでしょうか。まさにそれが「頰冠」です。

ちなみに「頰冠」には「知っていながら知らないふりをすること、そしらぬふりをすること」という意味もあります。泥棒と関係しているかはわかりませんが、「頰冠」は少し怪しげな人物に使う言葉のようですね。「頰冠」は、「頰被・頬被り・頰かむり」と表記することもあります。また、「ほっかむり」と読むこともあるので覚えておきましょう。

「暗闇の頬冠」の使い方・例文

「暗闇の頬冠」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「暗闇の頬冠」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.あの泥棒は警察に身元が割れているのにまだマスクを外そうとしない。まるで暗闇の頰冠だ。
2.暗闇の頰冠のような無益なことをしてもしょうがないぞ。
3.君が今やっていることは暗闇の頰冠のようなものだ。それは何の役にも立たないんだよ。

「暗闇の頰冠」を使った例文は、国語辞典に記載されておらず、ウェブ検索でも見つけられませんでした。そのため、この例文は完全オリジナルで、正しい用例である根拠が少ないことをご了承ください。

無益なことのたとえとして使われることわざなので、「まるで〜だ」「〜のような(こと)」で例文を作りました。「暗闇の頰冠」は、暗闇でさらに頰冠をして顔を隠すという語源からもわかるように、無駄なことをもう一度繰り返している様子を表しています。それぞれの例文にもそのニュアンスを含めているので、参考にしてみてください。

「暗闇の頬冠」の類義語は?違いは?

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次に「暗闇の頬冠」の類義語はどのようなものがあるでしょうか?

その1「屋上屋を架す」

読み方は「おくじょうおくをかす」です。

これも「余計なことを重ねてするたとえ」として使われます。屋上の上にもう一つ屋根をかけるような無用なことをする意味から生まれました。『顔氏家訓』などに登場する故事成語で、現代でも使われています。他にも「屋上屋を重ねる」「屋下に屋を架す」と表現されることもあるので覚えておきましょう。

「無駄なことを重ねて行う」という意味の「屋上屋を架す」は、「暗闇の頰冠」と同義語だと言えますね。

その2「網の目に風たまらず」

意味は「網を張っても風を防ぐことはできない。むだなことのたとえ。」です。

読んで字のごとく、そのままの意味ですね。風の強い日に網戸で風を防ごうとしてもできないことは容易に想像できます。

「暗闇の頰冠」「屋上屋を架す」は「無駄なことを重ねて行うことのたとえ」でしたが、「網の目に風たまらず」に重ねて行うの意はありません。シンプルに「無駄なことのたとえ」として使いましょう。

\次のページで「その3「石に灸」」を解説!/

その3「石に灸」

「いしにきゅう」と読みます。

意味は「何の効き目も反応もないことのたとえ」です。文字通り、石に灸をすえても治療の効果はないことが語源となっています。「何の効果もない」とは「無駄なこと」と同じですね。

ちなみに「灸」は「もぐさなどの温熱刺激によって行う治療」のことです。ツボに灸をして、体調を整える効果がありますよ。

「暗闇の頬冠」の対義語は?

次に「暗闇の頬冠」と反対の意味の言葉はどのようなものがあるでしょうか?

「自家薬籠中の物」

「じかやくろうちゅうのもの」と読みます。

「薬籠」は「薬箱」の意で、自家の薬箱の中の物を表す言葉です。「いつでも必要な時に自由自在に使える人や物のたとえ」として使われます。いつでも自由自在に使える人や物はとても役に立つものですね。その点、「暗闇の頰冠」では頰冠が無益な物のたとえとして用いられています。ぴったり反対の意味ではありませんが、より近い言葉として「自家薬籠中の物」を取り上げました。

「暗闇の頬冠」の英訳は?

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最後に「暗闇の頬冠」の英訳を紹介します。「暗闇の頬冠」を英訳すると、どのようになるでしょうか?

「It is no use doing」

「〜してもむだである」という意味のフレーズです。キーワードを挙げて解説していきましょう。

この「use」「効果、役に立つこと」を意味する名詞で、それが否定されているので「役に立たない、むだである」という意味になります。

「doing」は「to do」にも書き換えられますが、どちらかというと「doing」の方が一般的ですね。学校でも「It is no use 〜ing」の形で覚えた記憶があります。ちなみに「It is」は「There is」に置き換えることも可能です。

「It is no use 〜ing」は学校で必ずと言っていいほど覚えるフレーズなので、ここでしっかりおさえておきましょう。

\次のページで「「暗闇の頬冠」を使いこなそう」を解説!/

「暗闇の頬冠」を使いこなそう

この記事では「暗闇の頬冠」の意味・使い方・類語などを説明しました。ほとんど聞き慣れない言葉でしたが、しっかり理解できたでしょうか。わからない部分があれば、読み返したりさらに検索して深掘りしたりしてみてくださいね。自分で考えて調べるという行為は決して「暗闇の頰冠」のようにはなりません。一緒に頑張りましょう。

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【ことわざ】「暗闇の頬冠」の意味や使い方は?例文や類語を早稲田文学部卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「暗闇の頬冠」について解説する。

端的に言えば暗闇の頬冠の意味は「無益なことのたとえ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

早稲田大学文学部で日本文学・日本語学を学んだぽん太を呼んです。一緒に「暗闇の頬冠」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ぽん太

早稲田大学文学部で日本語学と日本文学を学び、中高国語科の教員免許も取得している。これまで学んだ知識を生かして、難解な言葉をわかりやすく解説していく。

「暗闇の頬冠」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「暗闇の頬冠」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「暗闇の頬冠」の意味・語源は?

「暗闇の頬冠」には、どのような意味・語源があるでしょうか?

暗闇では顔が見えないのに、ほおかむりをして顔を隠す。無益なことをするたとえ。

出典:コトバンク ー デジタル大辞泉(小学館)「暗闇の頬冠」

「くらやみのほおかむり」と読みます。

これは「無益なことのたとえ」として使われることわざです。暗闇で顔は見えないのに、さらに頰かむりをして顔を隠そうとする様子が語源になっています。「頰冠」「頭からあごにかけて衣服や手ぬぐいなどでおおい隠すこと」という意味です。泥棒が風呂敷を背負って逃げるときに顎の下で何かを結んでいるのがイメージできるでしょうか。まさにそれが「頰冠」です。

ちなみに「頰冠」には「知っていながら知らないふりをすること、そしらぬふりをすること」という意味もあります。泥棒と関係しているかはわかりませんが、「頰冠」は少し怪しげな人物に使う言葉のようですね。「頰冠」は、「頰被・頬被り・頰かむり」と表記することもあります。また、「ほっかむり」と読むこともあるので覚えておきましょう。

「暗闇の頬冠」の使い方・例文

「暗闇の頬冠」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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