この記事では「飴をしゃぶらせる」について解説する。

端的に言えば飴をしゃぶらせるの意味は「相手を乗り気にさせる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本語が好きで日本文学科を卒業したハルを呼んです。一緒に「飴をしゃぶらせる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハル

日本語が大好きで日本文学科を卒業。現在は子供が言葉を覚えていく様子を見ながら日本語の奥深さを実感中。多くの人にそのよいところを紹介したいとの思いを込めて丁寧に解説する。

「飴をしゃぶらせる」の意味や語源・使い方まとめ

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「飴をしゃぶらせる」ということわざをご存知ですか。聞いたことがあるような、どんなことが言いたいのかもなんとなくわかるような表現ですね。実際にはどんな意味を持っているのでしょうか。それでは早速「飴をしゃぶらせる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「飴をしゃぶらせる」の意味は?

まず初めに、「飴をしゃぶらせる」の意味を国語辞典で確認してみましょう。「飴をしゃぶらせる」には、次のような意味があります。

大きな利を得るために、相手に小利を与える。また、人の喜びそうなことを言って相手を乗り気にさせる。飴をねぶらせる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「飴をしゃぶらせる」

「飴をしゃぶらせる」の読み方は「あめをしゃぶらせる」です。後で大きく儲けるために相手にわざと少し儲けさせること、人の喜びそうなうまいことを言って相手を喜ばせ乗り気にさせることを意味します。相手を手なずけるために、あえて少しいい思いをさせるということを表すのですね。「飴をねぶらせる」と言うこともありますよ。「ねぶらせる」は「舐める(なめる)」という漢字を使って「舐らせる」と書き、まさに「しゃぶらせる」という意味を持っているのです。

「飴をしゃぶらせる」の語源は?

次に「飴をしゃぶらせる」の語源を確認しておきましょう。

砂糖が一般化するまでは、甘いものはとても貴重でした。そこで澱粉(でんぷん)から作った飴の甘味で子供たちを喜ばせていたといいます。そこから「飴をしゃぶらせる」は、人の喜びそうなことを言って相手をいい気分にさせることを意味するようになりました。またそこからさらに、自分が利益を得たいがために、まず相手に少しだけ利益を与えて安心させることも意味するようになったのです。

\次のページで「「飴をしゃぶらせる」の使い方・例文」を解説!/

「飴をしゃぶらせる」の使い方・例文

「飴をしゃぶらせる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.彼女に特別なサービスをして飴をしゃぶらせておけば、きっと便宜を図ってくれるだろう。
2.彼は、飴をしゃぶらせられたら簡単に味方を裏切る人間であると、まったく信用されていない。
3.取引先の社長とのゴルフでは、わざと勝たせて飴をしゃぶらせるつもりでいる。
4.人気サイトの中で、ゲストにも無料で使える項目を増やす飴をしゃぶらせる方策を実施したところ、会員数が一気に増加した。

「飴をしゃぶらせる」は、相手に何かしてほしいことなどがある時に、まずは相手に都合の良いものを与えて喜ばせ、こちらの望み通りに動いてもらうといったことを表現する場面で用いられます。子供に宿題をやってほしい時、まずはおやつを食べさせてから、さあがんばってやってしまいましょうと言うのと似たようなことです。こちらが利益を得るために、まずは相手にも少し利益を与えるということなのですね。「係員に飴をしゃぶらせて便宜を図ってもらう」といったように用いられますので、悪だくみを成就させるためにやることと捉えたくなるかもしれませんが、必ずしも悪いことをするためだけに飴を与えるということではないのですよ。

「飴をしゃぶらせる」の類義語は?違いは?

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「飴をしゃぶらせる」の類義語を見ていきましょう。

その1「人参をぶら下げる」

「人参(にんじん)をぶら下げる」は「人の意欲を引き起こすための「褒美」を提示することによって、競争心を向上させ、士気を高める」ことを意味する表現です。馬の鼻先に人参をぶら下げると、人参が大好物の馬はそれに食いつこうとして前に進みます。人参は馬と共に前に進みますから、馬はどうにか食いつこうとしてどんどん早く走るというようなイメージから由来しました。実際にはそんなことは起こらないだろうと思いますが、そんな場面は想像できますね。やる気のない人にご褒美をちらつかせることで奮起させることのたとえとして用いられる表現です。

\次のページで「その2「餌をちらつかせる」」を解説!/

その2「餌をちらつかせる」

「餌(えさ)をちらつかせる」は「人参をぶら下げる」と同様、「相手の利益になるようなもので誘いをかけてやる気を引き出し、こちらの望んだ行動を引き出そうとすること」を意味する表現です。「エサをぶら下げる」とも言いますよ。

「飴をしゃぶらせる」の対義語は?

「飴をしゃぶらせる」と反対の意味を持つ言葉を見ていきましょう。

「塩対応」

「飴をしゃぶらせる」の対義語はありません。「飴」つまり甘いものの反対といえば「塩」。「飴を与える」の反対として「塩対応」という言葉をあげてみました。「塩対応」は正式に広辞苑などの辞書に載っている言葉ではなく、最近になって登場した言葉です。「そっけない、愛想のない、冷淡な接し方」を指す言い方ですね。いわゆる「しょっぱい」対応という意味を表す表現です。

「飴をしゃぶらせる」の英訳は?

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「飴をしゃぶらせる」を英語に訳すとどのように表現できるか見ていきましょう。

その1「sweet-talk」

「sweet-talk」は「おだてる」「甘い言葉で誘惑する」「おべっかを使う」ことを意味する表現です。「sweet」は「甘い」を意味する単語ですから、「sweet-talk」は「甘い話」といった意味になりますね。英語でも「甘い」は人の気持ちを動かすものとして使われるのですね。

その2「flatter」

「flatter」は「おべっかを使う、おもねる、お世辞を言う、おだててさせる、喜ばせる」といった意味を持つ単語です。「I’m flattered.」と言うと、「(ほめられて、お世辞だとしても)うれしいです」という気持ちを表すことができるのですよ。この言葉を使って「飴をしゃぶらせる」を表現することができます。

\次のページで「「飴をしゃぶらせる」を使いこなそう」を解説!/

I'll sweet-talk him out of his money.
彼に飴をしゃぶらせて金を巻き上げてやる。

As long as he is flattered, he will not object.
飴をしゃぶらせておけば、彼は異議を唱えないだろう。

「飴をしゃぶらせる」を使いこなそう

この記事では「飴をしゃぶらせる」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「飴をしゃぶらせる」は「人の喜ぶことを言って相手を乗り気にさせること」「大きな利益を得るために相手に小さな利益を与えること」を意味することわざでしたね。「甘い汁を吸う」や「甘美」といった表現があるように、甘いものは「うまみ」を表すのですね。「飴をしゃぶらせる」はその言葉の持つ意味がイメージしやすいことわざかもしれませんね。この機会にぜひ「飴をしゃぶらせる」ということわざ、使ってみてくださいね。

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国語言葉の意味

【ことわざ】「飴をしゃぶらせる」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学科卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「飴をしゃぶらせる」について解説する。

端的に言えば飴をしゃぶらせるの意味は「相手を乗り気にさせる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本語が好きで日本文学科を卒業したハルを呼んです。一緒に「飴をしゃぶらせる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハル

日本語が大好きで日本文学科を卒業。現在は子供が言葉を覚えていく様子を見ながら日本語の奥深さを実感中。多くの人にそのよいところを紹介したいとの思いを込めて丁寧に解説する。

「飴をしゃぶらせる」の意味や語源・使い方まとめ

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「飴をしゃぶらせる」ということわざをご存知ですか。聞いたことがあるような、どんなことが言いたいのかもなんとなくわかるような表現ですね。実際にはどんな意味を持っているのでしょうか。それでは早速「飴をしゃぶらせる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「飴をしゃぶらせる」の意味は?

まず初めに、「飴をしゃぶらせる」の意味を国語辞典で確認してみましょう。「飴をしゃぶらせる」には、次のような意味があります。

大きな利を得るために、相手に小利を与える。また、人の喜びそうなことを言って相手を乗り気にさせる。飴をねぶらせる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「飴をしゃぶらせる」

「飴をしゃぶらせる」の読み方は「あめをしゃぶらせる」です。後で大きく儲けるために相手にわざと少し儲けさせること、人の喜びそうなうまいことを言って相手を喜ばせ乗り気にさせることを意味します。相手を手なずけるために、あえて少しいい思いをさせるということを表すのですね。「飴をねぶらせる」と言うこともありますよ。「ねぶらせる」は「舐める(なめる)」という漢字を使って「舐らせる」と書き、まさに「しゃぶらせる」という意味を持っているのです。

「飴をしゃぶらせる」の語源は?

次に「飴をしゃぶらせる」の語源を確認しておきましょう。

砂糖が一般化するまでは、甘いものはとても貴重でした。そこで澱粉(でんぷん)から作った飴の甘味で子供たちを喜ばせていたといいます。そこから「飴をしゃぶらせる」は、人の喜びそうなことを言って相手をいい気分にさせることを意味するようになりました。またそこからさらに、自分が利益を得たいがために、まず相手に少しだけ利益を与えて安心させることも意味するようになったのです。

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