この記事では「一筆入れる」について解説する。

端的に言えば一筆入れるの意味は「簡単に書く」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

多くの学術書を読み、豊富な知識をもつハヤカワを呼んです。一緒に「一筆入れる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハヤカワ

学術書を中心に毎年100冊以上の本を読む、無類の本好き。人にさまざまな影響を与える言語、それ自体に強い興味をもち、言葉の細やかな表現にも並々ならないこだわりをもっている。

「一筆入れる(いっぴついれる)」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「一筆入れる」の意味や語源・使い方を一覧形式で確認していきましょう。またその他「一筆入れる」は分類としては慣用句であるという点も抑えておきましょう。

「一筆入れる」の意味は?

「一筆入れる」というキーワードを辞典・辞書・事典、ネット上の無料サイトサービス「Weblio辞書」で用語検索してみると、次のような記載があります。

1.(主に証文として)簡単な文などをしたためる、という意味で用いられる言い方。

出典:実用日本語表現辞典「一筆入れる」

「一筆入れる」は簡単に文を書き記すという意味をもった慣用句です。また注意する点として、通常の文を書くというよりも、特に証拠・確認として使う文書を作成するという時に使われています。税務署内に提出するための文書のサイン、契約等の確認・応答のための自分の名前のサインなど。

税務調査での「一筆入れる」は、特に記録書に署名をすることを指している言葉です。こちらも通常の意味とは少し違い、専門用語的により限定的に使用されているため注意しましょう。重要な文書等の署名を相手に求める際、「一筆入れてください」と求めることがあります。

「一筆入れる」の語源は?

次に「一筆入れる」の語源を確認しておきましょう。一筆入れるは「一筆」と「入れる」の二種類の単語を組み合わせて生まれています。「一筆」は墨継ぎをせず、一息に書いてしまうこと、また転じてちょっと書きつけることを意味する単語です。またこの場合の「入れる」は相手に差し出すという意味になります。

一筆入れるはこれら二つの単語を組み合わせて、相手に差し出すものをちょっと書きつけるという意味をもった単語です。現在は簡単な文を書きつけるというところから、転じて文書の簡単なサイン、署名を相手に求めるという意味として使われることが多くなっています。

\次のページで「「一筆入れる」の使い方・例文」を解説!/

「一筆入れる」の使い方・例文

「一筆入れる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.内容等に同意いただけましたら、契約書に一筆入れてください。
2.税務調査の証拠として使うため、一筆入れてもらう。
3.十分注意を払ってから、一筆入れる。

「一筆入れる」は例文のように契約書・証文などの作成時に、署名・簡単な文章を書くという場合に使われています。また税務調査等では特に納税者への「申立書」などにおいて、相手に署名を求める際に専門用語として使われているため注意しましょう。

「一筆」は簡単な文を書くということで、「一筆入れる」も簡単な文章を書くというニュアンスをもっています。しかし実態としては、大変重要な書類への署名という形で使われていることが多く、言葉の印象に惑わされないようにしましょう。

「一筆入れる」の類義語は?違いは?

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続いて「一筆入れる」の類義語・違いについて閲覧していきましょう。4つの関連する類義語をピックアップしました。よく似た表現との違いを確認することで、「一筆入れる」という言葉の意味をより深く理解することができます。

その1「一筆啓上(いっぴつけいじょう)」

「一筆啓上」は手紙等、普通の書状の初めに男子が書いていた慣用句です。意味としては「簡単に申し上げます」といった意味で、相手にものを伝えたい気持ちを謙譲語として表現しています。古い手紙等において「筆啓上仕候」「一筆令啓上候」などと書かれていることがあるため、覚えておきましょう。

\次のページで「その2「書きつける」」を解説!/

その2「書きつける」

「書きつける」は忘れないよう、覚えておくために文字・言葉を書くことを意味する単語です。「一筆入れる」と同様にさっと書くというニュアンスをもっていますが、使用する状況はかなり違うため、意味をしっかり捉えて使い分けていきましょう。漢字で「書き付ける」と書きます。

その3「小書」

「小書」は文書の中に注釈として小さく文字を書くこと、またその書き入れた文字のことを意味する単語です。また「能楽」の世界では、番組の曲名のわきに小さく演出名を書いていたことから、転じて「特殊演出」のことを指す言葉となっています。こちらもこの機会にあわせて覚えておきましょう。

その4「したためる」

「したためる」は手紙・文書等を書き記すことを意味する単語です。古い表現ですが、現在でも手紙を書く時にはかしこまり、「したためる」という単語が使われることがあります。「一筆入れる」と同様に書くことを表す類義語となっており、こちらもあわせて覚えておきましょう。

「一筆入れる」の対義語は?

「一筆入れる」には、明確に対義語とされている言葉はありません。「一筆入れる」は、後に証文として使う為に簡単な文をしたためるという意味のため、反対の意味を定義することはとても難しくなっています。「一筆入れる」の対義語はないと覚えておきましょう。

「一筆入れる」の英訳は?

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つづいて「一筆入れる」の英語訳についても確認していきましょう。

「draw up a deed」

「draw up a deed」は証書・証文・契約書を書くという意味で、ちょうど「一筆入れる」の行政への証文として簡単な文章を書くという意味合いを表現することができるフレーズです。

「deed」は行為・行動・偉業・功績などを指す英単語でもあります。日本語の「一筆入れる」と同様に、かなり限定的な使われ方をするフレーズとなっているため、注意しましょう。

\次のページで「「一筆入れる」を使いこなそう」を解説!/

「一筆入れる」を使いこなそう

この記事では「一筆入れる」の意味・使い方・類語などを説明しました。「一筆入れる」は簡単な文章を書くという意味で、特に証文など重要な書類に署名する際などに多く使われています。税務調査の場では、専門用語としてより限定的な使われ方をしているため注意しましょう。

また類義語には「一筆啓上」、「書きつける」、「小書」、「したためる」などがありました。それぞれ少しづつニュアンスが違うため、細かい意味や使われる場面を確認しつつ、使い分けていきましょう。今回の記事が皆さんの参考になっていれば幸いです。

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【慣用句】「一筆入れる」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「一筆入れる」について解説する。

端的に言えば一筆入れるの意味は「簡単に書く」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

多くの学術書を読み、豊富な知識をもつハヤカワを呼んです。一緒に「一筆入れる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハヤカワ

学術書を中心に毎年100冊以上の本を読む、無類の本好き。人にさまざまな影響を与える言語、それ自体に強い興味をもち、言葉の細やかな表現にも並々ならないこだわりをもっている。

「一筆入れる(いっぴついれる)」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「一筆入れる」の意味や語源・使い方を一覧形式で確認していきましょう。またその他「一筆入れる」は分類としては慣用句であるという点も抑えておきましょう。

「一筆入れる」の意味は?

「一筆入れる」というキーワードを辞典・辞書・事典、ネット上の無料サイトサービス「Weblio辞書」で用語検索してみると、次のような記載があります。

1.(主に証文として)簡単な文などをしたためる、という意味で用いられる言い方。

出典:実用日本語表現辞典「一筆入れる」

「一筆入れる」は簡単に文を書き記すという意味をもった慣用句です。また注意する点として、通常の文を書くというよりも、特に証拠・確認として使う文書を作成するという時に使われています。税務署内に提出するための文書のサイン、契約等の確認・応答のための自分の名前のサインなど。

税務調査での「一筆入れる」は、特に記録書に署名をすることを指している言葉です。こちらも通常の意味とは少し違い、専門用語的により限定的に使用されているため注意しましょう。重要な文書等の署名を相手に求める際、「一筆入れてください」と求めることがあります。

「一筆入れる」の語源は?

次に「一筆入れる」の語源を確認しておきましょう。一筆入れるは「一筆」と「入れる」の二種類の単語を組み合わせて生まれています。「一筆」は墨継ぎをせず、一息に書いてしまうこと、また転じてちょっと書きつけることを意味する単語です。またこの場合の「入れる」は相手に差し出すという意味になります。

一筆入れるはこれら二つの単語を組み合わせて、相手に差し出すものをちょっと書きつけるという意味をもった単語です。現在は簡単な文を書きつけるというところから、転じて文書の簡単なサイン、署名を相手に求めるという意味として使われることが多くなっています。

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