この記事では「家を外にする」について解説する。

端的に言えば家を外にするの意味は「外出してばかりいる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役のオンライン塾講師でライターのななを呼んです。一緒に「家を外にする」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/なな

現役のオンライン塾講師であり、現在はライターとしても活動している。作文の添削をする際にひたすら辞書を引いた経験から、正しい日本語について常に考えるようになった。日本語の奥深さを伝えたいという熱い思いをもっている。

「家を外にする」の意味や使い方まとめ

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それでは早速「家を外にする」の意味や使い方を見ていきましょう。

「家を外にする」の意味は?

「家を外にする」には、次のような意味があります。

外出しがちである。自分の家にいつかない。「ーして遊んでばかりいる」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「家を外にする」

「家を外にする」とは、「いえをそとにする」と読み、「外出しがちなこと」を表す慣用句です。もうひとつ、面白い解説をする辞典があったので紹介します。

外出・外泊が続きがちで家族との団欒や家庭内の用向きなどがおろそかになる。家(うち)を外にする。

出典:新明解国語辞典 第六版(三省堂)「家 用例:家を外にする」

外出してばかりで「家庭がおろそかになる」という意味合いも含んでいるのが、「家を外にする」なのですね。

\次のページで「「家を外にする」の使い方・例文」を解説!/

「家を外にする」の使い方・例文

「家を外にする」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.息子は学生のころから家を外にして、国内旅行ばかりしている。

2.夫は家を外にして、まるで移動生活でもしているかのようだ。

3.最近音楽の趣味をみつけた父が、家を外にして練習に明け暮れている。

1つ目の例文では、学生時代からあまり家にいることがなく、旅行ばかりしている青年の様子が分かります。「家族団欒のため少しは帰ってきてほしい」という親の気持ちが伝わってきそうです。

2番目は、夫婦で生活している家があるにもかかわらず、外泊ばかりする夫の様子を「移動生活のようだ」と言っています。「家を外にする」人も事情はあるのでしょうが、家庭生活をおろそかにすると家族の不満がたまっていきそうですね。

最後は、これまで休日は家にいることが多かったお父さんなのでしょうか、音楽という趣味をみつけて没頭し、練習のために外出してばかりいるという内容です。

「家を外にする」の類義語は?違いは?

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次に、「家を外にする」の類義語を確認していきます。 

その1「内を外にする」

「内を外にする」は「うちをそとにする」と読み、「外出しがちで自宅にいないこと」を表します。「家を外にする」の類語といえるでしょう。先ほどの例文を、「息子は学生のころから内を外にして、国内旅行ばかりしている」と言い換えることができそうです。「内」(うち)には「家や家庭」の意味があり、「家」と書いて「うち」と読む場合もあります。

ちなみに、「外出しがちなこと」を表す「外が内」という言葉があり、読み方は「そとがうち」です。

その2「外を家にする」

「家を外にする」の「家」と「外」を反対にし、「外を家にする」という表現があります。「外出ばかりで家にほとんどいないこと」を意味し、「家を外にする」の類語といえるでしょう。「外」には「自分の家以外の場所」という意味があります。そこを「家にする」のですから、いかに自分の家庭にいないことが多いか伝わってくる言葉ですね。

\次のページで「その3「家を空ける」」を解説!/

その3「家を空ける」

「家を空ける」(いえをあける)は日常で多く使われる表現ではないでしょうか。「家を不在にする」という意味で、「家族で出かけるため家を空ける」などと使うことができます。「家を外にする」のような、「家庭をおろそかにする」までの意味合いは含まれないといえそうです。

「空ける」を使った「内を空ける」(うちをあける)も、「外出などで留守にすること」を表します。

「家を外にする」の対義語は?

「家を外にする」について、特定の対義語は見つかりませんでした。ここでは参考に、「家などにずっといる」という意味合いの言葉を見ていきましょう。

その1「ひきこもる」

「ひきこもる」は「部屋などに入ったまま出てこないこと」を意味する表現で、よく使われますね。漢字で書くと「引き籠もる」となります。「夏休みに入り、自分の部屋にひきこもってパソコンでゲームばかりしている」、「暑さから家にひきこもっていると、エアコンをつけっぱなしにしてしまう」などと耳にするのではないでしょうか。

その2「閉じこもる」

「内にいてずっと出てこないこと」を表すのが「閉じこもる」です。「書斎に閉じこもって、お気に入りの小説を読んでばかりいる」、「家に閉じこもって仕事をしていたから、久しぶりに外の空気を吸いたい」などと言えます。また「殻に閉じこもる」のように、家屋や部屋以外にも、「内にずっとこもっている」と表す際に使える表現です。

その3「たてこもる」

「たてこもる」も「ひきこもる」や「閉じこもる」同様、「外に出ないで屋内にこもること」を表します。「たてこもる」と聞くと、「ライフルを持った男が、マンションの一室にたてこもった」という場面を連想しますね。辞書の意味を見てみましょう。

1.戸などをしめきって中にこもる。「書斎にー・って執筆する」

2.城や要塞にこもって敵の攻撃を防ぐ。「城にー・る」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「たてこもる」

「住宅のたてこもり事件」などとニュースで耳にする「たてこもる」は、建物にこもって敵対する様子を表しているのですね。辞書の用例のように、事件でなくても「部屋にたてこもって仕事をする」などと使えるようです。

\次のページで「「家を外にする」の英訳は?」を解説!/

「家を外にする」の英訳は?

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「家を外にする」を英訳するとどのような表現になるのでしょうか?

その1「stay away from home」

「stay away from~」は、「~から離れている」という意味です。「~」に「家」という意味の「home」を入れ、「家から離れている」、つまり「家を空けている」を表します。「家を外にする」が持つ、頻繁に外出しているニュアンスを出すには、「しばしば」という頻度を表す単語「often」を入れるとよいでしょう。「トムは家を外にしている」は「Tom often stays away from home.」と英訳できそうです。

ただし、「家庭をかえりみない」までの意味合いは表せていないので、文脈によっては注意しましょう。

その2「be not at home」

「在宅している」を意味する「at home」という表現を利用し、「be not at home」で「家にいない、外出している」を表します。そこに、「たいてい」という頻度を表す副詞の「usually」を入れて、「家を外にする」の意味合いに近づけることができそうです。さきほどの「トムは家を外にしている」は、「Usually, Tom is not at home.」と言い換えられるでしょう。

「家を外にする」を使いこなそう

この記事では「家を外にする」の意味・使い方・類語などを説明しました。「家を外にする」は「外出しがちで家庭生活がおろそかになる」を表すのでしたね。今後、外泊ばかりで自分の家に帰らない人に出会ったとき、「彼は家を外にしている」と使ってみてください。

ある慣用句を検索したとき、関連情報として出てくる用語も追加して覚えてしまうことが、日本語力アップのひとつの手段です。たくさんの慣用句を自分のものにして使いこなしましょう!

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国語言葉の意味

【慣用句】「家を外にする」の意味や使い方は?例文や類語を現役塾講師ライターがわかりやすく解説!

「家を外にする」の英訳は?

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「家を外にする」を英訳するとどのような表現になるのでしょうか?

その1「stay away from home」

「stay away from~」は、「~から離れている」という意味です。「~」に「家」という意味の「home」を入れ、「家から離れている」、つまり「家を空けている」を表します。「家を外にする」が持つ、頻繁に外出しているニュアンスを出すには、「しばしば」という頻度を表す単語「often」を入れるとよいでしょう。「トムは家を外にしている」は「Tom often stays away from home.」と英訳できそうです。

ただし、「家庭をかえりみない」までの意味合いは表せていないので、文脈によっては注意しましょう。

その2「be not at home」

「在宅している」を意味する「at home」という表現を利用し、「be not at home」で「家にいない、外出している」を表します。そこに、「たいてい」という頻度を表す副詞の「usually」を入れて、「家を外にする」の意味合いに近づけることができそうです。さきほどの「トムは家を外にしている」は、「Usually, Tom is not at home.」と言い換えられるでしょう。

「家を外にする」を使いこなそう

この記事では「家を外にする」の意味・使い方・類語などを説明しました。「家を外にする」は「外出しがちで家庭生活がおろそかになる」を表すのでしたね。今後、外泊ばかりで自分の家に帰らない人に出会ったとき、「彼は家を外にしている」と使ってみてください。

ある慣用句を検索したとき、関連情報として出てくる用語も追加して覚えてしまうことが、日本語力アップのひとつの手段です。たくさんの慣用句を自分のものにして使いこなしましょう!

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