【慣用句】「筋が悪い」の意味や使い方は？例文や類語をたくさんの文章を扱ってきたライターがわかりやすく解説！

ライター／KAIKAI

東京の大手企業に35年以上勤務し、仕事でたくさんの文章を扱ってきた経験を持つ。学生時代から国語が得意で言葉の知識に関するジャンルには自信あり。

「筋が悪い」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「筋が悪い」（すじがわるい）の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「筋が悪い」の意味は？

辞書を検索すると「筋が悪い」には、次のような意味があります。

1．芸事などの素質がよくない。
2．性質が悪い。

出典：デジタル大辞泉（小学館）「筋が悪い」

辞書から、「筋が悪い」とは「物事を行う才能がない」という意味と「家柄や素質が悪い」という意味があります。「筋」には「筋肉」、「腱」、「血管」、「線」、「縞模様」、「家柄」、「素質」、「流派」、「物事の道理」、「小説や映画などのおおまかな内容」、「関係方面」、「おもむき」、「道路や川に沿った所」、「囲碁、将棋の本筋の位置方」、「将棋盤の縦列」、「身分や地位」といったたくさんの意味を持つのです。

なお、「筋がたつ」「筋を通す」と言った場合は「道理にかなう」という意味になります。また、「筋が違う」とは「見当が違う」という意味です。

「筋が悪い」の語源は？

次に「筋が悪い」の語源を確認しておきましょう。

「筋」とは「細長い線状のもの」の関連のものを意味しますが、そこから「血筋」とか「家系」を意味するようになりました。そうして芸事などは血縁関係のある人に引き継がれていくことが多いため芸に優れた人のことを「筋がいい」と言うようになったのです。その後さらに「素質」とか「才能」の意味が加わって、「素質がある」とか「才能がある」という意味で使われるようになりました。

「筋が悪い」の使い方・例文

「筋が悪い」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1．今年のバスケット部員は筋が悪い人はいない。
2．彼は筋が悪い。何度しかっても遅刻が直らない。
3．あなたは筋が悪い家系に生まれたので行儀が悪い。
4．原爆投下のイラストをオフィシャルの募集広告に掲載するとは筋が悪い。

「筋が悪い」は、大きく「芸事などの素質がよくない」という意味と「性質がよくない」の2つの意味がありますが、例文1と例文2は「素質がない」の意味で使われ、例文3は「家柄が悪い」、例文4は「センスが悪い」意味で使われています。

「筋が悪い」の類義語は？違いは？

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「筋が悪い」の類義語は何でしょうか。

その1「センスが悪い」

「センスが悪い」とは「物事の感じや味わいを微妙な点まで悟る働きや感覚が悪い」ということとです。言い変えれば「ある特定のものに対してその細部に至るまで違いを感じ取ることができ、それを上手に表現し、使いこなすことができない」という意味になります。「センス」には「感覚」という意味と「判断力」「思慮」「良識」といった複数の意味があるのです。

「彼女は美人だけどいつも最近はセンスが悪い服を着てるのでもったいないな」などと言います。

その2「才能がない」

「才能がない」は「物事を巧みになしうる生まれつきの能力がない」という意味です。どちらかと言うと、あまり努力しなくても上手にできてしまう人というイメージがあります。「あいつは自分では才能がないと言っているが、どうしてこの業界では人気がある」などと言うのです。

才能をキーワードとする言葉を辞書で調べると、「才能」とは「物事を巧みになしうる生まれつきの能力」で、「天才」と言う場合は「生まれつき備わっている、並外れた才能」で、「秀才」は「非常に優れた学問的才能」、「凡才」は「平凡で特に優れたところの才能」という意味になります。微妙にニュアンスが異なっていますね。

その3「凡才な」

「凡才な」とは「平凡で、特にすぐれたところのない才能」という意味です。あるいはそのような人のことを言います。「凡才」と同じ意味の言葉に「庸才」（ようさい）や「庸人」（ようじん）がありますね。「凡」も「庸」も「普通」とか「平常」とか「平均的」「ありふれた」ということになります。「私にとっては平凡な人生が一番だ」などと使うのです。

「筋が悪い」の対義語は？

「筋が悪い」の対義語は何でしょうか。

その1「見どころのある」

「見どころのある」とは「将来の望みがある」とか「見込みがある」という意味です。その2にあげる「有望な」と言うよりは近い未来に期待できる将来性というニュアンスがあります。「見どころがあるという評判の新入社員は確かに気働きもよく、仕事もそつがないな」などと使うのです。

その2「有望な」

「有望な」は「将来に望みが多いこと」や「見込みがあること」の意味です。その1にあげた「見どころのある」よりはやや遠い未来の期待できそうな将来性というニュアンスがあります。「彼は最年少でオリンピック参加を果たした。これからも有望な選手だ」などと言います。

その3「腕がたつ」

「腕がたつ」とは「技量がきわめて優れている」という意味です。ここでの「腕」とは「実力」や「力量」や「技術」という意味になります。「立つ」は「その力量が高い」「優秀である」という意味です。「腕がたつ」と同じ意味で「腕前」という言葉がありますね。「あのペンキ職人はこのあたりでは腕がたつことで有名だ」などと言います。

「筋が悪い」の英訳は？

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「筋が悪い」の英訳は何でしょうか。

「come of a bad stock」

日本語の「筋が悪い」は英和辞典を引くと「come of a bad stock」になります。反対の「筋がいい」は「come of a good stock」です。

He comes of a bad stock.(彼は筋が悪い）

「筋が悪い」を使いこなそう

この記事では「筋が悪い」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「筋が悪い」とか「筋がいい」は、自分で言うと嫌味になりますし、目上の人に対して使っては失礼になります。どちらかというと目上の人が目下の人に向かって使うのが無難でしょうね。しかし、「筋がいい」と言われても手放しで喜ぶわけにはいきません。「仕事の実力はわからないが、これまでの学歴とか経歴とか持っている資格は優れている」というようなあいまいな感じで使われることが多いからです。

「筋がいい」ここと「勝利すること」「実力を発揮すること」は一緒ではないと言われています。「筋がいい」を通り越してゆるぎない実力を身に付けていきたいものですね。