この記事では「意に染まない」について解説する。

端的に言えば意に染まないの意味は「気に入らない、気がすすまない」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

早稲田大学文学部で日本文学・日本語学を学んだぽん太を呼んです。一緒に「意に染まない」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ぽん太

早稲田大学文学部で日本語学と日本文学を学び、中高国語科の教員免許も取得している。これまで学んだ知識を生かして、難解な言葉をわかりやすく解説していく。

「意に染まない」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「意に染まない」の意味や語源・使い方を国語辞典で確認していきましょう。

「意に染まない」の意味は?

「意に染まない」には、次のような意味があります。

気に入らない。気がすすまない。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「意に染まない」

「いにそまない」と読みます。

「意に染まない縁談」のように使い、気に入っていない、気乗りしない様子を表す言葉です。現代ではあまり使われることのない言葉ですが、気に入らないことをちょっとカッコよく表現したいときにはぴったりですね。

「染む(そむ)」は古文で使われる言葉で、「深く心に感じる、しみる、満足する」という意味があります。物事や風景の美しさがじんわりと心に染み入るような感じがイメージできますね。それが「ない」と打ち消されているので、「深く心に感じない」、つまり「気に入らない、気乗りしない」という意味になります。

「意に染まない」の語源は?

次に「意に染まない」の語源を確認しておきましょう。

「意」にはいくつかの意味がありますが、この場合は「考え、気持ち」という意味です。「染まない」は「染む(そむ)」という動詞に打ち消し「ない」をつけた言葉で、現代でよく使う「染まらない」ではなく「染まない」という古語の形で使われています。

古語で「染む」は「しむ」とも読み、「染む(そむ)」とほぼ同じ意味の言葉として使われていました。現代語では「染みる(しみる)」と「染まる(そまる)」の二つの言葉になり、「染みる」の方に「深く心に感じる」という意味が残っています。そのため、「意に染まらない」とすると意味が通らなくなるので、誤用には注意してくださいね。

\次のページで「「意に染まない」の使い方・例文」を解説!/

「意に染まない」の使い方・例文

「意に染まない」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.意に染まない縁談は全てお断りしています。
2.話を聞く限り意に染まなかったので、仕事の話は断ろうと思っています。
3.もし意に染まなければ辞退してくれて構わない。

「意に染まない」を使った例文を3つ紹介しました。

「気に入らない」と読み換えるとどれもすんなり意味が通りますね。相手への配慮が必要な場合、「気に入らない」という言葉を使うと何だか自分勝手な言い方に聞こえてしまいますが、「意に染まない」だとその印象がだいぶ緩和されます。ストレートに意味が伝わらない分、丁寧な言葉遣いなどを求められる場面では「意に染まない」は重宝しそうです。

「意に染まない」の類義語は?違いは?

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次に「意に染まない」の類義語をいくつか紹介します。

その1「意に沿わない」

「意思に従わないことや意図しているものに沿っていない」という意味の言葉です。

「沿う」には「望まれていることや示されたことに合わせる。ある事柄から外れないようにする。かなう。」という意味があります。「ご希望に沿う」「ご意向に沿う」といった形で使われているのを多く目にしますね。

「染む」は、深く心に感じる・満足するなど自分主体の表現なのに対して、「沿う」は望まれていることや示されたことに合わせるという相手主体の表現のように感じられます。「〜の意に沿わない」のように相手主体の表現をしたい場合に使うと良いでしょう。

\次のページで「その2「気に染まない」」を解説!/

その2「気に染まない」

もう一つ似たような表現に「気に染まない」という言葉があります。

「心がそれになじまない。心からそうしたいとは思わない。」という意味です。「染まない」の「深く心に感じない、満足しない」という意味がはっきりと出ていることを感じられますね。「気」は考え、気持ちという意味なので、「意に染まない」と意味や使い方は全く同じです。

その3「憂鬱」

「ゆううつ」と読みます。

「気持ちがふさいで、晴れないこと。また、そのさま。」という意味です。これは「意に染まない」の中でも「気乗りしない」という意味での類義語として挙げました。聞き馴染みのある言葉で、用例も浮かびやすいでしょう。

ちなみに、「憂鬱」には「草木が暗くなるほどに茂ること」という意味もあります。鬱蒼と同じような意味ですね。この機会に一緒に覚えてみてください。

「意に染まない」の対義語は?

次に「意に染まない」の対義語をいくつか紹介します。

「納得する」

「他人の考え、行動などを理解して受け入れること。承知。同意。」という意味です。日常的に使うことばなので、意味はすんなり理解できるでしょう。

「納得」の類義語に「得心(とくしん)」という言葉があります。「心から承知すること」という意味で、「納得」よりもさらに受け入れ度が高いときに使える言葉です。こうした関連語もおさえていくと日々漢字の知識を増やしていくことができますよ。

「意に染まない」の英訳は?

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最後に「意に染まない」の英訳を紹介しましょう。キーワードとなる英単語が二つありますが、意味がほぼ同じなので同列で紹介しています。

「reluctant / unwilling」

どちらも「気が進まない」という意味の言葉です。

ウェブリオ英和辞典によると、「reluctant」「あることをやらなければならないと思いながらやる気になれないで、渋々ながらも一時的に同意する気持ちを表す」のに対して、「unwilling」「あることをやりたくないときっぱり拒否する」という意味になっています。これを読むと、「reluctant」の方が日本人的なイメージがわきますね。

「unwilling」は「willing」に否定の接頭辞がついた単語ですが、「willing」には「本当はしたくないが、してもかまわない」という意味があります。よって、やりたくない程度順に並べると、「unwilling」>「reluctant」>「willing」という風になるでしょうか。こうした使い分けができると、英語ができる人として注目されそうですね。

\次のページで「「意に染まない」を使いこなそう」を解説!/

「意に染まない」を使いこなそう

この記事では「意に染まない」の意味・使い方・類語などを説明しました。あまり聴き馴染みのない言葉でしたが、意味はしっかり理解できたでしょうか。わからないところがあれば、その都度復習して覚えていってくださいね。余談ですが、最近電子辞書を手に入れました。今まで紙の辞書だったので使いづらい部分もありますが、利用方法を少しずつ覚えて使いこなせるように毎日頑張っています。辞書以外にもいろいろなツールがあって楽しめているので、まだ持ってない方はぜひ試してみてください。

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【慣用句】「意に染まない」の意味や使い方は?例文や類語を早稲田文学部卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「意に染まない」について解説する。

端的に言えば意に染まないの意味は「気に入らない、気がすすまない」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

早稲田大学文学部で日本文学・日本語学を学んだぽん太を呼んです。一緒に「意に染まない」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ぽん太

早稲田大学文学部で日本語学と日本文学を学び、中高国語科の教員免許も取得している。これまで学んだ知識を生かして、難解な言葉をわかりやすく解説していく。

「意に染まない」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「意に染まない」の意味や語源・使い方を国語辞典で確認していきましょう。

「意に染まない」の意味は?

「意に染まない」には、次のような意味があります。

気に入らない。気がすすまない。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「意に染まない」

「いにそまない」と読みます。

「意に染まない縁談」のように使い、気に入っていない、気乗りしない様子を表す言葉です。現代ではあまり使われることのない言葉ですが、気に入らないことをちょっとカッコよく表現したいときにはぴったりですね。

「染む(そむ)」は古文で使われる言葉で、「深く心に感じる、しみる、満足する」という意味があります。物事や風景の美しさがじんわりと心に染み入るような感じがイメージできますね。それが「ない」と打ち消されているので、「深く心に感じない」、つまり「気に入らない、気乗りしない」という意味になります。

「意に染まない」の語源は?

次に「意に染まない」の語源を確認しておきましょう。

「意」にはいくつかの意味がありますが、この場合は「考え、気持ち」という意味です。「染まない」は「染む(そむ)」という動詞に打ち消し「ない」をつけた言葉で、現代でよく使う「染まらない」ではなく「染まない」という古語の形で使われています。

古語で「染む」は「しむ」とも読み、「染む(そむ)」とほぼ同じ意味の言葉として使われていました。現代語では「染みる(しみる)」と「染まる(そまる)」の二つの言葉になり、「染みる」の方に「深く心に感じる」という意味が残っています。そのため、「意に染まらない」とすると意味が通らなくなるので、誤用には注意してくださいね。

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