この記事では「意を体する」について解説する。

端的に言えば意を体するの意味は「考えに従う」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

多くの学術書を読み、豊富な知識をもつハヤカワを呼んです。一緒に「意を体する」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハヤカワ

学術書を中心に毎年100冊以上の本を読む、無類の本好き。人にさまざまな影響を与える言語、それ自体に強い興味をもち、言葉の細やかな表現にも並々ならないこだわりをもっている。

「意を体する(たいする)」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「意を体する」の意味や語源・使い方を一覧で確認していきましょう。またその他「意を体する」は分類としては慣用句であるという点も抑えておきましょう。

「意を体する」の意味は?

「意を体する」というキーワードを辞典・辞書・事典、ネット上の無料データベースサービス「コトバンク」で用語検索してみると、次のような記載があります。

1.人の意見や気持を理解し、それに従って行動する。
※江戸を東京と改称し給へる詔‐明治元年(1868)七月一七日「因て自今江戸を称して東京とせん。是朕(ちん)の海内一家、東西同視する所以(ゆゑん)なり。衆庶此意を体せよ」

出典:精選版 日本国語大辞典「意を体する」

「意を体する」は人の意見・考えを受け止め、それに則った行動をとることを意味しています。誰かの意見・考えを尊重し、そのとおりに動く様子を指して使われている単語です。また意を体するは、基本的には師匠・上司など目上の人物の意見に対して、それを自分の意見として動く場合によく使われています。

またこちらの「体する」は、「体のいい返事(ていのいいへんじ)」・「然らぬ体(さらぬてい)」などと違い、ていではなく「たいする」と読む為、誤読に注意しましょう。古めかしい単語となっており、現在は小説など、文章の中で時折見かけるくらいの使用頻度となっています。

「意を体する」の語源は?

次に「意を体する」の語源を確認しておきましょう。意を体するは「意」と「体する」の前後二種類の単語を組み合わせて生まれました。「意」は心・気持ち・考えを意味しており、「体する」は心に留め、守るという意味を表しています。

「意を体する」はこれら二つの単語を組み合わせて、人の気持ち・考えを心に留め、それを守って行動するという意味を表す慣用句となりました。「体する」という単語は、命令・教えを心にとどめて守るという場面で使われることがあります。こちらも語彙力を高める為にもあわせて覚えておきましょう。

\次のページで「「意を体する」の使い方・例文」を解説!/

「意を体する」の使い方・例文

「意を体する」の使い方を例文を使って、概要を見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.恩師の意を体して、生涯学習を続けた。
2.会社の社長の意を体して、先方に出向いた。
3.主人の意を体し、交渉に向かう。

「意を体する」は例文のように、師匠・上司・主人など、目上の人物の意思に従い、それに則って動くという場合によく使われています。「意を体する」という形式で使われるよりは、「体して」といった形で、あとの具体的な行動の記述とあわせて使われることが多いですね。

目上の人物の意思に則り、その配下である人物がなにか行動を起こす。「意を体する」はこうした場面で使われる言葉となっています。「意を体する」は口語として使われることは殆どありません。実際に使う場合はこの点に注意して使用していきましょう。

「意を体する」の類義語は?違いは?

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続いて「意を体する」の類義語・違いについて確認していきましょう。「意を体する」の類義語をいくつかピックアップしました。関連するよく似た表現との違いを確認することで、「意を体する」という言葉の機能をより深く理解することができます。

その1「意を酌む」

「意を酌む」は誰かの意見・考えを尊重するという意味をもった単語です。「意を体する」と同様に人の意見・考えを理解し行動するといった場面で使われており、非常によく似た類義語となっています。

こちらは上司が部下の意思に従うといった場面でもよく使われており、「意を体する」よりも、より幅広いシーンで使われている慣用句です。こうした点に注意し、「意を体する」と使い分けていきましょう。

\次のページで「その2「意向に沿う」」を解説!/

その2「意向に沿う」

「意向に沿う」は相手の思うところ・考えに則り動くことを意味する単語です。こちらも人の考えを受け取り、そのとおりに動く場面で使われている類義語となっています。またこちらは「ご意向に沿えず申し訳ありません」など、ビジネスシーンでも使われることのある単語です。

その3「意を得る」

「意を得る」は自分の意見・考えとぴったり合う、自分の思い通りの状況になる、といった意味を表す単語です。他人の考えと自身の考えが合致し、心持ちを良くする。「意を得る」はこうした場面で使われています。

特に「我が意を得たり」というフレーズは小説・漫画など、物語中に使われることがあり、案外身近な単語の一つですね。こちらも「意を体する」とあわせて意味を覚えておきましょう。

「意を体する」の対義語は?

つづいて「意を体する」の対義語についても確認していきましょう。「意を体する」には明確に対義語とされている語はありません。しかしその意味から連想してみると次の単語が思い浮かびます。

「意に背く(そむく)」

「意に背く」は目上の人物の意見・考えに反抗し、逆らって従わないことを意味する単語です。「意を体する」が目上の人物の意見・考えに同調し、従って動くのに対して、こちらは目上の人物に逆らう意味となっています。

ちょうど「意を体する」と真逆の意味を表すことができる便利な慣用句です。使用頻度としても「意を体する」と同じように、文章中に時折見かける程度のモノとなっています。こちらもあわせて覚えておきましょう。

「意を体する」の英訳は?

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つづいて「意を体する」の英語訳についても確認していきましょう。

「obey someone's thoughts」

「obey someone's thoughts」は人の考えに従うという意味をもったフレーズです。こちらは「意を体する」の誰かの意見・考えを理解し、それに則るという意味合いを表現することができます。また「obey」単体は、ルール・上司の言うことに従うといった意味をもった他動詞です。こちらも覚えておきましょう。

\次のページで「「意を体する」を使いこなそう」を解説!/

「意を体する」を使いこなそう

この記事では「意を体する」の意味・使い方・類語などを説明しました。「意を体する」は人の考え・意見を理解し、それに従って行動するという意味をもった慣用句です。目上の人物の意見・考えに従うといった場面で使われることが多い点に注意していきましょう。

また類義語には「意を酌む」、「意向に沿う」、「意を得る」などがありました。それぞれ少しづつニュアンスが違うため、細かい意味や使われる場面を確認しつつ、使い分けていきましょう。今回の記事が皆さんの参考になっていれば幸いです。

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国語言葉の意味

【慣用句】「意を体する」の意味や使い方は?例文や類語を読書家Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「意を体する」について解説する。

端的に言えば意を体するの意味は「考えに従う」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

多くの学術書を読み、豊富な知識をもつハヤカワを呼んです。一緒に「意を体する」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハヤカワ

学術書を中心に毎年100冊以上の本を読む、無類の本好き。人にさまざまな影響を与える言語、それ自体に強い興味をもち、言葉の細やかな表現にも並々ならないこだわりをもっている。

「意を体する(たいする)」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「意を体する」の意味や語源・使い方を一覧で確認していきましょう。またその他「意を体する」は分類としては慣用句であるという点も抑えておきましょう。

「意を体する」の意味は?

「意を体する」というキーワードを辞典・辞書・事典、ネット上の無料データベースサービス「コトバンク」で用語検索してみると、次のような記載があります。

1.人の意見や気持を理解し、それに従って行動する。
※江戸を東京と改称し給へる詔‐明治元年(1868)七月一七日「因て自今江戸を称して東京とせん。是朕(ちん)の海内一家、東西同視する所以(ゆゑん)なり。衆庶此意を体せよ」

出典:精選版 日本国語大辞典「意を体する」

「意を体する」は人の意見・考えを受け止め、それに則った行動をとることを意味しています。誰かの意見・考えを尊重し、そのとおりに動く様子を指して使われている単語です。また意を体するは、基本的には師匠・上司など目上の人物の意見に対して、それを自分の意見として動く場合によく使われています。

またこちらの「体する」は、「体のいい返事(ていのいいへんじ)」・「然らぬ体(さらぬてい)」などと違い、ていではなく「たいする」と読む為、誤読に注意しましょう。古めかしい単語となっており、現在は小説など、文章の中で時折見かけるくらいの使用頻度となっています。

「意を体する」の語源は?

次に「意を体する」の語源を確認しておきましょう。意を体するは「意」と「体する」の前後二種類の単語を組み合わせて生まれました。「意」は心・気持ち・考えを意味しており、「体する」は心に留め、守るという意味を表しています。

「意を体する」はこれら二つの単語を組み合わせて、人の気持ち・考えを心に留め、それを守って行動するという意味を表す慣用句となりました。「体する」という単語は、命令・教えを心にとどめて守るという場面で使われることがあります。こちらも語彙力を高める為にもあわせて覚えておきましょう。

\次のページで「「意を体する」の使い方・例文」を解説!/

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