この記事では「カボチャに目鼻」について解説する。

端的に言えばカボチャに目鼻の意味は「丸顔の醜い女」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国語力だけでこれまでの社会人生活を乗り切ってきたライター、ヤザワナオコに、「カボチャに目鼻」の意味や例文、類語などを説明してもらおう。

ライター/ヤザワナオコ

コールセンターの電話応対指導やマナー講師、テレビ番組の字幕製作経験もあるライター、ヤザワナオコ。

今まで働いた職場では「カボチャに目鼻」などとあからさまに女性の容姿をけなすような人には出会わなかったらしい。それとも男性たちは女性がいないところでは、陰口としてこうした言葉を使っているのかと思うと恐ろしくなるとか。カボチャに目鼻とはどんなときに使う言葉なのか解説してもらう。

「カボチャに目鼻」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「カボチャに目鼻」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。カボチャに目や鼻があるといっても、ハロウィーンの飾り物でよく見るカボチャ、「ジャック・オー・ランタン」とは関係ありませんよ。

「カボチャに目鼻」の意味は?

「カボチャに目鼻」には、次のような意味があります。

丸顔で、太っていて背の低い人の形容。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

サイトによっては「不器量な顔を形容した言葉」と説明するものもありますが、本来、「カボチャに目鼻」は体型込みで不美人を表すものです。すらっとした体つきではカボチャをイメージしにくいですよね。また、多くの場合、女性について用いられる言葉という特徴も。男だけで盛り上がった際などに、周囲の女性の誰かを「あいつなんてカボチャに目鼻だからな」などとけなす様子が目に浮かびます。あまり素敵な光景とは言えませんね。

「カボチャに目鼻」の語源は?

次に「カボチャに目鼻」の語源を確認しておきましょう。文字どおり、野菜のカボチャに目と鼻がついただけ、ということから、ずんぐりむっくりしていて美しくない容姿を表します。

それにしてもカボチャは、慣用句の世界ではあまり扱いが良くないように感じませんか。期待がかかる大舞台で緊張するシーンでは「観客なんてみんなかぼちゃだと思え」なんて励まされることも。こちらの由来は、居並ぶ観客の頭をたくさんのカボチャが並ぶ畑に例えたとか、カボチャのように表面がごつごつして大したことないものになぞらえたなど諸説ありますよ。

なお、「目鼻」を使う慣用句としては、「目鼻がつく」という言い方もあります。これは物事のおおよその見通しが立つということ。人形制作や人物画を描く際、目と鼻が入れば大体の雰囲気や出来のよさが想像できることから来ています。

\次のページで「「カボチャに目鼻」の使い方・例文」を解説!/

「カボチャに目鼻」の使い方・例文

「カボチャに目鼻」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

・職場にいくら女性がいるといっても、カボチャに目鼻ばかりじゃ結婚相手なんて見つける気にもなりません。

・彼は奥さんのことを「カボチャに目鼻」と悪口を言っていたが、家では家事もするし仲もいいらしい。はたからは夫婦のことは分からないものだ。

例文のように、「カボチャに目鼻」によいニュアンスはありません。現代の感覚では、会社で上司が女性社員を「カボチャに目鼻」などと評することがあれば即問題発言と判断されることでしょう。女性蔑視といわれても仕方ありませんし、外見で人を差別するルッキズムとも捉えられかねません。相手に聞かれなくとも、発言者自身や会社の姿勢が問題視されるような大変な騒動を起こす危険もはらんでいます。職場に限らず、男性が女性の顔立ちやスタイルを評価するのは感じのいいものではありません。皆さんも、「カボチャに目鼻」の意味を知ったからといって安易に使おうとは思わないでください。

「カボチャに目鼻」の類義語は?違いは?

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「カボチャに目鼻」と似たニュアンスで使える表現を見ていきましょう。

その1「炭団に目鼻(たどんにめはな)」

炭団は真ん丸に加工された真っ黒な燃料のこと。そこから、色黒で目鼻立ちがはっきりしない顔をこういいます。黒い炭に目鼻がついたように、どこが目でどこが鼻だかよくわからないとはずいぶんな言いようですね。この言葉は顔立ちのことだけを表し、「カボチャに目鼻」のように特定の体型を表すニュアンスはありません。

\次のページで「その2「団子に目鼻(だんごにめはな)」」を解説!/

その2「団子に目鼻(だんごにめはな)」

丸い顔のことです。シンプルに顔の形だけを表す言葉で、体型や、顔立ちの美醜を問わず用いられます。「団子」というと、表面が滑らかでつやつやしたいいイメージが筆者にはありますが、そうしたニュアンスもありません。

その3「鍋蓋に目鼻(なべぶたにめはな)」

なべぶたといっても「京」や「交」の字に見られる漢字の部首ではなく、丸く平らで色の黒い顔をばかにして言う表現です。確かに鍋のふたは大きく丸くのっぺりとした印象ではありますが、よくこんなにいろいろなものに「目鼻」をつけた想像がされたものだな、と感じます。

「カボチャに目鼻」の対義語は?

次に、「カボチャに目鼻」とは反対に、美しい容姿、すらっとした姿を表す慣用句を紹介します。

その1「卵に目鼻(たまごにめはな)」

色白でかわいらしい顔立ちのことです。不美人を表すときは黒いものが多く例に使われたことを思うと、昔は今以上に色白であることが珍重されたことがよくわかりますね。「色の白いは七難隠す(いろのしろいはしちなんかくす)」ということわざもあるほどです。

色だけでなく、卵型という顔の形も美人の条件としてよく挙げられます。確かに人気女優やモデルには卵型の顔を持つ人が多い気も。時にはそんな視点でテレビやネットを見てみるのも面白いかもしれませんね。

その2「楊枝に目鼻(ようじにめはな)」

とても痩せた人を表す言い方です。「カボチャに目鼻」の「背が低く太った」の部分と正反対ですね。この言葉は体型を指しており、顔立ちについては特に問題にしていません。

「カボチャに目鼻」の英訳は?

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最後に「カボチャに目鼻」の雰囲気を持つ英語表現を解説します。

\次のページで「「humpty dumpty」」を解説!/

「humpty dumpty」

マザーグースの詩が元で、ルイス・キャロルの「鏡の国のアリス」にも登場するハンプティ・ダンプティ。キャラクターそのものを示すほか、「ずんぐりむっくりな人」という意味もあります。「カボチャに目鼻」が表す「背が低くて太っている」とは共通しますが、顔立ちが醜いというニュアンスはありません。日本では卵を顔に例えて「美しい」を表しますが、英語では「卵のよう」を体型として捉えるのですね。

なお、「humpty dumpty」にはさらに「一度壊れたら元に戻らないもの」の意味も。マザーグースの詩でも、座っていた壁から落ちてバラバラになり、大勢が協力しても元に戻せなかったさまが描かれています。

「カボチャに目鼻」を使いこなそう

この記事では「カボチャに目鼻」の意味・使い方・類語などを説明しました。「使いこなそう」と言っても、先ほども触れたとおり「カボチャに目鼻」は積極的に人に言うべき言葉ではありません。誰かが女性をそう評価しているのを聞いたら、「それはまずいんじゃない?」と言えるくらいのほうがいいでしょう。知識がなければ、「わー、ほんとだ!」などと差別に加担しかねませんから気をつけてくださいね。

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【慣用句】「カボチャに目鼻」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「カボチャに目鼻」について解説する。

端的に言えばカボチャに目鼻の意味は「丸顔の醜い女」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国語力だけでこれまでの社会人生活を乗り切ってきたライター、ヤザワナオコに、「カボチャに目鼻」の意味や例文、類語などを説明してもらおう。

ライター/ヤザワナオコ

コールセンターの電話応対指導やマナー講師、テレビ番組の字幕製作経験もあるライター、ヤザワナオコ。

今まで働いた職場では「カボチャに目鼻」などとあからさまに女性の容姿をけなすような人には出会わなかったらしい。それとも男性たちは女性がいないところでは、陰口としてこうした言葉を使っているのかと思うと恐ろしくなるとか。カボチャに目鼻とはどんなときに使う言葉なのか解説してもらう。

「カボチャに目鼻」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「カボチャに目鼻」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。カボチャに目や鼻があるといっても、ハロウィーンの飾り物でよく見るカボチャ、「ジャック・オー・ランタン」とは関係ありませんよ。

「カボチャに目鼻」の意味は?

「カボチャに目鼻」には、次のような意味があります。

丸顔で、太っていて背の低い人の形容。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

サイトによっては「不器量な顔を形容した言葉」と説明するものもありますが、本来、「カボチャに目鼻」は体型込みで不美人を表すものです。すらっとした体つきではカボチャをイメージしにくいですよね。また、多くの場合、女性について用いられる言葉という特徴も。男だけで盛り上がった際などに、周囲の女性の誰かを「あいつなんてカボチャに目鼻だからな」などとけなす様子が目に浮かびます。あまり素敵な光景とは言えませんね。

「カボチャに目鼻」の語源は?

次に「カボチャに目鼻」の語源を確認しておきましょう。文字どおり、野菜のカボチャに目と鼻がついただけ、ということから、ずんぐりむっくりしていて美しくない容姿を表します。

それにしてもカボチャは、慣用句の世界ではあまり扱いが良くないように感じませんか。期待がかかる大舞台で緊張するシーンでは「観客なんてみんなかぼちゃだと思え」なんて励まされることも。こちらの由来は、居並ぶ観客の頭をたくさんのカボチャが並ぶ畑に例えたとか、カボチャのように表面がごつごつして大したことないものになぞらえたなど諸説ありますよ。

なお、「目鼻」を使う慣用句としては、「目鼻がつく」という言い方もあります。これは物事のおおよその見通しが立つということ。人形制作や人物画を描く際、目と鼻が入れば大体の雰囲気や出来のよさが想像できることから来ています。

\次のページで「「カボチャに目鼻」の使い方・例文」を解説!/

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