今回は「日本における冬の天気の特徴」について解説していきます。

日本における冬の天気の特徴と聞くと、どのようなものを連想するでしょうか。雪を連想する人、乾燥した空気を連想する人など様々でしょう。このように様々なイメージをする人がいる理由は、日本の中でも地域によって冬の天気の特徴が異なるからです。今回は各地域の冬の天気とそのメカニズムについて詳しく説明するつもりです。ぜひ、この機会に日本における冬の天気の特徴について理解を深めてくれ。

環境工学を専攻している現役理系学生ライター通りすがりのペンギン船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。エネルギー工学、環境工学を専攻している。これらの学問への興味は人一倍強い。土壌、生態系、気象、地球温暖化について学んだこともある。

日本における冬の天気の特徴とは?

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今回の記事のメインテーマは、日本における冬の天気です。具体的には、冬の天気の特徴について解説します。また、冬の天気と関連性の深い気象現象についても解説しますよ。以上の内容は中学校の理科の教科書にも載っているような基礎的なものです。

ですから、地学をほとんど学んだことがない方であっても、冬の天気について比較的簡単に理解できるでしょう。また、地学全般に興味があり、これから本格的に学びたいという方もおられるかもしれません。冬の天気の特徴というテーマは、このような方にとっても良い教材になり得るものです。それでは早速解説をはじめていきますね。最初は、冬の天気の特徴を地方別に学んでいきましょう

1.太平洋側

1.太平洋側

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まずは、太平洋側の地域における冬の天気について学んでいきましょう。太平洋側の地域というのは、日本列島の中央部に存在する山地や山脈よりも南側の場所のことを指しますよ。太平洋側の地域では、冬季の間に空気が乾燥しやすくなり、晴天の日が多くなります。関東地方では、からっ風という乾燥した強い風が吹くことが有名ですよね。

晴天の日が多いことから、冬の太平洋側の地域では、過ごしやすい天気が続くようなイメージをされる方も多いかもしれません。ですが、実際は必ずしもそのようになる訳ではないのです。晴天の日が多いと、夜間の放射冷却により地面の温度が下がりやすくなります。これにより、気温が下がりやすくなるのです

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2.日本海側

2.日本海側

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次に、冬の日本海側の地域ではどのような天気になるのかということを考えていきましょう。日本海側の地域では、冬になると湿った空気が流れ込み、降雪量・降雨量が多くなります。大雪になるようなことも多いですよ。このような理由から、日本海側にはスキー場が多く存在します。このように聞くと楽しそうなイメージをもつかもしれませんが、雪が多いことは必ずしも良いことではありません。

雪が多くなると、道路や鉄道が不通になったり、停電が発生しやすくなったりしますこのように雪はインフラに悪影響を与える可能性があるため、雪が多い地域では、様々な対策がなされていますよ。具体的な対策としては、道路や鉄道路線に設置されているスノーシェルター融雪機などが挙げられます。

3.北海道

3.北海道

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日本の大部分は、温帯という気候帯に属しますが、北海道と沖縄は異なります以下では、日本の温帯以外の地域における冬について学んでいきましょう。まずは、亜寒帯(冷帯)に属している北海道の冬について学びますよ。北海道は日本全体で考えたときに、降雪量は非常に多くなっています。

北海道の雪は粒の大きさが小さいとされていますよ。北海道の雪はサラサラしていると表現されることもよくありますよね。これは、空気中に含まれる水蒸気が少なくなるために生じる現象です北海道の気温が非常に低いため、湿度が上がりにくいのですね

北海道の雪はスキーやスノーボードなどに適しており、スキー場には毎年多くの人が訪れます。しかしながら、北海道の雪質は人々の生活に悪影響を及ぼすこともありますよ粒の小さい雪は機器の奥深くまで入り込みやすく、機械の故障の原因になるのです。ですから、北海道で使用されている鉄道車両には、特別な雪害対策がなされていますよ。

4.沖縄

4.沖縄

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続いては、沖縄の冬の天気について説明していきます。沖縄は熱帯または亜熱帯に属していますよ南国のイメージの通り、沖縄の冬は暖かく、気温が10℃を下回ることはほとんどありません。ですが、季節風の影響から沖縄では冬の間に降水量がやや多くなりますよ。長雨になることもあります。季節風に関しては、後ほど詳しく説明しますね。

以上を踏まえると、沖縄で雪が降ることは到底思いつきもしません。ですが、実際は沖縄で雪が降った記録が残されているのです気象庁の情報によると、2016年と1977年に沖縄に雪が降ったそうですよ。また、琉球王国時代の歴史書にも雪に関する記述が残されています

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冬の天気を説明する上で重要なキーワード

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気象庁, CC 表示 4.0, リンクによる

以下では、冬の天気を学問的な観点で考察する際に重要になるキーワードについて説明します。具体的には、『季節風』と『西高東低の気圧配置』について紹介しますよ。この2点をおさえることができれば、冬の天気について基礎的な理解はできたことになります。

これらの言葉は新聞やテレビで頻繁に目にするものです。これらの意味を知っておくことで、天気予報の内容もより深く理解できるようになりますよ。先ほど説明した事柄を思い出しながら、重要な2つのキーワードについての説明を読み進めてください

1.季節風

季節風は冬の時期になると吹く北西風のことですよ。この風はシベリア気団由来の寒気を多く含んでおり、ユーラシア大陸から日本海を超えて日本列島に到来します季節風は日本海上空を通過する際に海からの水蒸気を吸収するため、日本に到来するころには湿った空気になっていますよ

湿った季節風が日本の山地や山脈にぶつかるとき、活発な雨雲が形成されます。この雨雲が原因で、日本海側で大雪が降るのです。そして、日本海側で多くの雪を降らせた季節風が太平洋側に移動するときには、空気の湿り気がなくなります。これが冬の太平洋側の地域で空気が乾燥する理由になりますよ。

2.西高東低の気圧配置

最後に、西高東低の気圧配置について学びましょう。冬の時期になると、日本列島を中心として西側に高気圧、東側に低気圧が存在することが多くなります。このことを『西高東低』と表現するのです。西高東低の気圧配置は、典型的な冬型の気圧配置なのですね。

西高東低の気圧配置となるとき、等圧線は南北を貫くように引かれますよ。一般的に風の向きは等圧線に対して垂直に吹くことが知られています。このことを考えると、季節風の向きは西高東低の気圧配置によって説明できることがわかりますよね。以上が、西高東低の気圧配置の解説になります。

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日本における冬の天気の特徴を学ぶ意義

この記事では、日本各地における冬の天気の特徴を学びました。その後、このような特徴になる理由を説明するために、季節風と西高東低の気圧配置について説明しましたよね。以上の説明を通して、同じ日本という国の中であっても、気候に差があることを実感していただけたことでしょう。

冬の天気について理解ができていれば、新しい視点で天気予報を見ることができるかもしれません。ぜひこの機会に、日本における冬の天気の特徴について学んでみてくださいね。

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地学地球大気・海洋理科

3分で簡単日本における冬の天気の特徴!日本海側と太平洋側の違いは?理系学生ライターが徹底わかりやすく解説!

今回は「日本における冬の天気の特徴」について解説していきます。

日本における冬の天気の特徴と聞くと、どのようなものを連想するでしょうか。雪を連想する人、乾燥した空気を連想する人など様々でしょう。このように様々なイメージをする人がいる理由は、日本の中でも地域によって冬の天気の特徴が異なるからです。今回は各地域の冬の天気とそのメカニズムについて詳しく説明するつもりです。ぜひ、この機会に日本における冬の天気の特徴について理解を深めてくれ。

環境工学を専攻している現役理系学生ライター通りすがりのペンギン船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。エネルギー工学、環境工学を専攻している。これらの学問への興味は人一倍強い。土壌、生態系、気象、地球温暖化について学んだこともある。

日本における冬の天気の特徴とは?

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今回の記事のメインテーマは、日本における冬の天気です。具体的には、冬の天気の特徴について解説します。また、冬の天気と関連性の深い気象現象についても解説しますよ。以上の内容は中学校の理科の教科書にも載っているような基礎的なものです。

ですから、地学をほとんど学んだことがない方であっても、冬の天気について比較的簡単に理解できるでしょう。また、地学全般に興味があり、これから本格的に学びたいという方もおられるかもしれません。冬の天気の特徴というテーマは、このような方にとっても良い教材になり得るものです。それでは早速解説をはじめていきますね。最初は、冬の天気の特徴を地方別に学んでいきましょう

1.太平洋側

1.太平洋側

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まずは、太平洋側の地域における冬の天気について学んでいきましょう。太平洋側の地域というのは、日本列島の中央部に存在する山地や山脈よりも南側の場所のことを指しますよ。太平洋側の地域では、冬季の間に空気が乾燥しやすくなり、晴天の日が多くなります。関東地方では、からっ風という乾燥した強い風が吹くことが有名ですよね。

晴天の日が多いことから、冬の太平洋側の地域では、過ごしやすい天気が続くようなイメージをされる方も多いかもしれません。ですが、実際は必ずしもそのようになる訳ではないのです。晴天の日が多いと、夜間の放射冷却により地面の温度が下がりやすくなります。これにより、気温が下がりやすくなるのです

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