この記事では「鞍上人無く鞍下馬無し」について解説する。

端的に言えば鞍上人無く鞍下馬無しの意味は「乗り手と馬が一体と思えるほど巧みに操る」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ鞍。

絵本から専門書まで読み漁る本の虫、シクロを呼んです。一緒に「鞍上人無く鞍下馬無し」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/シクロ

絵本から専門書まで読み漁る本の虫。塾講師の経験もあり、難関校への合格実績も多数。

知識であれスポーツであれ芸術であれ、すべての物事は練習をして身に着け上達するものだと考えている。尚、スポーツは全体的に苦手。

「鞍上人無く鞍下馬無し」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「鞍上人無く鞍下馬無し」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「鞍上人無く鞍下馬無し」の意味は?

「鞍上人無く鞍下馬無し」には、次のような意味があります。

1.乗り手が馬を巧みに御し、乗り手と馬とが一体となって見える形容。

出典:用例でわかることわざ辞典(学研出版)「鞍上人無く鞍下馬無し」

「鞍上人無く鞍下馬無し」の意味は上述の通りであり、読み方は「あんじょうひとなくあんかうまなし」です。

これは乗馬の名人が巧みな技術を有しているために、乗り手と馬とが別の生き物であると思えないほどに自在に駆け回る様子を表しています。

オリンピックの季節やテレビなどで馬術を観戦する機会がある方もいらっしゃるかもしれません。筆者も拝見したことがありますが、乗り手と馬とが軽やかに障害物を飛び越えたり自由に駆け巡る様子は、まるで一人と一頭の意識が存在に至るまで一つに融合したような、ある種の感動を覚えるものです。

「鞍上人無く鞍下馬無し」の語源は?

次に「鞍上人無く鞍下馬無し」の語源を確認しておきましょう。

「鞍上人無く鞍下馬無し」は馬を繰る人間と馬の呼吸がぴったりである為に、乗り手と馬がまるで一つの生き物であるかのように動くことから生まれた言葉です。乗馬の経験がある方はご存じと思いますが、乗馬では歩く馬に乗るだけでも技術が要ります。

それも当然で、馬は四足歩行の動物であり、歩く際のリズムは人間のそれとはまったく異なっているためです。体重の移動なども当然人間とは違っているため、馬と一体になったと錯覚するほどに上達することは、馬術のトップクラスの選手であっても至難の業と言えるでしょう。

ちなみに乗馬においてゆっくりと歩く状態を「常歩」という為、これも憶えておくと良いでしょう。

\次のページで「「鞍上人無く鞍下馬無し」の使い方・例文」を解説!/

「鞍上人無く鞍下馬無し」の使い方・例文

「鞍上人無く鞍下馬無し」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.馬が重力を感じさせずにバーを飛び越え、まさに鞍上人無く鞍下馬無しの技術であると感嘆した。

2.サーカスの動物ショーは人と動物の見事な連携で成り立っており、これが人と馬ならまさに鞍上人無く鞍下馬無しだろうという感想を抱いた。

「鞍上人無く鞍下馬無し」という言葉は乗馬におけることわざというだけあって、使用用途が限定されがちな言葉です。その為、あえて日常で使う場合は例文2のように、比喩的な使い方をすることになるでしょう。

「鞍上人無く鞍下馬無し」の類義語は?違いは?

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鞍上人無く鞍下馬無しは乗馬に関する言葉であり、用途が限定的であるとお伝えしました。それではこの言葉に類義語は存在するのでしょうか。

それでは早速類義語を確かめてみましょう。

「人馬一体」

「鞍上人無く鞍下馬無し」の類義語は「人馬一体」です。この言葉の意味は「鞍上人無く鞍下馬無し」と全く同じ、「乗り手と馬の呼吸が一つになることで、まるで一つの生き物のように自在に動くこと」という意味を持ちます。こちらの方が字面から意味が直接伝わってくるためわかりやすい印象を受けますね。

人と馬との歴史は長く、日本、外国を問わず世界中の各地で人と馬は一緒に暮らして時を積み重ねてきました。その為、限定的と思われた「鞍上人無く鞍下馬無し」と同じ意味の言葉が存在したというわけですね。

\次のページで「「鞍上人無く鞍下馬無し」の対義語は?」を解説!/

「鞍上人無く鞍下馬無し」の対義語は?

「鞍上人無く鞍下馬無し」の対義語はありません。鞍上人無く鞍下馬無しの反対の意味となる、「人と馬がちぐはぐに動いている」という意味の言葉が存在しないためです。

ただし、馬という言葉を含んだことわざや慣用句は数多く存在しますので、この機会にいくつか覚えてみてはいかがでしょう。

一例としては、「痩せ馬鞭を恐れず」という言葉があります。この言葉の意味としては、「こき使われた馬は鞭に打たれることに慣れして待った結果命令を聞かなくなる」というものです。乗り手が自在に馬を操るという意味から考えれば、反対の意味に近いと言えるかもしれません。尚、この言葉は転じて、生活に困った人は罪を犯すことを恐れないという意味もありますよ。

「鞍上人無く鞍下馬無し」の英訳は?

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「鞍上人無く鞍下馬無し」の英語訳は存在しません。正確には同じ意味を持つイディオムやフレーズが存在しないという意味です。

あえて直訳をしてみるならば、「A rider manipulates a horse as if they were one unit.」といった具合になるでしょうか。格言っぽく英訳をしてみるならば、「No one cannot separate an adepted rider and a horse from each other.」という英語にしてみるのも面白いかもしれません。

「鞍上人無く鞍下馬無し」の英語訳は存在しませんでしたが、英語でhorseを使用したことわざも豊富ですので、皆さんも「鞍上人無く鞍下馬無し」の英語訳を考える傍らに調べてみてはいかがでしょうか。

「鞍上人無く鞍下馬無し」を使いこなそう

この記事では「鞍上人無く鞍下馬無し」の意味・使い方・類語などを説明しました。

日常では使う機会に恵まれにくい言葉ではありますが、だからこそ使える場面を逃さずこの言葉が口から出ると良いですね。

呼吸が合っているという意味の言葉として、「阿吽の呼吸」などがありますので、汎用性のある言葉としてはこちらを使うのも良いと思います。言葉をトランプの手札のように頭に思い浮かべ、ここぞという時、切り札のように「鞍上人無く鞍下馬無し」という言葉を使えば、言語力の高い人と見られることでしょう。

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【ことわざ】「鞍上人無く鞍下馬無し」の意味や使い方は?例文や類語を超読書家Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「鞍上人無く鞍下馬無し」について解説する。

端的に言えば鞍上人無く鞍下馬無しの意味は「乗り手と馬が一体と思えるほど巧みに操る」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ鞍。

絵本から専門書まで読み漁る本の虫、シクロを呼んです。一緒に「鞍上人無く鞍下馬無し」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/シクロ

絵本から専門書まで読み漁る本の虫。塾講師の経験もあり、難関校への合格実績も多数。

知識であれスポーツであれ芸術であれ、すべての物事は練習をして身に着け上達するものだと考えている。尚、スポーツは全体的に苦手。

「鞍上人無く鞍下馬無し」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「鞍上人無く鞍下馬無し」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「鞍上人無く鞍下馬無し」の意味は?

「鞍上人無く鞍下馬無し」には、次のような意味があります。

1.乗り手が馬を巧みに御し、乗り手と馬とが一体となって見える形容。

出典:用例でわかることわざ辞典(学研出版)「鞍上人無く鞍下馬無し」

「鞍上人無く鞍下馬無し」の意味は上述の通りであり、読み方は「あんじょうひとなくあんかうまなし」です。

これは乗馬の名人が巧みな技術を有しているために、乗り手と馬とが別の生き物であると思えないほどに自在に駆け回る様子を表しています。

オリンピックの季節やテレビなどで馬術を観戦する機会がある方もいらっしゃるかもしれません。筆者も拝見したことがありますが、乗り手と馬とが軽やかに障害物を飛び越えたり自由に駆け巡る様子は、まるで一人と一頭の意識が存在に至るまで一つに融合したような、ある種の感動を覚えるものです。

「鞍上人無く鞍下馬無し」の語源は?

次に「鞍上人無く鞍下馬無し」の語源を確認しておきましょう。

「鞍上人無く鞍下馬無し」は馬を繰る人間と馬の呼吸がぴったりである為に、乗り手と馬がまるで一つの生き物であるかのように動くことから生まれた言葉です。乗馬の経験がある方はご存じと思いますが、乗馬では歩く馬に乗るだけでも技術が要ります。

それも当然で、馬は四足歩行の動物であり、歩く際のリズムは人間のそれとはまったく異なっているためです。体重の移動なども当然人間とは違っているため、馬と一体になったと錯覚するほどに上達することは、馬術のトップクラスの選手であっても至難の業と言えるでしょう。

ちなみに乗馬においてゆっくりと歩く状態を「常歩」という為、これも憶えておくと良いでしょう。

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