この記事では「虎口を逃れて竜穴に入る」について解説する。

端的に言えば虎口を逃れて竜穴に入るの意味は「逃れた先でまた問題に遭遇する」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

絵本から専門書まで読み漁る本の虫、シクロを呼んです。一緒に「虎口を逃れて竜穴に入る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/シクロ

絵本から専門書まで読み漁る本の虫。塾講師の経験もあり、難関校の合格実績も多数。

大人が童話を読むのかと笑われることも多いが、ことわざの英訳は洋書の童話で知ることができると心を強く持つ日々。

「虎口を逃れて竜穴に入る」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「虎口を逃れて竜穴に入る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「虎口を逃れて竜穴に入る」の意味は?

「虎口を逃れて竜穴に入る」には、次のような意味があります。

1.災難が次から次へと降りかかるたとえ。

出典:用例でわかることわざ辞典(学研出版)「虎口を逃れて竜穴に入る」

「虎口を逃れて竜穴に入る」の読み方は「ここうをのがれてりゅうけつにいる」意味は「次から次へと災難が降りかかること」です。

この記事をご覧になっている方にも、人生の中で災難が立て続けに発生して参ってしまった経験をお持ちの方もいらっしゃることでしょう。そんな時はまさに弱り目に祟り目、なぜ自分にだけそのような不幸が連続するのか、と世界を呪いたくなることもあるのではないでしょうか。

かくいう筆者も、過去に傘を忘れて雨に降られてずぶ濡れになった上、ズボンをひっかけて破れてしまい買い替えなければいけなくなったというエピソードがあります。まさに虎口を逃れて竜穴に入るような出来事ですね。

「虎口を逃れて竜穴に入る」の語源は?

次に「虎口を逃れて竜穴に入る」の語源を確認しておきましょう。

このことわざは、虎に遭遇して必死に逃げた結果、なんと虎のえさになる危険から脱したと安堵した矢先、今度は竜の住む穴に逃げ込んでいたということから成り立っています。

ただ、このお話がどの故事に由来するかは不明であり、筆者もこのエピソードを収録した書籍に巡り合いたいと願う日々です。

\次のページで「「虎口を逃れて竜穴に入る」の使い方・例文」を解説!/

「虎口を逃れて竜穴に入る」の使い方・例文

「虎口を逃れて竜穴に入る」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.おせんべいをのどに詰まらせ、慌てて手元のジンジャーエールで流し込んだ。だが、炭酸と生姜の風味がきつくて咽てしまい、虎口を逃れて竜穴に入るような有様だった。
2.仕事中に電球が切れたため、新たな電球と脚立を取ってきた。いざ交換しようとしたその時、脚立の段が外れて盛大に転んでしまった。まさに虎口を逃れて竜穴に入るような出来事だった。

「虎口を逃れて竜穴に入る」の意味は「災難が立て続けに起こること」ですので、2つの例文のように不幸な出来事が立て続けに発生した内容に対して使うことができます。使い方に困る言葉ではありませんが、聞き慣れない言葉ですので、日常会話で使うことができれば博識だと思われることでしょう。

また、災難の規模には関係なく使用することができます。これも日常会話での使いやすさの一因と言えるでしょう。ただ、この言葉の字面は「虎」と「竜」と荘厳たる面々が出そろっているため、場合によっては大げさだと思われることもあるかも知れません。

しかし、あえて大げさにこの言葉を使うことで笑いに繋がることも多いため、尻込みせずに使っていただければと思います。

「虎口を逃れて竜穴に入る」の類義語は?違いは?

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虎口を逃れて竜穴に入るの意味は、災難が立て続けに起こることでした。類義語は同じ意味を持つ言葉を探せばよいわけです。皆さんはどのくらい同じ意味の言葉を思い浮かべられましたか。

それでは類義語を見ていきましょう。

「一難去ってまた一難」「前門に虎を拒ぎ後門に狼を進む」

虎口を逃れて竜穴に入るの類義語は「一難去ってまた一難」「前門に虎を拒ぎ後門に狼を進む」です。どちらも不幸な出来事の後に立て続けに不幸な出来事が発生するという意味を持ちます。

後者の読み方は「ぜんもんにとらをふせぎこうもんにおおかみをすすむ」です。この言葉を省略したものとして、「前門の虎、後門の狼」や「前虎後狼」があります。どの形で用いても意味は同じですが、一般的には「前門の虎、後門の狼」が一番浸透しているでしょう。

この他にも途中で筆者が使用した、「弱り目に祟り目」や「泣きっ面に蜂」といった言葉も類義語として使うことができます。この2つの言葉は虎や竜、狼といった迫力がないため、それらの言葉が大げさと感じた際にはちょうど良い使用感を醸し出してくれることでしょう。

\次のページで「「虎口を逃れて竜穴に入る」の対義語は?」を解説!/

「虎口を逃れて竜穴に入る」の対義語は?

虎口を逃れて竜穴に入るの意味は災難が連続して発生することでした。対義語は災難の後には良いことが発生する、という意味の言葉と考えられます。皆さんの頭からいくつ言葉が出てきたでしょうか。

それでは対義語へと参りましょう。

「一陽来復」

虎口を逃れて竜穴に入るの対義語は「一陽来復」です。この言葉は「悪い出来事が重なった後には、良いことがめぐってくる」という意味を持ちます。もともとの語源としては冬が去った後に春がやってくることを指す言葉です。

間違えやすい言葉として「雨降って地固まる」という言葉がありますが、こちらは喧嘩やいがみ合いをした後に却って仲が良くなる、という意味の言葉ですので対義語と間違えないようにしましょう。

また、虎口を脱するという言葉がありますが、この言葉は窮地をやっとの思いで抜け出すという意味です。脱した後に良い出来事があるわけではないため、こちらも対義語とは言えません。

「虎口を逃れて竜穴に入る」の英訳は?

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ことわざの英訳を知るときはワクワクするものです。特にエピソードを基にしたことわざでは、英語圏の故事やエピソードと入れ替わることが多く、想像だにしない言葉が飛び出ることが多々あります。

それでは英語訳を確認しましょう。

「Out of the frying pan into the fire.」

虎口を逃れて竜穴に入るの英語表現は、「Out of the frying pan into the fire.」です。直訳すると「鍋の中から出たら火の中」ということから、窮地から脱したら別の窮地が待ち構えていたという状況が伝わってきます。

別の表現としては「To take one foot out of the mire and put in the other.」という言葉があり、こちらは「沼から足を引っこ抜いたら別の沼にはなった」という意味です。この言葉も不幸な出来事が続いていることがよく伝わってきますね。

尚、前者の言葉は中世で寓話のタイトルにもなっていた歴史があるため、興味があれば調べてみてください。

「虎口を逃れて竜穴に入る」を使いこなそう

この記事では「虎口を逃れて竜穴に入る」の意味・使い方・類語などを説明しました。

虎や竜といった言葉の迫力がありますが、これを逆手に些細な不幸を取り上げた際に大げさにこの言葉を使うことで笑いが起きることもしばしばあります。是非一度試してみてください。

筆者として、ことわざでは特に竜といった想像上の存在が登場したり、大げさな表現が入ったりするため面白いと感じます。これはお話としての故事を基にしていたりする関係ですが、英語訳でも同様に童話のエピソードで同じ意味を持つ表現が現れたりするため、こちらも一興です。

特にグリム童話やイソップ童話は子供向けなのかと思うほどにブラックな内容も多いため、これらに触れてみることで意外な発見があるかも知れませんよ。

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国語言葉の意味

【ことわざ】「虎口を逃れて竜穴に入る」の意味や使い方は?例文や類語を超読書家Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「虎口を逃れて竜穴に入る」について解説する。

端的に言えば虎口を逃れて竜穴に入るの意味は「逃れた先でまた問題に遭遇する」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

絵本から専門書まで読み漁る本の虫、シクロを呼んです。一緒に「虎口を逃れて竜穴に入る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/シクロ

絵本から専門書まで読み漁る本の虫。塾講師の経験もあり、難関校の合格実績も多数。

大人が童話を読むのかと笑われることも多いが、ことわざの英訳は洋書の童話で知ることができると心を強く持つ日々。

「虎口を逃れて竜穴に入る」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「虎口を逃れて竜穴に入る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「虎口を逃れて竜穴に入る」の意味は?

「虎口を逃れて竜穴に入る」には、次のような意味があります。

1.災難が次から次へと降りかかるたとえ。

出典:用例でわかることわざ辞典(学研出版)「虎口を逃れて竜穴に入る」

「虎口を逃れて竜穴に入る」の読み方は「ここうをのがれてりゅうけつにいる」意味は「次から次へと災難が降りかかること」です。

この記事をご覧になっている方にも、人生の中で災難が立て続けに発生して参ってしまった経験をお持ちの方もいらっしゃることでしょう。そんな時はまさに弱り目に祟り目、なぜ自分にだけそのような不幸が連続するのか、と世界を呪いたくなることもあるのではないでしょうか。

かくいう筆者も、過去に傘を忘れて雨に降られてずぶ濡れになった上、ズボンをひっかけて破れてしまい買い替えなければいけなくなったというエピソードがあります。まさに虎口を逃れて竜穴に入るような出来事ですね。

「虎口を逃れて竜穴に入る」の語源は?

次に「虎口を逃れて竜穴に入る」の語源を確認しておきましょう。

このことわざは、虎に遭遇して必死に逃げた結果、なんと虎のえさになる危険から脱したと安堵した矢先、今度は竜の住む穴に逃げ込んでいたということから成り立っています。

ただ、このお話がどの故事に由来するかは不明であり、筆者もこのエピソードを収録した書籍に巡り合いたいと願う日々です。

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