端的に言えば鶯の谷渡りの意味は「移り渡る」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
国立大で国語学を学んだライターのタケルを呼んです。言葉の解説を得意としていて、大学時代はクイズサークルに所属していたので雑学にも詳しい。一緒に「鶯の谷渡り」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/タケル
某国立大で日本語学を専攻。以前は自然や風景に全く興味はなかったが、ここ数年で身近なものの美しさに惹きつけられるようになった。花の色や鳥のさえずりなどが気になるこの頃だ。
「鶯の谷渡り」の意味は?
「鶯の谷渡り」には、次のような意味があります。
1.鶯が谷から谷へ、また、枝から枝へ鳴きながら渡ること。また、そのときの声。
2.曲芸などで、物の一方から他方へ移ること。また、物を一方から他方へ移すこと。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「鶯(うぐいす)の谷渡(たにわた)り」
「鶯」は「ウグイス」と読みます。あの鳥のウグイスのことです。
「鶯の谷渡り」(うぐいすのたにわたり)には2つの意味があります。1つは「ウグイスが谷から谷へと鳴きながら移って行くさま」です。飛び回るさまだけでなく、鳴くことも意味に含まれていることに注目しましょう。
そこから派生したもう1つの意味が、「物が一方から他方に移る」あるいは「物を一方から他方に移す」ことです。物などが次々に移動するさまを、ウグイスが枝から枝へと飛び移る様子に例えて使います。
「鶯の谷渡り」の語源は?
次に「鶯の谷渡り」の語源を確認しておきましょう。
もちろんこの言葉が出来た理由は、ウグイスの生態にあります。ウグイスが「ホーホケキョ」と鳴くのはオスの役割です。メスは巣に餌を運び、オスは外敵を警戒しながら縄張りを見張るという役割分担ができていて、外敵が近付いたときには威嚇のために鳴き方を変えたりします。そうして鳴きながらウグイスが移動していく様子を、「鶯の谷渡り」という言葉で表すようになりました。
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