この記事では「看板に偽り無し」について解説する。

端的に言えば看板に偽り無しの意味は「外見と実質とが一致している」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

早稲田大学文学部で日本文学・日本語学を学んだぽん太を呼んです。一緒に「看板に偽り無し」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ぽん太

早稲田大学文学部で日本語学と日本文学を学び、中高国語科の教員免許も取得している。これまで学んだ知識を生かして、難解な言葉をわかりやすく解説していく。

「看板に偽り無し」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「看板に偽り無し」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「看板に偽り無し」の意味は?

「看板に偽り無し」には、次のような意味があります。

実状が看板に書いてあることと一致している。外見と実質とが一致している。

出典:コトバンク ー デジタル大辞泉(小学館)「看板に偽り無し」

「店の外にある看板や見本と実物が一致している」という意味のことわざです。そこから転じて、「外見や言われていることと中身が一致している」ことを意味するようになりました。読み方は「かんばんにいつわりなし」です。

「看板」には「お店の名前や売り物を記して掲げたもの」という意味以外にも、「人の注目を集めて、自慢の種となるような人や事柄」(出典:広辞苑)という意味があります。「看板商品」などの言い方では、この意味で使われていますね。

「看板に偽りなし」は、お店の謳っている推しポイントや看板商品に間違いがなかったことを表したり役者さんやスポーツ選手などが前評判通りの演技・プレーをしたことを表したりするときに便利なので、覚えておくといいでしょう。

「看板に偽り無し」の語源は?

先述したように、看板には「お店の名前や売り物を記して掲げたもの」「人の注目を集めて、自慢の種となるような人や事柄」という意味があります。「看板に偽り無し」は、このような看板に書いてあるものと実際に出てきたものが同じだったことから生まれた言葉です。

ちなみに、看板の原型は奈良時代から存在しており、江戸時代になってから大きく発展しました。それまでの看板はお店で何を売っているかを示す目印としての役割を担っていましたが、江戸時代には独自の表現や豪華な装飾を施した看板が生まれ、集客に大きな効果をもたらしていたと考えられています。このようなことを考えると、「看板に偽りなし」は江戸時代ごろから使われていたのではないでしょうか。

\次のページで「「看板に偽り無し」の使い方・例文」を解説!/

「看板に偽り無し」の使い方・例文

「看板に偽り無し」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.このラーメン屋は言っていた通りの味とボリュームだ。看板に偽りなしだな。
2.うちは看板に偽りなしをモットーにしているんだ。中途半端な仕事はしないよ。
3.彼のファンが看板に偽りなしと言っていたからちょっと冷やかしで見に来たけど、彼の演技の上手さは本物だった。

「看板に偽りなし」を使った例文を3つ紹介しました。この言葉は、ある商品や人を賞賛するときに使うだけでなく、自分の店や商品に対しても使うことができます。「自分で言っているからにはそれだけ自信があるのだろう」という印象を相手に与えることもできますね。

一つ注意してもらいたいのは、「看板に偽りなし」を「虚偽ではない」という意味で使うのは誤りだということです。「私は友人だから彼の言葉を信じる。看板に偽りなしだ。」というような使い方は御用なので、間違えないようにしましょう。

「看板に偽り無し」の類義語は?違いは?

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次に「看板に偽り無し」の類義語をいくつか紹介します。

その1「言行一致」

「げんこういっち」と読みます。

「口で言うことと行動とに矛盾がないこと、主張しているとおりに行動すること」(出典:デジタル大辞泉)という意味の四字熟語です。漢字を見れば明らかですが、言うことと行うことが一致しているということを表していますね。まさに「看板に偽りなし」と同じ意味の言葉だと言えます。

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その2「名実一体」

「めいじついったい」と読みます。

「名目と実体が一致していること」(出典:三省堂 新明解四字熟語辞典)という意味の四字熟語です。「名」とは表向きの名目や評判のことで、「実」は実質・実態を表します。「一体」は「一体となる」と使うように、一つの体や一つのものという意味の言葉です。

「看板に偽り無し」の対義語は?

次に「看板に偽り無し」の対義語を紹介します。「看板に偽りなし」の対義語はこれ以外にも多くあるので、興味があれば検索してみてください。

その1「看板倒れ」

「見せかけだけで、内容がそれに伴わないこと」(出典:デジタル大辞泉)という意味の慣用句です。

お店や商品、計画などの物事だけでなく、人の肩書きが本人の能力にそぐわないときなどにも使われます。「看板倒れ」にならないよう、自分の肩書きに見合う能力を身につけておきたいものですね。

その2「羊頭狗肉」

「ようとうくにく」と読みます。

「羊頭を掲げて狗肉を売る」の略で、「羊の頭を看板に掲げながら、実際には犬の肉を売っている」という意味です。そこから「外見と内容が違うこと、見せかけが立派でも実質がそれに伴わないことのたとえ」(出典:デジタル大辞典)として使われています。一見すると意味がわかりづらい言葉なので、使えると優秀さをアピールできるかもしれませんよ。

「看板に偽り無し」の英訳は?

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最後に「看板に偽り無し」の英訳を紹介しましょう。

「do not belie」

「belie」「偽って示す、(…の)間違っていることを示す、(…と)矛盾する、裏切る」(ウェブリオ英和辞典)という意味の動詞です。嘘という意味の「lie」にbe動詞がくっついた形なので、「嘘になる」というようなニュアンスでしょうか。

これの否定形「do not belie」で「偽りなし」という意味になります。

使うときには、「His appearance doen not belie his character」のように、実体にあたる「His appearance」と看板にあたる「his character」で挟むようにして使いましょう。これで「彼の外見は彼のキャラクターと矛盾しない」という意味になり、「看板に偽りなし」を表すことができます。

\次のページで「「看板に偽り無し」を使いこなそう」を解説!/

「看板に偽り無し」を使いこなそう

この記事では「看板に偽り無し」の意味・使い方・類語などを説明しました。「看板に偽りなし」についてしっかり理解できたでしょうか?この言葉はいろいろな場面で使えるので、ぜひ意味や使い方を覚えてみてください。私も「早稲田文学部卒webライターという看板に偽りなし」と胸を張るべく、これからも皆さんの役に立てるような充実した記事を提供していきたいと思います。

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【ことわざ】「看板に偽り無し」の意味や使い方は?例文や類語を早稲田文学部卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「看板に偽り無し」について解説する。

端的に言えば看板に偽り無しの意味は「外見と実質とが一致している」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

早稲田大学文学部で日本文学・日本語学を学んだぽん太を呼んです。一緒に「看板に偽り無し」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ぽん太

早稲田大学文学部で日本語学と日本文学を学び、中高国語科の教員免許も取得している。これまで学んだ知識を生かして、難解な言葉をわかりやすく解説していく。

「看板に偽り無し」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「看板に偽り無し」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「看板に偽り無し」の意味は?

「看板に偽り無し」には、次のような意味があります。

実状が看板に書いてあることと一致している。外見と実質とが一致している。

出典:コトバンク ー デジタル大辞泉(小学館)「看板に偽り無し」

「店の外にある看板や見本と実物が一致している」という意味のことわざです。そこから転じて、「外見や言われていることと中身が一致している」ことを意味するようになりました。読み方は「かんばんにいつわりなし」です。

「看板」には「お店の名前や売り物を記して掲げたもの」という意味以外にも、「人の注目を集めて、自慢の種となるような人や事柄」(出典:広辞苑)という意味があります。「看板商品」などの言い方では、この意味で使われていますね。

「看板に偽りなし」は、お店の謳っている推しポイントや看板商品に間違いがなかったことを表したり役者さんやスポーツ選手などが前評判通りの演技・プレーをしたことを表したりするときに便利なので、覚えておくといいでしょう。

「看板に偽り無し」の語源は?

先述したように、看板には「お店の名前や売り物を記して掲げたもの」「人の注目を集めて、自慢の種となるような人や事柄」という意味があります。「看板に偽り無し」は、このような看板に書いてあるものと実際に出てきたものが同じだったことから生まれた言葉です。

ちなみに、看板の原型は奈良時代から存在しており、江戸時代になってから大きく発展しました。それまでの看板はお店で何を売っているかを示す目印としての役割を担っていましたが、江戸時代には独自の表現や豪華な装飾を施した看板が生まれ、集客に大きな効果をもたらしていたと考えられています。このようなことを考えると、「看板に偽りなし」は江戸時代ごろから使われていたのではないでしょうか。

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