この記事では「ボタンを掛け違える」について解説する。

端的に言えばボタンを掛け違えるの意味は「後になってから気づくこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本語が好きで日本文学科を卒業したハルを呼んです。一緒に「ボタンを掛け違える」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハル

日本語が大好きで日本文学科を卒業。現在は子供が言葉を覚えていく様子を見ながら日本語の奥深さを実感中。多くの人にそのよいところを紹介したいとの思いを込めて丁寧に解説する。

「ボタンを掛け違える」の意味や語源・使い方まとめ

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「ボタンを掛け違える」という言葉、聞いたことがあるのではないでしょうか。とはいえ、詳しい意味をと言われると困ってしまうかもしれませんね。どんな意味を持つ言葉でしょうか。それでは早速「ボタンを掛け違える」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「ボタンを掛け違える」の意味は?

まず初めに、「ボタンを掛け違える」の意味を国語辞典で確認してみましょう。「ボタンを掛け違える」には、次のような意味があります。

対処の方法を誤り、そのことが原因であとから不都合や食い違いが生じる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「ボタンを掛け違える」

「ボタンを掛け違える(かけちがえる)」は、手順ややり方を最初の方で間違えたために、当事者間での認識や考えに、後々までずっと続くようなずれが生まれることを意味する慣用句です。食い違いや矛盾などがあったことに後になってから気づくことを表します。「ボタンを掛け違う」「ボタンを掛け間違う」などと言うこともありますよ。また名詞形で用いたい場合には「ボタンの掛け違い」と言うことができます。

「ボタンを掛け違える」の語源は?

次に「ボタンを掛け違える」の語源を確認しておきましょう。

洋服のボタンを掛ける時、一つ間違えるとその後がずっとずれてしまい、最後のボタンを掛ける時になって気づくということがありますね。「ボタンを掛け違える」という言葉は、まさにそこからきています。最初の方で何らかのずれが生じると、その影響がずっと続いてしまい、結局最後になって気づくということを表現しているのですね。

\次のページで「「ボタンを掛け違える」の使い方・例文」を解説!/

「ボタンを掛け違える」の使い方・例文

「ボタンを掛け違える」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.課長との関係を良好に保とうと努力してきたつもりだったが、こんなにも仕事が滞留してしまったのはどこかでボタンを掛け違えていたのだろう。
2.序盤にボタンを掛け違えたことが尾を引いて、楽勝だった試合が攻守逆転し、結局大敗を喫した。
3.ボタンを掛け違えることを防ぎスムーズに進行するためには、チームのコミュニケーションが大切だ。
4.自分では気づかなかったが、ボタンを掛け違えているのではないかとの指摘により相手と話し合うことができて解決したので、本当に感謝している。
5.両人のやりとりを聞いていて、ボタンを掛け違えているように感じたので、共通認識について再度話し合いを持つことになった。

「ボタンを掛け違える」は、どこかで対処の方法を間違ったために、そのことが原因であとから不都合が生じたり、双方の間で食い違いが生じたりする時に用いられる表現です。最初の方に誤った対応をしていたことに気づかないまま進んでしまい、後になってからそのことに気づいたというような場面でも用いられます。最後になってから間違っていたことにようやく気付くというところから、単に些細な間違いを犯す場合にも用いられることがありますよ。

「ボタンを掛け違える」の類義語は?違いは?

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「ボタンを掛け違える」の類義語を見ていきましょう。

その1「歯車が狂う」

「歯車が狂う(はぐるまがくるう」は「どこかにくい違いが生じて、順調に進んでいたことがうまくいかなくなる」ことを意味する言葉です。最初はうまくいっていたはずなのに、徐々にうまくいかなくなってしまうことはあります。そのように時間が経つにつれてずれが生じてしまうことを表すのが「歯車が狂う」です。どこかで間違ったことが後を引き、最後に気づく「ボタンを掛け違える」とは違い、徐々に食い違っていることに気づくさまを表す言葉ですが、似たような意味を持つ言葉であると言えますよ。

\次のページで「その2「手違い」」を解説!/

その2「手違い」

「手違い(手違い)」は「手順を間違えること」「手配などを誤ること」を意味する言葉です。本来の手順や予定していた手配などを間違えたことを表します。また、商売上の見込みや、あてが外れる場合にも用いられる言葉です。単純に手順や手配の間違いを表現する場合に使う言葉ですので「ボタンを掛け違える」とは若干ニュアンスが違いますが、間違えによってずれが生じるという点で似たような意味を持つ言葉であると言えます。

その3「手落ち」

「手落ち(ておち)」は「手続きや仕事の上で不足や欠点があること」を意味する言葉です。またそのような不完全な所や過失のことも表します。「手抜かり」「抜かり」のことです。「手落ち」も間違いがあったことそのものを指す言葉ですので「ボタンを掛け違える」とニュアンスは異なりますが、何かに気づかなかったことから起こる間違いという意味を持っています。

「ボタンを掛け違える」の対義語は?

「ボタンを掛け違える」と反対の意味を持つ言葉を見ていきましょう。

「噛み合う」

「ボタンを掛け違える」の対義語というのは特にありません。反対の意味を持つ言葉を考えると「噛み合う(かみあう)」があげられると思います。「噛み合う」は「歯車などで、双方の凹凸の部分がぴったりと組み合わさる」「それぞれ違う内容をもつものどうしがしっくりと合って、うまく事が進む」ことを意味する言葉です。「ファスナーがうまく嚙み合わない」などと言うことがありますね。ひとつ間違ったことで後々までずれてしまう「ボタンを掛け違える」とは反対に、ぴったりと組み合わさって物事がうまく進むさまを表す言葉なのです。

「ボタンを掛け違える」の英訳は?

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「ボタンを掛け違る」を英語に訳すとどのように表現できるか見ていきましょう。

「start from the wrong button」

「wrong」は「悪い、間違った、不正な」といった意味を持つ単語です。「start from the wrong button」を直訳すると「間違ったボタンから始める」ということになります。これで「ボタンを掛け違える」を表現することができるのです。

なお、Giordano Bruno(ジョルダーノ・ブルーノ)というイタリア出身の哲学者の名言に「If the first button of one's coat is wrongly buttoned, all the rest will be crooked.」(訳:最初のボタンを掛け違えると、残りのすべてもそうなってしまう。)というものもあるのですよ。

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「ボタンを掛け違える」を使いこなそう

この記事では「ボタンを掛け違える」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「ボタンを掛け違える」は、「最初の方で何か間違えたために、その後ずっと続くようなずれが生じてしまう」ことを表す言葉でしたね。「間違いや食い違いがあったことに、後になって気づく」ことも意味します。ボタンを掛け違えていることに気づいた時、どうしたらいいでしょう。やり直すことができるのか、ずれを修復していくことができるのか、それとも諦めなければならないのか、とても難しいことです。大変な事態にならないことを祈りつつ、「ボタンを掛け違える」という言葉、ぜひ使ってみてくださいね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「ボタンを掛け違える」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学科卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「ボタンを掛け違える」について解説する。

端的に言えばボタンを掛け違えるの意味は「後になってから気づくこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本語が好きで日本文学科を卒業したハルを呼んです。一緒に「ボタンを掛け違える」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハル

日本語が大好きで日本文学科を卒業。現在は子供が言葉を覚えていく様子を見ながら日本語の奥深さを実感中。多くの人にそのよいところを紹介したいとの思いを込めて丁寧に解説する。

「ボタンを掛け違える」の意味や語源・使い方まとめ

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「ボタンを掛け違える」という言葉、聞いたことがあるのではないでしょうか。とはいえ、詳しい意味をと言われると困ってしまうかもしれませんね。どんな意味を持つ言葉でしょうか。それでは早速「ボタンを掛け違える」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「ボタンを掛け違える」の意味は?

まず初めに、「ボタンを掛け違える」の意味を国語辞典で確認してみましょう。「ボタンを掛け違える」には、次のような意味があります。

対処の方法を誤り、そのことが原因であとから不都合や食い違いが生じる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「ボタンを掛け違える」

「ボタンを掛け違える(かけちがえる)」は、手順ややり方を最初の方で間違えたために、当事者間での認識や考えに、後々までずっと続くようなずれが生まれることを意味する慣用句です。食い違いや矛盾などがあったことに後になってから気づくことを表します。「ボタンを掛け違う」「ボタンを掛け間違う」などと言うこともありますよ。また名詞形で用いたい場合には「ボタンの掛け違い」と言うことができます。

「ボタンを掛け違える」の語源は?

次に「ボタンを掛け違える」の語源を確認しておきましょう。

洋服のボタンを掛ける時、一つ間違えるとその後がずっとずれてしまい、最後のボタンを掛ける時になって気づくということがありますね。「ボタンを掛け違える」という言葉は、まさにそこからきています。最初の方で何らかのずれが生じると、その影響がずっと続いてしまい、結局最後になって気づくということを表現しているのですね。

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