この記事では「縁起をかつぐ」について解説する。

端的に言えば縁起をかつぐの意味は「吉兆を推し量って行動すること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「縁起をかつぐ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「縁起をかつぐ」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「縁起をかつぐ」の意味や語源・使い方まとめ

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縁起をかつぐ」は「えんぎをかつぐ」と読みます。「縁起」は、とても身近な言葉です。誰もが良く知っている言葉ですが、意味を聞かれると説明が難しいですね。この機会に「縁起」と言う言葉の由来や、どんな意味を持っているのかを覚えましょう。

それでは早速「縁起をかつぐ」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「縁起をかつぐ」の意味は?

まず初めに「縁起をかつぐ」の正確な意味を辞書からの引用で確かめてみましょう。「縁起をかつぐ」には、次のような意味があります。

1.ちょっとした物事に対して、よい前兆だとか悪い前兆であるとかを気にする。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「縁起を担ぐ」

2.何をする場合にも、縁起のいい・悪いを気にする。

出典:新明解国語辞典(三省堂)「縁起をかつぐ」

縁起がいい。縁起が悪い。と言う表現はよく耳にしますね。ちょっとした物事で、結果がよくなりそうだったり、悪くなりそうだったりすることです。「かつぐ」は、縁起や吉兆を気にすると言う意味を持っています。

つまり「縁起をかつぐ」は、ちょっとした出来事が結果の良し悪しに影響すると考えて、それにのっとって行動する、と言う意味なのです。漢字を用いて「縁起を担ぐ」と漢字で書く場合もありますので覚えておきましょう。

「縁起をかつぐ」の語源は?

次に「縁起をかつぐ」の語源を確認しておきましょう。

「縁起」と言う言葉は、もともとは仏教用語です。仏教で言う「縁起」とは、仏教の基本思想を表す重要な用語で、心の動きを含む全ての事象には、必ず原因となるものがある、と言う意味を持っています。この仏教用語「縁起」が、民間に広がる際に意味を変えていき、吉凶の前兆、良い事や悪いことが起きそうだと言う前兆、と言う意味で使われるようになりました。
また「縁起をかつぐ」の「かつぐ」には、迷信などを尊ぶと言う意味があります
こうして、ちょっとしたことで吉凶の前兆だと考え行動することを「縁起をかつぐ」と言うようになったのですね。

このように「縁起をかつぐ」は仏教用語「縁起」の意味が変化して一般的に伝わり、使われるようになった慣用句です。

\次のページで「「縁起をかつぐ」の使い方・例文」を解説!/

「縁起をかつぐ」の使い方・例文

それでは、「縁起をかつぐ」の使い方を実際の例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.お正月に食べるおせち料理の食材は、全て縁起をかついだもので、例えばれんこんは見通しが良いなどの意味がある。
2.結婚式の日取りなどは、早めに予約すればしっかりと縁起をかついで選ぶことができ、準備万端にできますよ。
3.今回のテスト期間、母親が作ってくれた夜食のおにぎりは、縁起をかついだらしく「勝つ₌カツ」でトンカツが入っていた。

例文1や2のとおり、昔から日本で言われてきた縁起物や、吉凶をうらなう日取りなどを気にする事に「縁起をかつぐ」はよく使われますね。また、例文3のように、個人的な占いやちょっとしたお守りのような行動にも「縁起をかつぐ」を使うこともできます。

「縁起をかつぐ」の類義語は?違いは?

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「縁起をかつぐ」の類義語には「験をかつぐ」がふさわしいでしょう。

「験をかつぐ」

験をかつぐ」の読み方は「げんをかつぐ」です。「験担ぎ(げんかつぎ)」などとも言われ「ゲン担ぎ」とカタカナで表記されることもありますね。

意味は、縁起を気にして物事の成功を願った行動を行うこと、です。「縁起をかつぐ」と同じ意味で用いられますね。実はこの「験をかつぐ」は、「縁起をかつぐ」をもじったものだと考えられています。江戸時代、言葉を逆さにして話すのが流行った際に、逆さ言葉で「縁起」を「ぎえん」とわざともじって使っていたそうで、この「ぎえん」の音が変化して「げん」と言われるようになったのだと言う考えです。

「縁起をかつぐ」が変化して「験をかつぐ」になったとすれば、同じ意味であるのは当然ですね。

それでは「験をかつぐ」の使い方も例文で確かめてみましょう。

\次のページで「「縁起を担ぐ」の対義語は?」を解説!/

我が社は、大きな契約前に成功を祈って、きな粉餅とあご出汁の味噌汁を社員にふるまうと言う変わった験をかつぐ伝統がある。

「縁起を担ぐ」の対義語は?

「縁起を担ぐ」の対義語は、正確なものはありませんが、近い表現に「ケチがつく」や「ジンクス」などがあります。

「ケチがつく」

ケチがつく」は、縁起が悪くなるようなことが先がけて起こったり、結果が出る前に縁起の悪い事を言われたりする、と言う意味の慣用句です。「ケチ」は、よく使われる、お金などを惜しむと言う意味ではなく、縁起が悪いこと、異常なこと、と言う意味の古語「怪事(けじ)」のことだと言われています。つまり、物事の結果が出る前に、先行きが悪くなりそうな出来事がおきる、と言うことですね。

「ケチがつく」の使い方も例文で確かめてみましょう。

新年会で披露した出し物のダジャレ漫談がすべってしまい、同僚には「出世街道に乗るのにけちがついたな」などと言われた。

「ジンクス」

ジンクス」はもともとアメリカで生まれた単語ですが、日本でも身近な言葉ですね。「jinx」と書きます。意味は、英語でも日本語でもほとんど変わらず、縁起の悪い人や物、不運、ということです。迷信的に悪い事への因果関係を信じ、縁起が悪い、と考える事を言います。例えばアメリカでは13日の金曜日は縁起の悪い日だとされていますね。このような、迷信的に信じられている縁起の悪いことをジンクスと言います。
ただし、日本では最近、縁起がいい事にも使われるようになっているそうです。しかし、英語としては誤用だと覚えておきましょう。

「ジンクス」の使い方も例文で確かめてみましょう。

うちの居酒屋でデートをするとそのカップルは別れるジンクスがあると、グルメサイトの口コミに書いてあった。とんだ営業妨害だ。

\次のページで「「縁起をかつぐ」を使いこなそう」を解説!/

「縁起をかつぐ」を使いこなそう

この記事では「縁起をかつぐ」の意味・使い方・類語などを説明しました。

皆さんは縁起物と言えば何を思い浮かべますか?日本で縁起物とされているのは食べ物や置物など、思いつくだけでも沢山ありますね。例えば店頭にある招き猫や、信楽焼きのたぬきなどが良い例ですね。このようなちょっとした事に吉兆を結びつけることを「縁起をかつぐ」と言うのです。
このような伝統的に知られている物の他、個人的に信じる迷信などにも「縁起をかつぐ」を用いる事ができます。例えば五角形の鉛筆を使うと合格(₌五角)などですね。調べてみると面白いかも知れません。

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【慣用句】「縁起をかつぐ」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学部卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「縁起をかつぐ」について解説する。

端的に言えば縁起をかつぐの意味は「吉兆を推し量って行動すること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「縁起をかつぐ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「縁起をかつぐ」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「縁起をかつぐ」の意味や語源・使い方まとめ

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縁起をかつぐ」は「えんぎをかつぐ」と読みます。「縁起」は、とても身近な言葉です。誰もが良く知っている言葉ですが、意味を聞かれると説明が難しいですね。この機会に「縁起」と言う言葉の由来や、どんな意味を持っているのかを覚えましょう。

それでは早速「縁起をかつぐ」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「縁起をかつぐ」の意味は?

まず初めに「縁起をかつぐ」の正確な意味を辞書からの引用で確かめてみましょう。「縁起をかつぐ」には、次のような意味があります。

1.ちょっとした物事に対して、よい前兆だとか悪い前兆であるとかを気にする。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「縁起を担ぐ」

2.何をする場合にも、縁起のいい・悪いを気にする。

出典:新明解国語辞典(三省堂)「縁起をかつぐ」

縁起がいい。縁起が悪い。と言う表現はよく耳にしますね。ちょっとした物事で、結果がよくなりそうだったり、悪くなりそうだったりすることです。「かつぐ」は、縁起や吉兆を気にすると言う意味を持っています。

つまり「縁起をかつぐ」は、ちょっとした出来事が結果の良し悪しに影響すると考えて、それにのっとって行動する、と言う意味なのです。漢字を用いて「縁起を担ぐ」と漢字で書く場合もありますので覚えておきましょう。

「縁起をかつぐ」の語源は?

次に「縁起をかつぐ」の語源を確認しておきましょう。

「縁起」と言う言葉は、もともとは仏教用語です。仏教で言う「縁起」とは、仏教の基本思想を表す重要な用語で、心の動きを含む全ての事象には、必ず原因となるものがある、と言う意味を持っています。この仏教用語「縁起」が、民間に広がる際に意味を変えていき、吉凶の前兆、良い事や悪いことが起きそうだと言う前兆、と言う意味で使われるようになりました。
また「縁起をかつぐ」の「かつぐ」には、迷信などを尊ぶと言う意味があります
こうして、ちょっとしたことで吉凶の前兆だと考え行動することを「縁起をかつぐ」と言うようになったのですね。

このように「縁起をかつぐ」は仏教用語「縁起」の意味が変化して一般的に伝わり、使われるようになった慣用句です。

\次のページで「「縁起をかつぐ」の使い方・例文」を解説!/

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