その2「私利私欲を満たす」
「私利私欲を満たす」は「しりしよくをみたす」と読みます。「私利私欲」は良く使われる四字熟語ですね。
「私利」は自分の利益、「私欲」は、自分だけが利益を得られるようにしようという欲望。「満たす」は満足させると言う意味ですね。つまり「私利私欲を満たす」とは、自分の利益や、自分の欲求を満たすことだけを考えて行動することです。
「懐を肥やす」の対義語は?
慣用句「懐を肥やす」の対義語は、ぴったりの言葉は存在しません。しかし、反対の意味に近い言葉に「献金」があります。説明しましょう。
「献金」
「献金」の読み方は「けんきん」です。「献」と言う漢字は、捧げる、目上の人に物を差し上げる、と言う意味を持っています。つまり「献金」は、ある目的に役立ててもらうように、金銭を献上することや、そのお金そのもののことを指す言葉です。
良い目的のために使われるお金のことにも使います。例えば「慈善事業に献金」などと使われるのを聞いた事があるでしょう。「政治献金」も良く聞きますね。一方では、不正なお金のやり取りにも「献金」は用いられます。
良い意味でお金を利用してもらうために献上する、と言う意味で「献金」を使った場合には「懐を肥やす」の反対の意味に近いと言えるでしょう。
「懐」が持つ4つの意味
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今回、語源の項目でも触れましたが、「懐」の意味には、大きく4つの意味があります。
まず一つめは、「懐を肥やす」で用いられた、衣服の胸に当たる部分の内側、着物の合わせ部分、と言う意味です。次に、懐にいれたお金自体を指すこともあります。「懐が寒い」などと言いますね。三つ目、包容力があると言うことを「懐が広い」という言い方で表現することがありますね。「懐」は、このように人の心の広さを表すことがあります。四つ目の「懐」は、内部や秘密の部分、と言う意味です。「敵の懐に入り込む」や「懐を見透かす」などがこれに当たりますね。
このように、「懐」は色々なニュアンスの比喩表現で用いられます。前後の文章で理解するようにしましょう。
「懐を肥やす」を使いこなそう
この記事では「懐を肥やす」の意味・使い方・類語などを説明しました。日常会話よりも、文章表現で使用することが多い表現ですね。小説などでは見かける事が多いでしょう。
「懐を肥やす」も、類義語の「私腹を肥やす」も、単に財産を増やす、と言う意味だけではなく、不正な手段で利益を上げていると言う意味で用いられます。どちらも悪い意味で使われる言葉ですから、注意しましょう。
また「懐を肥やす」と「私腹を肥やす」はとてもよく似ているのですが、「私腹を肥やす」は公的な立場や地位を利用して不正な利益を上げると言うニュアンスがあります。汚職事件などを記す文章で使われることが多いです。「懐を肥やす」と使い分けができると良いですね。