この記事では「懐を肥やす」について解説する。

端的に言えば懐を肥やすの意味は「不当な利益で財産を増やすこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「懐を肥やす」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「懐を肥やす」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「懐を肥やす」の意味や語源・使い方まとめ

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懐を肥やす」は「ふところをこやす」と読みます。小説や漫画などでも良く使われる表現ですから、見聞きしたことがあるでしょう。では「懐」とは何を指しているのでしょう。

それでは早速「懐を肥やす」の意味や語源、使い方を見ていきましょう。

「懐を肥やす」の意味は?

まず初めに「懐を肥やす」の正確な意味を辞書からの引用で確かめてみましょう。「懐を肥やす」には、次のような意味があります。

1.不当の利益を得る。私腹を肥やす。懐を暖める。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「懐を肥やす」

上記のように「懐を肥やす」の意味は、不正によって自分の財産を増やすことです。単に財産を増やすのではなく、悪いことをして得た利益で財産を増やすと言う意味を持っています。

もちろん悪い意味で使われる表現ですから、使う時には気をつけましょう。

「懐を肥やす」の語源は?

次に「懐を肥やす」の語源を確認しておきましょう。「懐」にはいくつかの意味がありますが、「懐を肥やす」の「懐」とはどんな意味を持つのでしょうか。

時代劇などで、懐からお金を出したり、懐に財布をしまう場面を目にしたことがあるでしょう。昔、着物が普段着であったころ、お財布は着物の胸の合わせ部分にしまうと言う習慣が日本にはありました。つまり「懐」とは、着物の合わせの部分、お金を入れるところと言うことなのです。そして「肥やす」は、栄養を良くして太らせることで、豊かにするなどと言う意味合いもあります。よって、お金が入っている懐が太る、豊かになると言うことは、「財産を増やす」と言う意味になりますね。

このように「懐を肥やす」は、昔、お財布を着物の懐に入れていた習慣が語源となった慣用句です。

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「懐を肥やす」の使い方・例文

それでは「懐を肥やす」の使い方を実際の例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.著作権のある書籍をコピーして、それを安価で売り懐を肥やしていたらしい。
2.地位を利用して裏取引のビジネスで懐を肥やすなんて、時代劇の悪代官みたいだね。
3.高価な追加課金のあるスマホアプリを作って、お金持ちに狙いをつけ懐を肥やしているという噂だよ。

例文の通り、「懐を肥やす」は、不正な手段であったり、後ろ暗い方法で、利益を得ていることに使われます。また、利益を得るだけでなく、その利益を蓄える、増やすと言う意味も含まれていますね。
悪い意味で使われる言葉ですから、間違って使わないように気をつけましょう。

「懐を肥やす」の類義語は?違いは?

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「懐を肥やす」の類義語は、「私腹を肥やす」がふさわしいでしょう。また、似た意味の四字熟語を使った「私利私欲を満たす」も説明します。

その1「私腹を肥やす」

私腹を肥やす」の読み方は「しふくをこやす」です。小説などでも良く使われますし、横領などの不祥事のニュースなどで聞いた事があるでしょう。

「私腹(しふく)」は、「懐」と同じく、お金をしまうところ、つまり自分の財産や利益を表します。そして「懐を肥やす」と同じく、不正な手段で自分の財産を増やすことを言いますが、公の地位や立場を利用して、財産を増やす、と言う限定的な使われ方をする表現です。

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その2「私利私欲を満たす」

私利私欲を満たす」は「しりしよくをみたす」と読みます。「私利私欲」は良く使われる四字熟語ですね。

私利」は自分の利益、「私欲」は、自分だけが利益を得られるようにしようという欲望。「満たす」は満足させると言う意味ですね。つまり「私利私欲を満たす」とは、自分の利益や、自分の欲求を満たすことだけを考えて行動することです。

「懐を肥やす」の対義語は?

慣用句「懐を肥やす」の対義語は、ぴったりの言葉は存在しません。しかし、反対の意味に近い言葉に「献金」があります。説明しましょう。

「献金」

献金」の読み方は「けんきん」です。「献」と言う漢字は、捧げる、目上の人に物を差し上げる、と言う意味を持っています。つまり「献金」は、ある目的に役立ててもらうように、金銭を献上することや、そのお金そのもののことを指す言葉です。

良い目的のために使われるお金のことにも使います。例えば「慈善事業に献金」などと使われるのを聞いた事があるでしょう。「政治献金」も良く聞きますね。一方では、不正なお金のやり取りにも「献金」は用いられます。

良い意味でお金を利用してもらうために献上する、と言う意味で「献金」を使った場合には「懐を肥やす」の反対の意味に近いと言えるでしょう。

「懐」が持つ4つの意味

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今回、語源の項目でも触れましたが、「懐」の意味には、大きく4つの意味があります。

まず一つめは、「懐を肥やす」で用いられた、衣服の胸に当たる部分の内側、着物の合わせ部分、と言う意味です。次に、懐にいれたお金自体を指すこともあります。「懐が寒い」などと言いますね。三つ目、包容力があると言うことを「懐が広い」という言い方で表現することがありますね。「懐」は、このように人の心の広さを表すことがあります。四つ目の「懐」は、内部や秘密の部分、と言う意味です。「敵の懐に入り込む」や「懐を見透かす」などがこれに当たりますね。

このように、「懐」は色々なニュアンスの比喩表現で用いられます。前後の文章で理解するようにしましょう。

「懐を肥やす」を使いこなそう

この記事では「懐を肥やす」の意味・使い方・類語などを説明しました。日常会話よりも、文章表現で使用することが多い表現ですね。小説などでは見かける事が多いでしょう。

「懐を肥やす」も、類義語の「私腹を肥やす」も、単に財産を増やす、と言う意味だけではなく、不正な手段で利益を上げていると言う意味で用いられます。どちらも悪い意味で使われる言葉ですから、注意しましょう。

また「懐を肥やす」と「私腹を肥やす」はとてもよく似ているのですが、「私腹を肥やす」は公的な立場や地位を利用して不正な利益を上げると言うニュアンスがあります。汚職事件などを記す文章で使われることが多いです。「懐を肥やす」と使い分けができると良いですね。

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【慣用句】「懐を肥やす」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学部卒Webライターがわかりやすく解説!

「懐を肥やす」の使い方・例文

それでは「懐を肥やす」の使い方を実際の例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.著作権のある書籍をコピーして、それを安価で売り懐を肥やしていたらしい。
2.地位を利用して裏取引のビジネスで懐を肥やすなんて、時代劇の悪代官みたいだね。
3.高価な追加課金のあるスマホアプリを作って、お金持ちに狙いをつけ懐を肥やしているという噂だよ。

例文の通り、「懐を肥やす」は、不正な手段であったり、後ろ暗い方法で、利益を得ていることに使われます。また、利益を得るだけでなく、その利益を蓄える、増やすと言う意味も含まれていますね。
悪い意味で使われる言葉ですから、間違って使わないように気をつけましょう。

「懐を肥やす」の類義語は?違いは?

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「懐を肥やす」の類義語は、「私腹を肥やす」がふさわしいでしょう。また、似た意味の四字熟語を使った「私利私欲を満たす」も説明します。

その1「私腹を肥やす」

私腹を肥やす」の読み方は「しふくをこやす」です。小説などでも良く使われますし、横領などの不祥事のニュースなどで聞いた事があるでしょう。

「私腹(しふく)」は、「懐」と同じく、お金をしまうところ、つまり自分の財産や利益を表します。そして「懐を肥やす」と同じく、不正な手段で自分の財産を増やすことを言いますが、公の地位や立場を利用して、財産を増やす、と言う限定的な使われ方をする表現です。

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