
「一笑に付す」の使い方・例文
「一笑に付す」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
1. 彼はこの職場の中で最も真面目な社員で、どんな時でも誰の意見でも一笑に付すことなく聞いてくれるんだ。
2. みんなが噂していることを彼女は心配して僕に教えてくれたが、僕は心配不要と言って一笑に付した。
3. 多くの署名を集めて気持ちを込めた嘆願書を提出したが、あのお金持ちの家のボンボンは小馬鹿にした顔で一笑に付した。
例文の1や2のようにバカにする・嘲るといったニュアンスが無くとも使用可能ですし、例文3のように明らかにバカにする際にも使用します。このように、使いどころによってはやや誤解を招くニュアンスを含んでいる言葉ですから、注意して使用しましょう。また例文2と3のように、「一笑に付した」といった形で使用することもできます。
加えて「笑」の意味が含まれていながら、実際の表情としては「笑っていない」ことがあることも「一笑に付す」の特徴です。例文1ではおそらく真面目な表情で話を聞いているのでしょうし、例文2は笑っているのかいないのかどちらとも取れますが、いずれにしても必ずしも表情が笑う場面で使用するわけではありません。
1. 「笑う」
1つ目の類義語が「笑う」です。「一笑」と同じようなニュアンスを有しているのか、まず意味を確認してみましょう。
1. 喜び・うれしさ・おかしさ・照れくささなどの気持ちから、顔の表情をくずす。また、そうした気持ちで声を立てる。
2. (「嗤う」とも書く)あざけりばかにする。嘲笑(ちょうしょう)する。
3. (「笑ってしまう」「笑っちゃう」の形で)あまりひどくて、相手にするのもばかばかしいほどである。
4. 花のつぼみが開く。また、果物が熟して裂ける。
5. 春になって、芽が出たり花が咲いたりして、明るいようすになる。俳句など、文学的表現に用いる。
6. ゆるんだりほどけたりする。ほころびる。また、足取りがしっかりしなくなる。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「笑う」
「一笑に付す」に近いのは2つ目と3つ目でしょう。「笑う」は豪快・爽やかに笑うだけでなく、また「嗤う」と書かずとも、嘲ったりバカにしたりといったニュアンスを含むことがあることがわかりますね。
文章で書くときは「嗤う」や「嘲笑う」と書けばそのニュアンスは明らかですが、「笑う」と書くと様々な意味が含まれますので、誤解されないようハッキリとした使い方が必要です。
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