この記事では「去年今年」について解説する。
端的に言えば「去年今年」の意味は「去年と今年、新年を迎えて年の移り変わりを改めて実感していう語」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「去年今年」の意味や例文、類語などを見ていきます。

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仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「去年今年」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「去年今年」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「去年今年」の意味は?

「去年今年」には、次のような意味があります。

1 新年にあたり、年去り年来る時の流れに対する感慨を表した言葉。行く年来る年。《季 新年》

2 去年と今年。

「―はさはる事ありて怠りけるかしこまり」

出典:コトバンク

「去年今年」はここ一、二年や、新年を迎えて年の移り変わりを改めて実感していう語です。

「去年今年」の語源は?

次に「去年今年」の語源を確認しておきましょう。それでは「年」の漢字の成り立ちについて説明しましょう。「年」は稲の穂を表す「禾」と、実る意味の音を示す「千」とを合わせた字。稲の穂が「みのってふくらむ」意味を表します。後に、稲が実り、刈り取るまでには一年かかることから、一年、二年の「とし」の意味に使われるようになりました

\次のページで「「去年今年」の使い方・例文」を解説!/

「去年今年」の使い方・例文

「去年今年」の使い方について例文を挙げて解説していきます。この言葉は、たとえば以下のように用いられますよ。

1.去年今年、今年も良い年にしましょう。

例文1からは年初めに昨年を振り返り、年の移り変わりをしみじみと感じている様子が読み取れます。

「去年今年」の類義語は?違いは?

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「去年今年」と似たような意味をもつ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「今となっては」

「今となっては」は現在すでに時機を逸している様子を表し、「このガンは一月前なら放射線治療も効果があるが、いまとなっては手遅れだ」などのように述語にかかる修飾語として用いられます。適切な時機を逸したために好ましくない結果が生じることについて、あきらめの暗示がありますよ。

「いまとなっては後の祭りだが、事故の後すぐに謝罪しておけば訴えられないですんだだろう」の「今となっては後の祭りだが」は、今さら騒いでも間に合わないがという意味。また、「今となっては」は「今さら」に似ていますが、「今さら」は好ましくない結果について憤慨・慨嘆の暗示があります

\次のページで「その2「今さら」」を解説!/

その2「今さら」

「今さら」は適切な時機を逸している様子を表し、「自分が先にケンかを売っておいて、水に流してやるだなんて、いまさら何を言うか」「無理に頼んだ手前いまさら何を言うか」などのように述語にかかる修飾語として用いられますが、述語部分を省略する場合もありますそのとき初めて問題にする様子を表し、それまで何もしてこなかったことについて慨嘆や憤慨の暗示を伴い、しばしばもう間に合わないというニュアンスになりますよ。

「今さら」を使用する際のポイント

「彼は被害者の遺族に謝罪の手紙を書いたが、遺族にしてみれば何をいまさらという気持ちだろう」の「何を今さら」は慣用的な表現で、対応が遅れたことについて激しい憤慨の気持ちを表します

また、「今さら」は「今となっては」や「今頃」に似ていますが、「今となっては」は時機を逸したために生じた結果についてあきらめの暗示があるでしょう。「今頃」は時機を逸していることだけを表し、間に合わないかどうかには言及しません。したがって「今さら謝っても遅い」は「もう間に合わない」、「今ごろ謝っても遅い」は「もっと早く謝ればよかったのに」というニュアンスになります。

その3「今でこそ」

「今でこそ」は現在の状態が過去と正反対ではなはだしい様子を表します。「あいつ、いまでこそ社長だといばっているが、昔はひどい暮らしをしていたんだぜ」「私はいまでこそ病院通いをしているが、学生時代は陸上の選手として鳴らしたものだ」などのように「今でこそ…だが、昔(かつて)は…だった」という条件に呼応する形で用いられますよ。

現在と過去の状態が話者の価値観において正反対になっているところにポイントがあり、現在は好ましく過去は好ましくない場合と、現在は好ましくなく過去は好ましい場合があります「今でこそ」自体の意味としては現在の状態のはなはだしさを暗示しますが、必ず条件を作って後ろに過去を述べる述語がくるので、話者の力点は過去の方に置かれることになりますよ。また、「いま」を使った場合に比べて現在と過去の対照を誇張するニュアンスになります

「去年今年」の対義語は?

「去年今年」と反対の意味に近い言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「今」

「今」は「父はいま庭いじりをしています」「ハイキングにはいまがいちばんいい時期だ」などのように現在を表します指し示す時間にはかなりの幅があり、現時点、進行・継続している状態、現在の季節、現代などがありますよ。「いま、物体と面の間の摩擦は無視できるとする」は数字や物理などで、前提を示すときに慣用的に用いる表現で、実際の時は問題にせず、当該の条件においてという意味を表します。「右から二人目がいまを時めく照ノ富士」の「今を時めく」は慣用的で、現在世間でもてはやされているという意味

「今」を使用する際のポイント

「うちの社長は貧乏から身を起こしたいま太閤だ」は「いま□□」という名詞の前に直接つく形で用いられ、□□には過去の有名人物が入ります過去の□□になぞらえられる人物という意味。この「今」は「ただいま」「このごろ」「もっか」などに似ていますが、「ただいま」は丁重な会話で「いま」の代わりに用いられますし、「このごろ」は時間の幅が広く、「もっか」は現在進行・継続の事柄についてのみ用いられます

\次のページで「その2「ひと頃」」を解説!/

その2「ひと頃」

「ひと頃」は過去のある時期を表す副詞。例えば「この店はひところよりだいぶ景気がよくなった」は名詞の用法、「父も七十を過ぎてひところの元気がなくなった」は名詞にかかる修飾語、「ひところはやったフラフープがまた流行し始めた」「ひところは毎日のように映画に通ったものだ」は述語にかかる修飾語の用法です。

ある程度隔たった過去の幅をもった一時期を現在から見て、話者が感慨をもっている様子が暗示されますよ。また、「ひと頃」は「かつて」に似ていますが、「かつて」は漠然とした過去の時を客観的に表し、時間の幅を暗示しません。したがって「私はひところその人にどこかで会った覚えがある」は誤用となり、正しくは「私はかつてその人にどこかで会った覚えがある」となります。

「去年今年」の英訳は?

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「去年今年」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。英語で「去年今年」と言い表す時の例をさっそく見ていきましょう。

「last year and this year」

「last year and this year」は「去年今年」という意味です。「last year and this year ,Let's make this year a good one」で「去年今年、今年は良い年にしよう」と表現することができますよ。

「去年今年」を使いこなそう

この記事では「去年今年」の意味・使い方・類語などを説明しました。「去年今年」はここ一、二年や、新年を迎えて年の移り変わりを改めて実感していう語だと解説しましたね。ちなみに「去年今年」と反語的な表現に「年がら年中」が挙げられます。「年がら年中」は状態や行為の頻度が非常に高く継続しているように感じられる様子を表しますよ。ややくだけた表現でかたい文章中にはあまり登場しませんふつうあまり好ましくない状態や行為の頻度が非常に高い様子を軽い慨嘆の暗示を伴って誇張的に述べ、文字どおり一年の間を通じて同じ状態が継続するという意味はないことが多いです。

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国語言葉の意味

「去年今年」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説!

この記事では「去年今年」について解説する。
端的に言えば「去年今年」の意味は「去年と今年、新年を迎えて年の移り変わりを改めて実感していう語」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
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仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「去年今年」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「去年今年」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「去年今年」の意味は?

「去年今年」には、次のような意味があります。

1 新年にあたり、年去り年来る時の流れに対する感慨を表した言葉。行く年来る年。《季 新年》

2 去年と今年。

「―はさはる事ありて怠りけるかしこまり」

出典:コトバンク

「去年今年」はここ一、二年や、新年を迎えて年の移り変わりを改めて実感していう語です。

「去年今年」の語源は?

次に「去年今年」の語源を確認しておきましょう。それでは「年」の漢字の成り立ちについて説明しましょう。「年」は稲の穂を表す「禾」と、実る意味の音を示す「千」とを合わせた字。稲の穂が「みのってふくらむ」意味を表します。後に、稲が実り、刈り取るまでには一年かかることから、一年、二年の「とし」の意味に使われるようになりました

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