
「惜しげもない」を使用する際のポイント
そのため「君は惜しげもなくごみを捨てるね」「彼はいつも惜しげもなく時間を使う」「彼女は少年のために惜しげもなく命を投げ出した」「惜しげもない拍手を送る」は誤用となり、正しくは「君は何のためらいもなくごみを捨てるね」「彼はいつもたっぷり時間を使う」「彼女は少年のために躊躇なく命を投げ出した」「惜しみない拍手を送る」となります。
その2「惜しみない」
「惜しみない」は使いしぶることなく精一杯何かをする様子を表します。「親会社はおしみなく資金を投入した」「観客はおしみない拍手を送った」のように修飾語として用いることが多く、述語として用いられることは少ないです。対象としては具体物や形のないものなどがありますが、個人の自由な意志で分割・調整できるものであることが原則。
また、「惜しみない」は行為者の側に立ってその行為を説明する暗示があり、第三者がその行為を見て評するニュアンスの「惜しげもない」とは区別されます。したがって「部長は惜しみなく部下をこき使う」「彼は惜しみなく金を使うんで困る」は間違った表現で、正しくは「部長は遠慮なく部下をこき使う」「彼は惜しげもなく金を使うんで困る」となります。
「金片を切る」の対義語は?
「金片を切る」と反対の意味に近い言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。
その1「けち」
「けち」は卑小・貧弱で価値がない様子を表します。「けちな□□」のように、名詞にかかる修飾語の形で用いられることが多く、その他の形で用いられたときには、この意味にはならないことが多い。したがって「その家はけちな家だった」は「つまらないちっぽけな家だった」、「その家はけちだった」は「吝嗇な人が住んでいた」というニュアンスになります。「大きな口をきくからどんな立派な家に住んでいるかと思ったら、けちな家だったぜ」「おみかけどおりのけちな野郎です」のように具体物について用いられた場合には、「貧弱でとるにたりない」という意味を表しますよ。
「けち」を使用する際のポイント
「そんなけちな料簡を起こすもんじゃない」「彼は交渉に際してケチな手を使った」のように抽象的なものについて用いられた場合には、「卑屈でいやしい」という意味を表します。「けち」は貧弱で価値がないことについて侮蔑するニュアンスがあり、単に「小さい」「つまらない」というのとは異なりますよ。したがって、自分について用いられた場合には、卑下するニュアンスが入ります。ただし、このような自己紹介はヤクザなど特殊な世界でのみ用いられる傾向があり、あまり一般的ではありません。
その2「しみったれ」
「しみったれ」は「彼はしみったれだから、絶対おごらない」「お祝いに小銭を出すなんて、あんまりしみったれだ」などのように異常に消費を渋る様子を表します。とても俗語的な表現で、日常会話中心に用いられ、かたい文章中には登場しません。「けち」という意味ですが、「けち」よりももっと即物的で用法が狭く、具体的に消費を渋る現場で使うことが多く、比喩的な用法はありません。
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