この記事では「金片を切る」について解説する。
端的に言えば「金片を切る」の意味は「金銭を惜しげなくはでに使う」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「金片を切る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

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仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「金片を切る」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「金片を切る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「金片を切る」の意味は?

「金片を切る」には、次のような意味があります。

金銭を惜しげなく使う。金づかいのあらいさまにいう。

出典:コトバンク

「金片を切る」は金銭を惜しげなく派手に使うことを意味する慣用句です。

「金片を切る」の語源は?

次に「金片を切る」の語源を確認しておきましょう。それでは「片」の漢字の成り立ちについて説明しましょう。「片」は木を縦に半分に切った右側の形を描いた字。半分にした木、つまり「きれはし」「かたわれ」を表します。

\次のページで「「金片を切る」の使い方・例文」を解説!/

「金片を切る」の使い方・例文

「金片を切る」の使い方について例文を挙げて解説していきます。この言葉は、たとえば以下のように用いられますよ。

1.あなたは結婚祝いや快気祝い、内祝いなんかで金片を切るようにお金を使うけど、適切な額があるのよ。大人のルールやマナーを知らないからよ、相手もお返しに困るでしょう。

2.告別式やお通夜、お葬式の席で供え物に金片を切る必要はないのよ。子どもじゃないんだから御霊前で恥をかくようなことはしないでね、必要最低限御供でいいの。

3.叔父は普段から札片を惜しみなく使うタイプで、祝い事の贈答品で金片を切り、叔母にパンチをおみまいされていた。

例文1からは適切な額よりも多く包みたいタイプの人と常識的な考えの人とのやり取りであることが伺えますし、例文2からは故人を偲ぶ席でお祝い事のようなお金の使い方は感心できないと非難している様子が伝わってきます。また、例文3からは予想よりはるかに多くの額を包まれたことが読み取れますね。

「金片を切る」の類義語は?違いは?

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「金片を切る」と似たような意味をもつ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「惜しげもない」

「惜しげもない」は惜しいと思うような様子がないことを表します「惜しげもなく…する」という述語に呼応する用法で用いられ、その他の形では用いられません後ろにくる行為としては、「投げ出す」「捨てる」「使う」など消費・放棄に関連する行為が多いでしょう。投げ出す対象は一定の価値があってふつうなら「おしい」と思うような物で、さらに個人の自由に分割できる物の場合が多いです。「惜しげもない」は「惜しみない」に非常に似ていますが、「惜しみない」は消費や放棄などの行為をする側に視点があるのに対して、「惜しげもない」は第三者に視点のある点が異なりますよ。

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「惜しげもない」を使用する際のポイント

そのため「君は惜しげもなくごみを捨てるね」「彼はいつも惜しげもなく時間を使う」「彼女は少年のために惜しげもなく命を投げ出した」「惜しげもない拍手を送る」は誤用となり、正しくは「君は何のためらいもなくごみを捨てるね」「彼はいつもたっぷり時間を使う」「彼女は少年のために躊躇なく命を投げ出した」「惜しみない拍手を送る」となります。

その2「惜しみない」

「惜しみない」は使いしぶることなく精一杯何かをする様子を表します。「親会社はおしみなく資金を投入した」「観客はおしみない拍手を送った」のように修飾語として用いることが多く、述語として用いられることは少ないです。対象としては具体物や形のないものなどがありますが、個人の自由な意志で分割・調整できるものであることが原則

また、「惜しみない」は行為者の側に立ってその行為を説明する暗示があり、第三者がその行為を見て評するニュアンスの「惜しげもない」とは区別されます。したがって「部長は惜しみなく部下をこき使う」「彼は惜しみなく金を使うんで困る」は間違った表現で、正しくは「部長は遠慮なく部下をこき使う」「彼は惜しげもなく金を使うんで困る」となります。

「金片を切る」の対義語は?

「金片を切る」と反対の意味に近い言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「けち」

「けち」は卑小・貧弱で価値がない様子を表します「けちな□□」のように、名詞にかかる修飾語の形で用いられることが多く、その他の形で用いられたときには、この意味にはならないことが多い。したがって「その家はけちな家だった」は「つまらないちっぽけな家だった」、「その家はけちだった」は「吝嗇な人が住んでいた」というニュアンスになります。「大きな口をきくからどんな立派な家に住んでいるかと思ったら、けちな家だったぜ」「おみかけどおりのけちな野郎です」のように具体物について用いられた場合には、「貧弱でとるにたりない」という意味を表しますよ

「けち」を使用する際のポイント

「そんなけちな料簡を起こすもんじゃない」「彼は交渉に際してケチな手を使った」のように抽象的なものについて用いられた場合には、「卑屈でいやしい」という意味を表します「けち」は貧弱で価値がないことについて侮蔑するニュアンスがあり、単に「小さい」「つまらない」というのとは異なりますよ。したがって、自分について用いられた場合には、卑下するニュアンスが入ります。ただし、このような自己紹介はヤクザなど特殊な世界でのみ用いられる傾向があり、あまり一般的ではありません。

その2「しみったれ」

「しみったれ」は「彼はしみったれだから、絶対おごらない」「お祝いに小銭を出すなんて、あんまりしみったれだ」などのように異常に消費を渋る様子を表しますとても俗語的な表現で、日常会話中心に用いられ、かたい文章中には登場しません「けち」という意味ですが、「けち」よりももっと即物的で用法が狭く、具体的に消費を渋る現場で使うことが多く、比喩的な用法はありません

\次のページで「「しみったれ」を使用する際のポイント」を解説!/

「しみったれ」を使用する際のポイント

また、「しみったれる」という動詞にするとやや用法が広がって、「嘆かわしい」「情けない」という意味にもなります。吝嗇を意味する語としては他に「けちくさい」「みみっちい」「いじましい」などがありますが、「みみっちい」は具体的な消費のしかたについてスケールの小ささを侮蔑するニュアンスがあり、「いじましい」は蓄財のしかたの細かさを侮蔑するニュアンスがありますよ。これらに比べて「しみったれ」はもっと直線的で俗語的です。

「金片を切る」の英訳は?

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「金片を切る」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。英語で「金片を切る」と言い表す時の例をさっそく見ていきましょう。

「squander」

「squander」は「金片を切る」という意味です。「He spends so much money like squander」で「彼は金片を切るように大金をつぎ込む」と書き表すことができますよ。

「金片を切る」を使いこなそう

この記事では「金片を切る」の意味・使い方・類語などを説明しました。「金片を切る」は金銭を惜しげなく派手に使うことを意味する慣用句だと解説しましたね。ちなみに「金片を切る」と同異義語の言葉に「むやみ」が挙げられます。「むやみ」は程度がはなはだしい様子を表しますよ。ふつうあまり好ましくない状態や動作の程度がはなはだしいという意味で用いられます。また、程度のはなはだしい理由を話者が理解していないことが多く、しばしば困惑や慨嘆の暗示を伴いますよ。

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国語言葉の意味

【慣用句】「金片を切る」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説!

この記事では「金片を切る」について解説する。
端的に言えば「金片を切る」の意味は「金銭を惜しげなくはでに使う」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「金片を切る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

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仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「金片を切る」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「金片を切る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「金片を切る」の意味は?

「金片を切る」には、次のような意味があります。

金銭を惜しげなく使う。金づかいのあらいさまにいう。

出典:コトバンク

「金片を切る」は金銭を惜しげなく派手に使うことを意味する慣用句です。

「金片を切る」の語源は?

次に「金片を切る」の語源を確認しておきましょう。それでは「片」の漢字の成り立ちについて説明しましょう。「片」は木を縦に半分に切った右側の形を描いた字。半分にした木、つまり「きれはし」「かたわれ」を表します。

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