今回は植物の「花」について学習していこう。

花というのは我々にとっても身近な存在です。小学校などでも花のつくりについては簡単に習うが、忘れてしまっているやつも多いでしょう。ここで一度しっかり復習をしておこうじゃないか。

大学で生物学を学び、現在は講師としても活動しているオノヅカユウに解説してもらうぞ。

ライター/小野塚ユウ

生物学を中心に幅広く講義をする理系現役講師。大学時代の長い研究生活で得た知識をもとに日々奮闘中。「楽しくわかりやすい科学の授業」が目標。

花は何のためにある?

まずはは何のために存在するのか…花の”働き”について確認しておきましょう。

日本は四季の豊かな国。季節に応じてさまざまな種類の花が私たちを楽しませてくれますし、花屋さんに行けば年中色とりどりの花が手に入ります。

ですが、花はそもそも私たちのために咲くわけではありません。植物にとって花は、子孫を残すための器官(生殖器官)です。

image by iStockphoto

花では、その植物の子ども…より正確にいえば種子(しゅし)がつくられます。植物の種によっては、種子の周りに果実ができることもありますね。

花でつくられた種子が地面に落ち、発芽することで次の世代が生育するのです。

なお、種子をつくる植物は種子植物と呼ばれます。種子をつくらず、それ以外の方法で子孫を増やす植物も存在しますが、そのような植物では花はつくられないということになりますね。

花のつくり

ここでは一般的な花のつくりを、「花弁」「がく」「おしべ」「めしべ」の4つにわけて解説していきます。

\次のページで「1.花弁」を解説!/

image by Study-Z編集部

ただし、以下のお話はあくまで”よくある花”についてのものです。種によっては以下の説明に当てはまらないような花(例えば”花弁のない花”など)も存在しますので、ご注意くださいね。

1.花弁

まず、「花」と聞いて皆さんが思い浮かべるのは、色とりどりの”花びら”でしょう。花びらは、生物学的には花弁(かべん)といいます。その色、形、枚数などは植物によってさまざまです。

花弁は、その内側にあるおしべやめしべといった構造物の保護に役立つほか、虫など花粉を運んでくれる生物(昆虫など)を引き寄せたりする役割もあります。

花弁が集まった状態のものは花冠(かかん)ともよばれますね。

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生殖や種子の形成に直接かかわるものではありませんが、昔から植物学には花弁のつき方(花冠のタイプ)によって植物を分類する手法があります。

合弁花類(ごうべんかるい)は、花弁がくっついて1枚となっている花冠(合弁花冠)をもつ植物のグループです。キキョウやツツジ、アサガオなどの花が当てはまります。

離弁花類(りべんかるい)は花びら一枚一枚が離れている花(離弁花冠)をもつ植物のグループです。サクラやアブラナなど、私たちがよく知る花の多くがこれに当てはまりますね。

2.がく(萼)

花弁の一番外側にあるのががく(萼)です。

花がまだつぼみの時には、花弁を包み込むように存在し、花を守っています。開花のあとは花を支える役割を果たしていることが多いようです。

じつは、花弁もがくも葉が変化してできたものだということが分かっています。遺伝子のはたらきによって花弁やがくの形成が調節されているのです。

\次のページで「3.めしべ」を解説!/

3.めしべ

めしべはそれぞれの花の内部に1つまたは複数存在しています。すこし難しい言葉では雌蕊(しずい)とも言いますね。

花を観賞する際には花弁の色や付き方に注目することが多いですが、「種子を残す生殖器官」という花本来の役割に照らせば、花弁よりもめしべの方が重要だとかんがえてもいいかもしれません。

そうですね。

まず、めしべの内部には胚珠(はいしゅ)があります。この胚珠こそ、将来的に種子になる部分にほかなりません。

胚珠をさらに細かく見ると、内部の胚のうと、胚のうを包み込んでいる珠皮に分けることができます。胚のうは卵細胞など、生殖に必要な細胞からなる、雌性配偶体の一種です。

Mature flower diagram.svg
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胚珠がどんな状態で存在しているか、というのが、植物を分類する一つの大きな基準になります。胚珠が子房(しぼう)に包まれているのが被子植物(ひししょくぶつ)、むき出しの状態で存在しているのが裸子植物(らししょくぶつ)です。

被子植物の場合、子房は発達すると果実になります。

子房は基本的に、めしべの根元に位置しているものです。子房からは細長い柱のようなものが伸びていることがありますが、これは花柱(かちゅう)といい、その先端を柱頭(ちゅうとう)とよびます。

柱頭は、おしべから飛ばされた花粉を受け取るための重要な場所です。花粉が付きやすいよう、べたべたしていることが多いですね。

\次のページで「4.おしべ」を解説!/

4.おしべ

おしべ雄蕊(ゆうずい)ともいいます。こちらも、1つの花にある数は種によってそれぞれです。

一般的なおしべは、細い糸のような花糸(かし)と、その先端についた(やく)からなります。葯には花粉が詰まった花粉のうという袋があり、ここから花粉をだすのです。

受粉と種子形成

最後に、ここまで確認してきた花のつくりをふまえて、種子が形成されるまでの流れを簡単にみていきましょう。被子植物の場合を例として取り上げますね。

おしべの葯でつくられた花粉が、めしべの柱頭につくことを受粉(じゅふん)といいます。これが種子形成のスタートです。

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花粉からはめしべの内部、胚のうへ向かって花粉管という管がのび、その中を2つの精細胞が移動していきます。胚のうにたどり着くと、なかにある卵細胞と1つの精細胞が合体。これが受精です。受精した細胞が発達すると種子になります。

もう1つの精細胞は中央細胞という細胞と合体して、将来的には発芽の栄養源となる胚乳になるのです。このような受精のしくみは重複受精といいます。

花の見方が分かると…?

美しく咲く花は私たちの眼を楽しませてくれますが、植物や園芸、生物学に興味のある人でなければ、その細かい構造まで意識することはないかもしれません。しかしながら、花の構造や見方が分かると、植物同士の類縁関係を推測できたり、違いを意識してみることができるようになり、花の鑑賞がより楽しくなります。

ぜひ、お花屋さんや花壇の花をじっくり眺めてみてくださいね。

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体の仕組み・器官理科生物

花のつくりと働きを確認しよう!被子植物と裸子植物の違いは?現役講師がわかりやすく解説します

今回は植物の「花」について学習していこう。

花というのは我々にとっても身近な存在です。小学校などでも花のつくりについては簡単に習うが、忘れてしまっているやつも多いでしょう。ここで一度しっかり復習をしておこうじゃないか。

大学で生物学を学び、現在は講師としても活動しているオノヅカユウに解説してもらうぞ。

ライター/小野塚ユウ

生物学を中心に幅広く講義をする理系現役講師。大学時代の長い研究生活で得た知識をもとに日々奮闘中。「楽しくわかりやすい科学の授業」が目標。

花は何のためにある?

まずはは何のために存在するのか…花の”働き”について確認しておきましょう。

日本は四季の豊かな国。季節に応じてさまざまな種類の花が私たちを楽しませてくれますし、花屋さんに行けば年中色とりどりの花が手に入ります。

ですが、花はそもそも私たちのために咲くわけではありません。植物にとって花は、子孫を残すための器官(生殖器官)です。

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花では、その植物の子ども…より正確にいえば種子(しゅし)がつくられます。植物の種によっては、種子の周りに果実ができることもありますね。

花でつくられた種子が地面に落ち、発芽することで次の世代が生育するのです。

なお、種子をつくる植物は種子植物と呼ばれます。種子をつくらず、それ以外の方法で子孫を増やす植物も存在しますが、そのような植物では花はつくられないということになりますね。

花のつくり

ここでは一般的な花のつくりを、「花弁」「がく」「おしべ」「めしべ」の4つにわけて解説していきます。

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