この記事では「右の耳から左の耳」について解説する。
端的に言えば「右の耳から左の耳」の意味は「右の耳から入ってきたものが素通りして左の耳へ抜けていくということ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「右の耳から左の耳」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「右の耳から左の耳」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「右の耳から左の耳」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「右の耳から左の耳」の意味は?

「右の耳から左の耳」には、次のような意味があります。

右の耳からはいって左の耳へ抜けていく。上の空で何も聞いていないさま。何を聞いても聞いたはしから忘れてしまうこと。

出典:コトバンク

「右の耳から左の耳」はたった今聞いた内容をすぐに忘れてしまったり、人の忠告や意見を聞き流したりするたとえを意味する慣用句です。

「右の耳から左の耳」の語源は?

次に「右の耳から左の耳」の語源を確認しておきましょう。それでは「耳」の漢字の成り立ちについて説明しましょう。「耳」はみみの形を描いた字で、柔らかいの意を含みます。

\次のページで「「右の耳から左の耳」の使い方・例文」を解説!/

「右の耳から左の耳」の使い方・例文

「右の耳から左の耳」の使い方について例文を挙げて解説していきます。この言葉は、たとえば以下のように用いられますよ。

1.小学生の健太は「まったくあなたは、いつも右の耳から左の耳と聞き流して、人の注意もろくに聞かないんだから、そういう失敗を繰り返すのよ」と母親に叱られた。

2.コールセンターで様々な電話応対をしているとマナーや言葉遣いの悪いお客に当たることがあるので、その場合は右の耳から左の耳に聞き流すやり方でやり過ごす。

3.オンラインで英会話の学習指導の講師をしている自分は、右の耳から左の耳に聞き流しているように見せかけて、左右両方の耳を使い分けることができる。

例文1からは注意力散漫な健太君であることが読み取れますし、例文2からは処世術の一環であることが伺えます。また、例文3からは武器を駆使してしっかりと聞き分けて指導していることが伝わってきますね。

「右の耳から左の耳」の類義語は?違いは?

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「右の耳から左の耳」と似たような意味をもつ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「忘れっぽい」

「忘れっぽい」は長く覚えていられない様子を表します。「…ぽい」は「…しがちである」という意味の形容詞を作る語尾。しばしば忘れがちであるという意味です。「老人はわすれっぽいから同じ話を何度でもする」のように一度記憶したことを忘れやすいという場合と、「彼女はわすれっぽく傘をしょちゅう無くす」のように物を置き忘れやすいという場合とがありますよ。

\次のページで「その2「するり」」を解説!/

その2「するり」

「するり」は素早く滑って抜け出る様子を表し、「と」が付いて述語にかかる修飾語になります。「手品師が合図すると縄がするりと解けた」が基本的な用法で、接触している物の一方が滑って抜け出るという意味、「そのすりは客の財布をするりと抜き取った」は滑るように気づかれずに抜き取るという意味、「政治家は質問をするりするりとかわした」は捕まえられそうだが巧みに滑り抜けてかわすという意味ですよ。接触面に隙間があってよく滑る様子を表し、狡猾・意外性の暗示を伴い、滑った結果に視点があります

「するり」は「つるり」や「ぬるり」に似ていますが、「つるり」は接触面が非常に平滑でしばしば水分や油分で濡れている暗示がありますし、「ぬるり」は接触面に粘液などがあって滑る様子を表し、不快・不気味の暗示があります。そのため「するりと滑る」は「絹のひもが」、「つるりと滑る」は「磨かれた廊下が」、「ぬるりと滑る」は「ウナギが」というニュアンスになりますよ。

その3「瞬く間」

「瞬く間」は所要時間がほとんどかからない様子を表す表現。「彼は山盛りのごちそうをまたたくまに平らげた」は動詞にかかる修飾語、「事故はまたたくまの出来事でした」は名詞にかかる修飾語、「引っ越しだってね。手伝おうか?いいよ、プロに任せればまたたくまだから」は述語の用法です。所要時間のかからなさの程度はとても主観的で一定の基準はありません。また、話者の主観で予想よりも短時間ですむことを誇張して表し、驚きの暗示がこもります。「瞬く間」は「あっという間」に似ていますが、「あっという間」は実際の所要時間だけでなく手間のかからなさ、意外さの暗示があり、驚きの暗示は少ないでしょう。

「右の耳から左の耳」の対義語は?

「右の耳から左の耳」と反対の意味に近い言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「しつこい」

「しつこい」は執着が強くてなかなかあきらめない様子を表しますよ。「セールスマンはしつこくつきまとった」「彼女の質問はいつもしつこい」「どんな難しい課題にも、塾生たちはしつこく食い下がる」「部長は部下のミスをしつこく追求した」はある行為について執着が強くてあきらめないという意味、「あんたみたいにしつっこい人は嫌いよ」「まだあきらめないなんて、しつこい子だねえ」は人間の性質についてあきらめの悪い性格という意味です

「しつこい」を使用する際のポイント

「しつこい」は「くどい」に近い意味がありますが、「くどい」に暗示されている不快感は「しつこい」ではそれほど強くなく、執着の濃厚さをやや客観的に表していますよ。したがって、執着の濃厚さが好ましい場合には「くどい」は用いられません「しつこい」は対象の執着の強さに視点があり、「くどい」にある繰り返しの暗示がない。したがって「質問がしつこい」は「いろいろ質問してあきらめない」、「質問がくどい」は「同じことを何度も聞く」というニュアンスになります。

その2「根強い」

「根強い」は「そのベテラン俳優にはねづよい人気がある」「住民は開発にねづよく反対している」などのように奥深いところが堅固で動かない様子を表します「根強い」は表面はともかく、奥深いところが動かないというニュアンスをもつ語で、好ましいことにも好ましくないことにも、心理の状態についても行為についても用いられますよ。

行為について用いられた場合には、執着の濃厚さを暗示することになるので、「粘り強い」などと似た意味になりますが、「粘り強い」は逆境や困難に耐える強さを暗示するのに対して、「根強い」は不動・不変の状態を暗示し、逆境や困難の暗示は少ないでしょう。「根強い」が植物の根が強いという文字通りの意味で用いられることは稀です。

\次のページで「「右の耳から左の耳」の英訳は?」を解説!/

「右の耳から左の耳」の英訳は?

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「右の耳から左の耳」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。英語で「右の耳から左の耳」と言い表す時の例をさっそく見ていきましょう。

「right ear to left ear」

「right ear to left ear」は「右の耳から左の耳」という意味です。「Listen from your right ear to your left ear」で「右の耳から左の耳へと聞き流す」と書き表すことができますよ。

「右の耳から左の耳」を使いこなそう

この記事では「右の耳から左の耳」の意味・使い方・類語などを説明しました。「右の耳から左の耳」はたった今聞いた内容をすぐに忘れてしまったり、人の忠告や意見を聞き流したりするたとえを意味する慣用句だと解説しましたね。ちなみに「右の耳から左の耳」と反義語の言葉に「根掘り葉掘り」が挙げられます。「根掘り葉掘り」は細部に至るまで穿鑿する様子を表しますよ。また、「聞く・穿鑿する」など探求の意味をもつ動詞にかかる修飾語になり、細部に至るまで穿鑿する結果、全体を残らず知りたがる様子を表し、しばしば動作を受ける相手の被害者意識が暗示されます

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「右の耳から左の耳」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説!

この記事では「右の耳から左の耳」について解説する。
端的に言えば「右の耳から左の耳」の意味は「右の耳から入ってきたものが素通りして左の耳へ抜けていくということ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
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「右の耳から左の耳」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「右の耳から左の耳」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「右の耳から左の耳」の意味は?

「右の耳から左の耳」には、次のような意味があります。

右の耳からはいって左の耳へ抜けていく。上の空で何も聞いていないさま。何を聞いても聞いたはしから忘れてしまうこと。

出典:コトバンク

「右の耳から左の耳」はたった今聞いた内容をすぐに忘れてしまったり、人の忠告や意見を聞き流したりするたとえを意味する慣用句です。

「右の耳から左の耳」の語源は?

次に「右の耳から左の耳」の語源を確認しておきましょう。それでは「耳」の漢字の成り立ちについて説明しましょう。「耳」はみみの形を描いた字で、柔らかいの意を含みます。

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