この記事では「嘘で固める」について解説する。

端的に言えば嘘で固めるの意味は「嘘ばかりで話などをまとめること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

早稲田大学文学部で日本文学・日本語学を学んだぽん太を呼んです。一緒に「嘘で固める」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ぽん太

早稲田大学文学部で日本語学と日本文学を学び、中高国語科の教員免許も取得している。これまで学んだ知識を生かして、難解な言葉をわかりやすく解説していく。

「嘘で固める」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「嘘で固める」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「嘘で固める」の意味は?

「嘘で固める」には、次のような意味があります。

嘘ばかりで話などをまとめる。

出典:コトバンク ー デジタル大辞泉(小学館)「嘘で固める」

「嘘」とは、言うまでもなく「事実と異なる事柄や言葉」を指します。「固める」には「ものを一つにまとめる」「柔らかいものを固い状態にする」などいくつか意味があり、「嘘で固める」の「固める」は、「外部から影響されないように固く守る」という意味に該当していました。

つまり、「嘘で固める」とは「いろいろな角度から嘘をついて、それが嘘だとバレないように固く守る」という意味だと解釈できますね。「嘘をつく」と異なるのは、一つの嘘ではなく、たくさんの嘘で話の大筋を合わせているという点でしょうか。

「嘘で固める」の語源は?

次に「嘘で固める」の語源を確認しておきましょう。

嘘の語源は諸説ありますが、「うそ」という言葉が使われるようになったのは平安末期〜室町後期ごろだと考えられています。「嘯く(うそぶく)」のうそ軽率な・そそっかしいという意味の「をそ」が転じてうそ「浮き空(うきそら)」の略でうそ、など語源の説はさまざまです。

「固める」は、「柔らかいものを一つにまとめて固くする」という言葉の意味や、固めたものは崩れにくいことなどから「固く守る」という意味が生まれたと考えられます。

\次のページで「「嘘で固める」の使い方・例文」を解説!/

「嘘で固める」の使い方・例文

「嘘で固める」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.北海道の人気が下がってるなんてそんな嘘で固めたような話、信じられるわけないよ。
2.信じていた人の言葉が嘘で固められたものだったと知り、絶望した。

それぞれの例文について解説していきましょう。

1つめの例文は、「話」を「嘘で固めた」で修飾し、「嘘で固めたような話」という使い方をしました。これはよく聞く使い方だと思いますが、「固めた」でも「固められた」でも同義なので、どちらか好きな方を使ってくださいね。

2つめの例文では、「固められた」という受け身の形を使いました。この場合も「固めた」に変更することもできますが、読んでいて若干違和感が残るので、今回は受け身にしています。

「嘘で固める」の類義語は?違いは?

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次に「嘘で固める」の類義語を紹介します。

その1「嘘八百」

「嘘ばかり、全くの嘘」という意味です。「八百」というのは数が多いことを表す言葉で、これは仏教の考えから来ていると言われています。「嘘八百を並べる」などと使うことが多いですね。ちなみに「嘘八百」を語源にして生まれたのが「嘘っぱち」という言葉だそうですよ。

\次のページで「その2「嘘で塗り固める」」を解説!/

その2「嘘で塗り固める」

「嘘で固める」とほぼ同じですが、「塗り固める」とすることによってよりたくさんの嘘をついている印象を持たせられます。「塗り固める」とは、文字通り「塗ってしっかり固める」という意味です。

「嘘で塗り固める」を検索してみると、記事のタイトルなどにも使われていました。「嘘で塗り固める」の方がオーバーな表現になるので、記事やブログなどのタイトルに使われやすいのかもしれませんね。

「嘘で固める」の対義語は?

では「嘘で固める」の対義語は、どのようなものがあるでしょうか。いくつか紹介していきます。

その1「一点の曇りもない」

「何の間違いも嘘偽りもない」「完璧な内容だ」といった意味で使います。「曇り」が嘘などのグレーな部分を指していて、それが全くないということですね。ただ「一点の曇りもない」は、場合によっては少し誇張した表現ととられ、逆に何か嘘をついているのではと疑われることもあります。使うタイミングには気をつけましょう。

その2「真実味に溢れた」

「真実味」には、「真実である感じ、本当らしさ」(出典:精選版 日本国語大辞典)という意味があります。「うそ偽りのない本当のこと」という意味を持つ「真実」に接尾語の「み」がついてできた言葉です。したがって、「真実味に溢れた」「真実である感じが溢れている」という意味を表しています。

これを使うと、相手の話が真実であることを断言するというよりも、その要素一つひとつに本当らしさがあるという聞き手側の印象を表しているように感じられますね。

「嘘で固める」の英訳は?

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最後に「嘘で固める」の英訳を紹介します。以下の意味の出典は、ウェブリオ英和辞典です。

「to fabricate a web of lies」

直訳すると、「嘘のわなを作り上げる」という意味です。キーワードごとに確認していきましょう。

「fabricate」には、もともと「何かを組み立てる」という意味があり、そこから「〈話や嘘などを〉(だまそうと)作り上げる、でっち上げる」という意味が派生しました。

「web of」「クモの巣状のもの、仕組んだもの、わな」という意味のフレーズです。「web of lies」「嘘のわな」という意味になります。「web」はウェブサイトなどでも使われているので聞き馴染みがあるでしょう。

「嘘で固める」のように「固めて守る」というよりも「逃げ場がないよう(クモの巣状に)嘘を張り巡らせる」という意味合いが感じられるフレーズですね。

\次のページで「「嘘で固める」を使いこなそう」を解説!/

「嘘で固める」を使いこなそう

この記事では「嘘で固める」の意味・使い方・類語などを説明しました。「嘘で固める」の意味や使い方はしっかり理解できたでしょうか。嘘に関連したことわざや慣用句はたくさんありますが、どれも全く同じ意味や語源を持つものはありません。少しの違いを理解して使い分けられるようになると、語彙力アップにつながるのでおすすめですよ。もし今日ちょっとしたウソをついてしまったという人は、自分やまわりに正直に行動することを心がけてみてくださいね。

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【慣用句】「嘘で固める」の意味や使い方は?例文や類語を早稲田文学部卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「嘘で固める」について解説する。

端的に言えば嘘で固めるの意味は「嘘ばかりで話などをまとめること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

早稲田大学文学部で日本文学・日本語学を学んだぽん太を呼んです。一緒に「嘘で固める」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ぽん太

早稲田大学文学部で日本語学と日本文学を学び、中高国語科の教員免許も取得している。これまで学んだ知識を生かして、難解な言葉をわかりやすく解説していく。

「嘘で固める」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「嘘で固める」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「嘘で固める」の意味は?

「嘘で固める」には、次のような意味があります。

嘘ばかりで話などをまとめる。

出典:コトバンク ー デジタル大辞泉(小学館)「嘘で固める」

「嘘」とは、言うまでもなく「事実と異なる事柄や言葉」を指します。「固める」には「ものを一つにまとめる」「柔らかいものを固い状態にする」などいくつか意味があり、「嘘で固める」の「固める」は、「外部から影響されないように固く守る」という意味に該当していました。

つまり、「嘘で固める」とは「いろいろな角度から嘘をついて、それが嘘だとバレないように固く守る」という意味だと解釈できますね。「嘘をつく」と異なるのは、一つの嘘ではなく、たくさんの嘘で話の大筋を合わせているという点でしょうか。

「嘘で固める」の語源は?

次に「嘘で固める」の語源を確認しておきましょう。

嘘の語源は諸説ありますが、「うそ」という言葉が使われるようになったのは平安末期〜室町後期ごろだと考えられています。「嘯く(うそぶく)」のうそ軽率な・そそっかしいという意味の「をそ」が転じてうそ「浮き空(うきそら)」の略でうそ、など語源の説はさまざまです。

「固める」は、「柔らかいものを一つにまとめて固くする」という言葉の意味や、固めたものは崩れにくいことなどから「固く守る」という意味が生まれたと考えられます。

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