この記事では「羽振りを利かせる」について解説する。

端的に言えば羽振りを利かせるの意味は「地位や勢力などを利用して、思うように振る舞う」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

早稲田大学文学部で日本文学・日本語学を学んだぽん太を呼んです。一緒に「羽振りを利かせる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ぽん太

早稲田大学文学部で日本語学と日本文学を学び、中高国語科の教員免許も取得している。これまで学んだ知識を生かして、難解な言葉をわかりやすく解説していく。

「羽振りを利かせる」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「羽振りを利かせる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「羽振りを利かせる」の意味は?

「羽振りを利かせる」を国語辞典で調べると、次のような意味がありました。

地位や財力、権力などを利用して、思うように振る舞うこと

出典:コトバンク ー デジタル大辞泉(小学館)「羽振りを利かせる」

「羽振り」とは、鳥が飛び立つときに羽を振る様子がいかにも勢いがあることと、世間における地位や権力、人望などの程度を表す2つの意味があります。「羽振りを利かせる」の「羽振り」は後者の意味です。似た意味を持つ「羽振りがよい」は、その人に勢い、つまり権力や財力があるという意味で使われます。

「利かせる」「効き目があるようにする」という意味です。これは「顔を利かせる」などで聞いたことがある言葉でしょう。この2つを組み合わせると、「羽振りを利かせる」「権力などを利用して、思うように振る舞うこと」という意味になります。

「羽振りを利かせる」の語源は?

次に「羽振りを利かせる」の語源を確認しておきましょう。

もともと「羽振り」とは、文字通り鳥が羽を振ることを表す言葉でした。その後、鳥が飛び立つときに羽を振る様子がいかにも勢いがあることから、権力や勢力のたとえとして使われるようになりました。

「羽振り」は、古語で使われた動詞「羽振る」の名詞形と考えられています。「羽振る」は万葉集にも登場していて、そこでは本来の鳥が羽ばたく様子を表す言葉として使われていました。おそらく「羽振る」が「羽振り」に変化したときに意味も新しく加わったのではないでしょうか。

\次のページで「「羽振りを利かせる」の使い方・例文」を解説!/

「羽振りを利かせる」の使い方・例文

「羽振りを利かせる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.大手ゲーム会社の社長は、最近の売り上げ好調で羽振りを利かせている
2.あの大物政治家が羽振りを利かせて自分の息子を昇格させたらしいぞ。一体どんな方法を使ったんだ。
3.あの方は最近羽振りを利かせているから、私たちの提案に乗ってくるかもしれない。

それぞれの例文を解説していきます。

1つめの例文は、社長が売り上げ好調により「羽振りを利かせている」状況を表したものです。売り上げ好調により財力、権力、地位が向上し、思うがままに振る舞っている様子が伝わってきますね。

2つめの例文は、大物政治家が自分の地位や権力を使って息子を昇格させたという文章にしました。思うがままの振る舞いというのは、本人だけでなくその周りの人にも影響力を持っています。

3つめの例文は、最近羽振りを利かせている人をうまく利用しようという人のセリフです。

今回は3つの使い方をしてみましたが、他にもいろんな使い方ができる言葉なので、ぜひ考えてみてくださいね。

「羽振りを利かせる」の類義語は?違いは?

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次に「羽振りを利かせる」の類義語を紹介します。

その1「幅を利かせる」

勢力や発言力がある、肩身が広いという意味です。「羽振り」が勢いを表すなら、「幅」はある特定の分野での勢力や発言力の強さを表しています。「羽振りが利く」と並べて語られることが多い言葉ですね。

\次のページで「その2「金に糸目を付けない」」を解説!/

その2「金に糸目を付けない」

惜しみなくいくらでもお金を使うという意味です。「糸目」とは、凧の本体についている揚がり具合や姿勢を制御するための糸のことで、これがないと凧は制御不能で風に任せてどこまでも飛んでいきます。

このことから、お金を制御しない、つまり出費を抑えずいくらでも使うことを意味する言葉になりました。

その3「湯水のごとく金を使う」

お金があるだけむだに消費することを意味します。湯や水は好きなだけ使うことから転じてできた言葉ですね。湯や水も好きなだけ使えるとはあまり考えませんが、余るほどお金がある人からすれば湯水も好きなだけ使えるんでしょう。

「羽振りを利かせる」の対義語は?

「羽振りを利かせる」は慣用句なので対義語はありませんが、反対の意味を持つ言葉を見つけたので紹介します。

「爪に火を灯す」

ろうそくの代わりに爪に火を灯すほど、ひどく貧しい生活をすることを意味する言葉です。

お金を使わないようにすることを「ケチ」「倹約」と言いますが、「爪に火を灯す」はその中でも圧倒的にケチであることを意味します。いい意味というよりは悪い意味で使われることが多いですね。

「羽振りを利かせる」の英訳は?

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では「羽振りを利かせる」を英語に翻訳すると、どのような言葉になるでしょうか。

「be influential」

直訳すると、「影響力がある」という意味です。

名詞「influence」には、影響、勢力、権勢、「コネ」、影響を及ぼす人などの意味があります。そしてそれを形容詞にした「influential」は、勢力のある、有名な、という意味です。

「He is influential.」「彼は羽振りがいい」という意味になり、「He is a man of influence in Japan.」とすると「彼は日本で羽振りを利かせる人物だ」という意味になります。

名詞と形容詞、どちらも使いやすいので好きな方を使ってみてくださいね。

\次のページで「「羽振りを利かせる」を使いこなそう」を解説!/

「羽振りを利かせる」を使いこなそう

この記事では「羽振りを利かせる」の意味・使い方・類語などを説明しました。聞きなれた言葉だと思いますが、しっかり意味を理解できていたでしょうか?「羽振りを利かせる」と「羽振りがいい」、「幅を利かせる」は同じ意味の言葉として使われがちですが、一つ一つ単語に分けて考えると少しずつ意味が違うんですよね。そんな少しの違いも理解して使い分けができたら、羽振りを利かせられるかっこいい大人に近づけるかもしれませんよ。キーワードは「利かせる」です。意識して学習してみてください。

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国語言葉の意味

【慣用句】「羽振りを利かせる」の意味や使い方は?例文や類語を早稲田文学部卒Webライターがわかりやすく解説!

その2「金に糸目を付けない」

惜しみなくいくらでもお金を使うという意味です。「糸目」とは、凧の本体についている揚がり具合や姿勢を制御するための糸のことで、これがないと凧は制御不能で風に任せてどこまでも飛んでいきます。

このことから、お金を制御しない、つまり出費を抑えずいくらでも使うことを意味する言葉になりました。

その3「湯水のごとく金を使う」

お金があるだけむだに消費することを意味します。湯や水は好きなだけ使うことから転じてできた言葉ですね。湯や水も好きなだけ使えるとはあまり考えませんが、余るほどお金がある人からすれば湯水も好きなだけ使えるんでしょう。

「羽振りを利かせる」の対義語は?

「羽振りを利かせる」は慣用句なので対義語はありませんが、反対の意味を持つ言葉を見つけたので紹介します。

「爪に火を灯す」

ろうそくの代わりに爪に火を灯すほど、ひどく貧しい生活をすることを意味する言葉です。

お金を使わないようにすることを「ケチ」「倹約」と言いますが、「爪に火を灯す」はその中でも圧倒的にケチであることを意味します。いい意味というよりは悪い意味で使われることが多いですね。

「羽振りを利かせる」の英訳は?

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では「羽振りを利かせる」を英語に翻訳すると、どのような言葉になるでしょうか。

「be influential」

直訳すると、「影響力がある」という意味です。

名詞「influence」には、影響、勢力、権勢、「コネ」、影響を及ぼす人などの意味があります。そしてそれを形容詞にした「influential」は、勢力のある、有名な、という意味です。

「He is influential.」「彼は羽振りがいい」という意味になり、「He is a man of influence in Japan.」とすると「彼は日本で羽振りを利かせる人物だ」という意味になります。

名詞と形容詞、どちらも使いやすいので好きな方を使ってみてくださいね。

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