この記事では「一家を成す」について解説する。

端的に言えば一家を成すの意味は「家庭を持つ」と「権威となる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役のオンライン塾講師でライターのななを呼んです。一緒に「一家を成す」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/なな

現役のオンライン塾講師であり、現在はライターとしても活動している。作文の添削をする際にひたすら辞書を引いた経験から、正しい日本語について常に考えるようになった。日本語の奥深さを伝えたいという熱い思いをもっている。

「一家を成す」の意味や使い方まとめ

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それでは早速「一家を成す」の意味や使い方を見ていきましょう。

「一家を成す」の意味は?

「一家を成す」には、次のような意味があります。

1.家庭をもつ。

2.学問・芸術などで権威となる。「日本画で―・した人物」

デジタル大辞泉(小学館)「一家を成す」

「一家を成す」は「いっかをなす」と読み、「家庭を持つ」と「ある分野で権威となる」という2つの意味があります。「一家」の意味も確認しておきましょう。

1.一つの所帯。一つの家族。「結婚して―を構える」「―の柱」

2.家族全体。家じゅう。「―をあげて移住する」

3.学芸・技術などの一つの流派。また、独自の権威を認められた存在。「歌道で―を立てる」

4.博徒など、親分子分の関係で結ばれた集まり。「国定 (くにさだ) ―」

デジタル大辞泉(小学館)「一家」

1番目の「家族」、そして3番目の「流派」や「権威を認められた存在」という意味の「一家」が、「一家を成す」に当てはまります。似たような言葉に「一家の言を成す」や「一家言を成す」がありますが、こちらは「独自の学説などを確立する」という意味です。

\次のページで「「一家を成す」の使い方・例文」を解説!/

「一家を成す」の使い方・例文

「一家を成す」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.まだまだ子どもだと思っていた息子が、昨年結婚して一家を成した。

2.中学時代に同じクラスだった友人が、現代アートで一家を成した。

3.鎌倉時代研究で一家を成した歴史家の書籍を読んだ。

1つ目の例文は、「家庭を持つ」という意味で「一家を成す」を使っています。息子が結婚して独立し、自分の家庭を持ったということですね。

2と3の例文での「一家を成す」は、「権威となる」という意味で使用されています。2つ目の例文は、「現代アート」という芸術分野で活躍し、信頼され優れた存在として認められたという意味です。同じように3の例文は、鎌倉時代の歴史研究で権威となった人の本を読んだ、ということになります。

「一家を成す」の類義語は?違いは?

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次に、「一家を成す」の類義語を確認していきます。

その1「所帯を持つ」

「所帯を持つ」は、「独立した家庭を持ち生計を営む」という意味の言葉です。「家庭を持つ」の意味で「一家を成す」の類語と考えてよいでしょう。一般的には「結婚して家庭を持つこと」を指す場合が多いようです。

同様の意味を持つ言葉で「身を固める」があり、こちらも「結婚して家庭を持つこと」を表します。

その2「大家」

「大家」は「たいか」と読み、「その道で特にすぐれた人」という意味です。「権威となる」の意味における「一家を成す」の類語としては、「日本文学の大家とよばれる」、「彼は歴史学の大家だ」などと使うとよいでしょう。

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その3「大成する」

「大成する」には複数の意味があります。辞典で確認してみましょう。

1.長時間を費やして、仕事や研究などを完全にしとげること。「事業を―する」「近代医学の―者」

2.業績を成し遂げてすぐれた人になること。「学者として―する」

3.多くの資料などを集めて一つの秩序だったものにすること。また、そのもの。集大成。「万葉集―」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「大成」

2番目の「すぐれた人になる」という意味が「一家を成す」の類語となりそうです。「医者として大成する」などと使います。

その4「名を揚げる」

「有名になる」という意味で「名を揚げる」という言葉があります。「権威となる」を表す「一家を成す」の方がかたいイメージですが、類語として覚えておいてもよいでしょう。「大変な思いをしながら努力し、歌手として名を揚げた」などと使います。

「名」を使用した言葉で似たような意味を持つものは他にも、「名を馳せる」「名を成す」「名を立てる」などがあり、まとめて覚えておくことがおすすめです。

「一家を成す」の対義語は?

「一家を成す」について特定の対義語は見つかりませんでした。ここでは参考に、「大きな成功」とは反対の意味合いの言葉を見ていきましょう。

その1「小成」

「小成」は「しょうせい」と読み、「わずかな成功」という意味を持ちます。「小成に安んじる」で使われることが多いようです。「一家を成す」の成功のイメージとはずいぶん異なりますね。「小成に安んじることなく、彼は意地でも大成功を収めたいと思っている」などと使えるでしょう。

その2「うだつがあがらない」

「うだつがあがらない」は、「地位などがぱっとしない」という意味で使われます。「うだつ」は漢字で書くと「梲」、「卯建」など、表記はいくつかあるようです。「頑張ってもうだつがあがらず、意気消沈している」、「君はうだつがあがらないと上司に言われ、嫌気がさしてきた」などと使います。

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その3「鳴かず飛ばず」

「鳴かず飛ばず」は、「これといった活躍をしないでいる様子」や「活躍の機会を待つさま」という意味です。「入社してから3年は鳴かず飛ばずだった」などと使います。

「一家を成す」の英訳は?

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「一家を成す」を英訳するとどのような表現になるのでしょうか?

その1「have a family」

「家庭を持つ」の意味での「一家を成す」には、「have a family」が当てはまりそうです。「He got married and have a family.」で「彼は結婚して一家を成した」を表せるでしょう。

その2「be an established 〇〇」

「establish」は「設立する、築き上げる」という意味の英単語です。「be an established 〇〇」というかたちで、 〇〇に地位を確立した職業などを入れ、「 〇〇で一家を成している」を表すことができます。「彼は芸術で一家を成している」は、「He is an established artist.」と英訳できるでしょう。

その3「be a great 〇〇」

「偉大な」という意味の「great」を用いて、「be a great 〇〇」とするのも使えそうです。「She is a great historian.」は、「彼女は歴史学の大家だ」や「彼女は歴史学で一家を成している」と解釈することができるでしょう。

「一家を成す」を使いこなそう

この記事では「一家を成す」の意味・使い方・類語などを説明しました。「一家を成す」は「家庭を持つ」と「権威となる」を表すのでしたね。あなたも家庭を持ったとき、「一家を成した」と使ってみましょう。また将来何かの分野でスターになったら、「この分野で一家を成した」と言えるかもしれません。

普段はあまり使わない「一家を成す」という言葉をマスターし、関連用語もストックして語彙力アップを目指しましょう!

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国語言葉の意味

【慣用句】「一家を成す」の意味や使い方は?例文や類語を現役塾講師ライターがわかりやすく解説!

この記事では「一家を成す」について解説する。

端的に言えば一家を成すの意味は「家庭を持つ」と「権威となる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役のオンライン塾講師でライターのななを呼んです。一緒に「一家を成す」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/なな

現役のオンライン塾講師であり、現在はライターとしても活動している。作文の添削をする際にひたすら辞書を引いた経験から、正しい日本語について常に考えるようになった。日本語の奥深さを伝えたいという熱い思いをもっている。

「一家を成す」の意味や使い方まとめ

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それでは早速「一家を成す」の意味や使い方を見ていきましょう。

「一家を成す」の意味は?

「一家を成す」には、次のような意味があります。

1.家庭をもつ。

2.学問・芸術などで権威となる。「日本画で―・した人物」

デジタル大辞泉(小学館)「一家を成す」

「一家を成す」は「いっかをなす」と読み、「家庭を持つ」と「ある分野で権威となる」という2つの意味があります。「一家」の意味も確認しておきましょう。

1.一つの所帯。一つの家族。「結婚して―を構える」「―の柱」

2.家族全体。家じゅう。「―をあげて移住する」

3.学芸・技術などの一つの流派。また、独自の権威を認められた存在。「歌道で―を立てる」

4.博徒など、親分子分の関係で結ばれた集まり。「国定 (くにさだ) ―」

デジタル大辞泉(小学館)「一家」

1番目の「家族」、そして3番目の「流派」や「権威を認められた存在」という意味の「一家」が、「一家を成す」に当てはまります。似たような言葉に「一家の言を成す」や「一家言を成す」がありますが、こちらは「独自の学説などを確立する」という意味です。

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