
端的に言えば変哲もないの意味は「取り立てて言うべきほどのこともない」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
塾講師を経験したナギセを呼んです。一緒に「変哲もない」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ナギセ
塾講師経験のあるライター。もちろん国語も教えた経験あり。国語好きを生かし、楽しく解説する。
「変哲もない」の意味は?
「変哲(読み方は「へんてつ」)もない」には、次のような意味があります。
特に取り立てて言うほどのこともない。平凡である。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「変哲もない」
「変哲もない」この慣用句は使ったことのある方も多いのではないでしょうか。「何の変哲もない」という形で使われることが多いですよね。
「変哲もない」の語源は?
次に「変哲もない」の語源を確認しておきましょう。
「変哲」というのは普通と変わっていることという意味です。その「変哲」がないのですから、「変哲もない」というのは普通と変わっていることがない=変わりない、平凡だ、ありふれている、という意味になります。「変哲」という言葉から派生してできたようですね。
「変哲もない」の使い方・例文
「変哲もない」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
1.何の変哲もない小さなレストランだ。
2.ぼくのおじさんは何の変哲もない見た目をしている。
「何の変哲もない〇〇」や「〇〇は何の変哲もない」といった使い方を多くします。
有名な例でいくと、高橋和巳の『悲の器』(1962)に「妻は喰い入るように、水の流れを見た。川は何の変哲もなく流れている。」という文章があります。このように自然に対してもよく使われますね!
その1「ありふれた」
どこにでもある、普通であって珍しくない、というような意味のある言葉です。よく使われる言葉ですよね。漢字だと「有り触れた」と書きます。ものがあってすぐ触れてしまうほどの場所にある、ということがどこにでもあるという意味に繋がったのでしょう。
1.ありふれた名前をつける。
2.ありふれた設定の小説だ。
他人の名前をありふれた、と言ってしまうのもどうかと思いますが、こういう使われ方もされますよね。でも個人の特定がされやすい現代においては、ありふれた名前の方がいいのかもしれません。
多くの人が創作活動をする現代では、設定やテーマが似通ってしまい、ありふれてしまうこともありますね。こういったときにも使えます。
その2「平凡」
これといったすぐれた特色もなく、ごく当たり前なことを表す言葉です。これもよく使われる表現ですよね。「凡(ぼん)」という字にごく普通であることという意味があります。そこに「平」という字がつくわけですから、見るからにして意味がわかりそうな言葉ですね。
1.飾り気のない平凡な服装だ。
2.連想ゲームで平凡な言葉しか浮かばず落ち込んだ。
あまり他と区別がしにくい様子を見たときにこんな言い方をしますね。初めて会う人との待ち合わせは、もう少し目立つ服装の方がいいのかもしれません。また、平凡とは悪い意味の言葉ではないですが、平凡だなどと言われるとあまり良い気がしない、なんてことも多いです。気をつけて使いましょうね。
\次のページで「その3「月並み」」を解説!/