
端的に言えば癖になるの意味は「悪い習慣となる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
日本語が好きで日本文学科を卒業したハルを呼んです。一緒に「癖になる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハル
日本語が大好きで日本文学科を卒業。現在は子供が言葉を覚えていく様子を見ながら日本語の奥深さを実感中。多くの人にそのよいところを紹介したいとの思いを込めて丁寧に解説する。
「癖になる」の意味や語源・使い方まとめ

「癖になる」という言葉をご存知ですか。普段何気なく使っている言葉かもしれませんね。でも、いざその意味はと聞かれると不安になってしまうかもしれません。どんな意味を持つ言葉でしょうか。それでは早速「癖になる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。
「癖になる」の意味は?
まず初めに、国語辞典で「癖になる」の意味を確認してみましょう。「癖になる」には、次のような意味があります。
悪い習慣や前例になる。
[補説]近年、「癖になる味」「この楽しさは癖になる」のように、悪いものに限らない用法も広まっている。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「癖になる」
「癖になる」は「くせになる」と読みます。「悪い習慣となる」ことや「悪い前例となる」ことを意味する慣用句です。「癖になる」は、そもそもはこのように悪い意味で使われる言葉でした。しかし「補説」を見てみてください。近年では良い意味でも使われるようになっています。「癖」とは「かたよりのある好みや傾向が習慣化したもの」を意味する言葉ですが、ずばり「人や表現における欠点」(精選版 日本国語大辞典(小学館))を意味する言葉でもあるのです。言葉は時代とともに変化していくものですので新しい使い方が出てくるのも自然なのですが、「癖」本来の意味を理解している人からすると、「癖になる」を良い意味で使うのは多少違和感を持つこともあるのだそうですよ。そんなことも少し頭に入れておくといいかもしれませんね。
「癖になる」の語源は?
次に「癖になる」の語源を確認しておきましょう。
「癖」という漢字は「病垂(やまいだれ)」と「辟(へき)」で成り立っていますね。「辟」というのは、人体の尻の穴に刃物を入れて左右に切り裂くことを示す会意文字です。怖いですね。「死刑」を意味する文字でもあるのです。同時に、中心から右へ左へ離れる意味も持ち「かたよる」ことも表します。そこから「偏った病気」を意味して「癖」という字が成り立ちました。この「癖」は「臭(くさ)」が音変化して「くせ」となったのです。つまり、他の人に嫌われる、いやがられるものからきた言葉なのですね。ですから、他人から見て好ましくないもの、気になるものを「癖」と言うのです。そういった「癖」がやめられなくなることを「癖になる」と表現します。
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