この記事では「癖になる」について解説する。

端的に言えば癖になるの意味は「悪い習慣となる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本語が好きで日本文学科を卒業したハルを呼んです。一緒に「癖になる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハル

日本語が大好きで日本文学科を卒業。現在は子供が言葉を覚えていく様子を見ながら日本語の奥深さを実感中。多くの人にそのよいところを紹介したいとの思いを込めて丁寧に解説する。

「癖になる」の意味や語源・使い方まとめ

image by PIXTA / 36034056

「癖になる」という言葉をご存知ですか。普段何気なく使っている言葉かもしれませんね。でも、いざその意味はと聞かれると不安になってしまうかもしれません。どんな意味を持つ言葉でしょうか。それでは早速「癖になる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「癖になる」の意味は?

まず初めに、国語辞典で「癖になる」の意味を確認してみましょう。「癖になる」には、次のような意味があります。

悪い習慣や前例になる。

[補説]近年、「癖になる味」「この楽しさは癖になる」のように、悪いものに限らない用法も広まっている。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「癖になる」

「癖になる」は「くせになる」と読みます。「悪い習慣となる」ことや「悪い前例となる」ことを意味する慣用句です。「癖になる」は、そもそもはこのように悪い意味で使われる言葉でした。しかし「補説」を見てみてください。近年では良い意味でも使われるようになっています。「癖」とは「かたよりのある好みや傾向が習慣化したもの」を意味する言葉ですが、ずばり「人や表現における欠点」(精選版 日本国語大辞典(小学館))を意味する言葉でもあるのです。言葉は時代とともに変化していくものですので新しい使い方が出てくるのも自然なのですが、「癖」本来の意味を理解している人からすると、「癖になる」を良い意味で使うのは多少違和感を持つこともあるのだそうですよ。そんなことも少し頭に入れておくといいかもしれませんね。

「癖になる」の語源は?

次に「癖になる」の語源を確認しておきましょう。

」という漢字は「病垂(やまいだれ)」と「(へき)」で成り立っていますね。「辟」というのは、人体の尻の穴に刃物を入れて左右に切り裂くことを示す会意文字です。怖いですね。「死刑」を意味する文字でもあるのです。同時に、中心から右へ左へ離れる意味も持ち「かたよる」ことも表します。そこから「偏った病気」を意味して「癖」という字が成り立ちました。この「癖」は「臭(くさ)」が音変化して「くせ」となったのです。つまり、他の人に嫌われる、いやがられるものからきた言葉なのですね。ですから、他人から見て好ましくないもの、気になるものを「癖」と言うのです。そういった「癖」がやめられなくなることを「癖になる」と表現します。

\次のページで「「癖になる」の使い方・例文」を解説!/

「癖になる」の使い方・例文

「癖になる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.新着のスマホゲームは、癖になると多くのみなさんに話題沸騰中ですのでおすすめしますよ。
2.お笑い芸人のギャグを集めた動画を見ながら夜更かしするのが、すっかり癖になっている。
3.興味のある食べ物を検索すると気軽にレシピが出てくるアプリは、便利すぎて癖になる。

「癖になる」は、何度も繰り返しているうちについ習慣になってしまったといった場面や、やめようと思ってもやめられずに繰り返してしまうといった場面で使われます。「さぼるのが癖になる」というように悪い習慣が身についてしまったことを表す場合。また、「その感じ癖になる」「そういうタイプ癖になる」といったように、少し個性的だったり、少し変な感じだったりして、とても良いとは言えないけれど何らかの魅力を感じてしまってつい繰り返してしまうといった場合にも用いられます。また、「癖になる文章」「癖になる味」など、本当に良いと思って何度も繰り返したいという場面で使われることも多くなりました。

「癖になる」の類義語は?違いは?

image by PIXTA / 59406909

「癖になる」の類義語を見ていきましょう。

その1「病み付きになる」

「病み付きになる(やみつきになる)」は「好きな物事から抜け出せなくなるほど夢中になること」を意味する表現です。「病み付き」とは「病気にかかること」を意味する言葉ですが、「趣味や勝負事に熱中してやめられなくなること」という意味も持っています。そこから「病み付きになる」は、病気にかかったように趣味や好きなことに夢中になることを表す言葉となったのです。

\次のページで「その2「中毒になる」」を解説!/

その2「中毒になる」

「中毒になる(ちゅうどくになる」は「やめられない、何度も味わいたいといって繰り返してしまうさま」を意味する表現です。「中毒」は「毒に中る(あたる)」という意味を持つ言葉ですが、「置かれた状況になれて特に変わったことだとは感じなくなること」「あるものへの依存が強く、ちょっとでも不足すると非常に強い飢餓感をもつこと」も意味します。そこから「中毒になる」は、物事に熱中してやめられなくなることを意味する表現となったのです。

その3「後を引く」

「後を引く(あとをひく)」は「余波がいつまでも続いて、きまりがつかない」「いつまでも欲しい感じが残る」ことを意味する言葉です。終わるはずのことがいつまでも続いてきまりがつかなかったり、終えるはずのことをいつまでも続けてしてしまうことを表します。主に飲食や好みなどについて味をしめることに用いられますよ。「このスナックは後を引く」「このスナックは癖になる」どちらも似た意味を持っていますね。

「癖になる」の対義語は?

「癖になる」と反対の意味を持つ言葉を見ていきましょう。

「飽きる」

「癖になる」の対義語というのは特にありません。反対の意味を持つ言葉を考えると「飽きる」があげられると思います。「飽きる」は「多すぎたり、同じことが長く続いたりして、いやになる」「十分に味わったり経験したりして、それ以上欲しくなくなる」ことを意味する言葉です。やめたくてもやめられない、ついつい繰り返してしまうということを表す「癖になる」とは反対の意味を持っていますね。

「癖になる」の英訳は?

image by PIXTA / 33236483

「癖になる」を英語に訳すとどのように表現できるか見ていきましょう。

その1「become a habit」

「habit」は「癖、習慣」を意味する単語です。ですから「become a habit」は直訳しても、そのものずばり「癖になる」となりますよ。

\次のページで「その2「addictive」」を解説!/

その2「addictive」

「addictive」は「中毒性の、病みつきにさせるような」といった意味を持つ単語です。「やめられない」ニュアンスを持っているので悪いことに対して使われることも多い言葉ですが、善い意味で「ハマっている」ということを表現することもできますよ。

Luxury becomes a habit.
贅沢は癖になる。

This taste is addictive.
この味は癖になる。

「癖になる」を使いこなそう

この記事では「癖になる」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「癖になる」は「悪い習慣となる」ことを意味する言葉でしたね。しかし近年では、悪いことだけでなく良い意味でも使われるようになりました。みなさんも、つい夢中になってしまうこと、何度も繰り返してしまって抜けられなくなっているようなことがあるでしょうか。そういったものを表現したい時「癖になる」という言葉、ぜひ使ってみてくださいね。

" /> 【慣用句】「癖になる」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学科卒Webライターがわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

【慣用句】「癖になる」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学科卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「癖になる」について解説する。

端的に言えば癖になるの意味は「悪い習慣となる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本語が好きで日本文学科を卒業したハルを呼んです。一緒に「癖になる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハル

日本語が大好きで日本文学科を卒業。現在は子供が言葉を覚えていく様子を見ながら日本語の奥深さを実感中。多くの人にそのよいところを紹介したいとの思いを込めて丁寧に解説する。

「癖になる」の意味や語源・使い方まとめ

image by PIXTA / 36034056

「癖になる」という言葉をご存知ですか。普段何気なく使っている言葉かもしれませんね。でも、いざその意味はと聞かれると不安になってしまうかもしれません。どんな意味を持つ言葉でしょうか。それでは早速「癖になる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「癖になる」の意味は?

まず初めに、国語辞典で「癖になる」の意味を確認してみましょう。「癖になる」には、次のような意味があります。

悪い習慣や前例になる。

[補説]近年、「癖になる味」「この楽しさは癖になる」のように、悪いものに限らない用法も広まっている。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「癖になる」

「癖になる」は「くせになる」と読みます。「悪い習慣となる」ことや「悪い前例となる」ことを意味する慣用句です。「癖になる」は、そもそもはこのように悪い意味で使われる言葉でした。しかし「補説」を見てみてください。近年では良い意味でも使われるようになっています。「癖」とは「かたよりのある好みや傾向が習慣化したもの」を意味する言葉ですが、ずばり「人や表現における欠点」(精選版 日本国語大辞典(小学館))を意味する言葉でもあるのです。言葉は時代とともに変化していくものですので新しい使い方が出てくるのも自然なのですが、「癖」本来の意味を理解している人からすると、「癖になる」を良い意味で使うのは多少違和感を持つこともあるのだそうですよ。そんなことも少し頭に入れておくといいかもしれませんね。

「癖になる」の語源は?

次に「癖になる」の語源を確認しておきましょう。

」という漢字は「病垂(やまいだれ)」と「(へき)」で成り立っていますね。「辟」というのは、人体の尻の穴に刃物を入れて左右に切り裂くことを示す会意文字です。怖いですね。「死刑」を意味する文字でもあるのです。同時に、中心から右へ左へ離れる意味も持ち「かたよる」ことも表します。そこから「偏った病気」を意味して「癖」という字が成り立ちました。この「癖」は「臭(くさ)」が音変化して「くせ」となったのです。つまり、他の人に嫌われる、いやがられるものからきた言葉なのですね。ですから、他人から見て好ましくないもの、気になるものを「癖」と言うのです。そういった「癖」がやめられなくなることを「癖になる」と表現します。

\次のページで「「癖になる」の使い方・例文」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: