
「手を携える」
「手を携える」(てをたずさえる)という言葉の意味を調べた場合、辞書によっては「手を取る」と記載されている場合もあります。では、「手を取る」と「手を携える」の意味は一致しているのでしょうか。
結論から言うと、「手を携える」には「手を取る」にない意味もあります。それは「協力する」という意味です。お互いの手を握り合うさまが、現代では協力し合うという意味にも転じています。「2人の手を携えて幸せな家庭を築いてください」などと、結婚式のスピーチで聞かれるでしょう。
一方、「教え導く」という意味である「手を取る」の場合、慣用句の中で類義語と言えるものはありません。近いものを挙げるとすれば「手塩にかける」ですが、それは「みずからの手で大切に育てる」という意味なので、類義語とするには少し無理があります。
「手を取る」の対義語は?
さらに「手を取る」の対義語も見てみましょう。
「指導を仰ぐ」
慣用句やことわざの類とは言えませんが、「指導を仰ぐ」(しどうをあおぐ)という表現があります。
「親切に教える」という意味の場合の「手を取る」は、教える立場からの言葉です。「指導を仰ぐ」という言葉は、逆に教わる立場から発せられます。「仰ぐ」とあるように、本来であれば目上の人から指導してもらうときの表現ですが、現代においてはそうとも限りません。「シニア選手が若手インストラクターから指導を仰ぐ」というように、必ずしも目上ではないが専門的知識を持っている人から教わるときにも「指導を仰ぐ」という言葉が使われる傾向にあります。
なお、「手を握る」などの意味である「手を取る」の対義語ですが、定義されたものはありません。反対の意味を持つ言葉を探すにも、「手を取られる」や「手を引かれる」などとなり、これらは対義語と言えないでしょう。
「take someone’s hand」「hold someone’s hand」
「take someone’s hand」と「hold someone’s hand」は、どちらも「手を取る」と訳すことができます。しかし、2つは全くの同じ意味かというと、そうとは言えません。
「take someone’s hand」の場合、手を引いて連れて行ったり、手を引いている人と離れないようにするという意味合いになります。親が子供を連れて歩くイメージを持つと良いでしょう。一方「hold someone’s hand」ですが、こちらは手を握ることに重きが置かれます。恋人同士が手をつないでいるイメージでかまいません。
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