この記事では「手を取る」について解説する。

端的に言えば手を取るの意味は「指導する」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国立大で国語学を学んだのタケルを呼んです。言葉の解説を得意としていて、大学時代はクイズサークルに所属していたので雑学にも詳しい。一緒に「手を取る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タケル

某国立大で日本語学を専攻。記事作成においては、手を取るかのごとく丁寧な言い回しにすることを心掛けている。文字だけで読み手が理解できるようにと心を砕く日々だ。

「手を取る」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「手を取る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「手を取る」の意味は?

「手を取る」には、次のような意味があります。

1.親愛の気持ちなどを表すために他人の手を握る。「—・って何度も礼を述べる」
2.親切に教え導くようすにいう。「初歩から—・って教え込む」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「手(て)を取(と)・る」

慣用句である「手を取る」には2つの意味があります。

1つは、文字通りとも言える「他人の手を握る」です。特に親愛の気持ちを込めて手を握るときに使います。男女間に限られるものではありません。

もう1つが派生した意味である「親切に教え導く」です。塾で子供たちに親身になって勉強を教える講師などをイメージすると良いでしょう。

「手を取る」の使い方・例文

「手を取る」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「手を取る」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.水泳の個人100メートル自由形優勝を部活の仲間と手を取って喜び合った。
2.初めてカードをご利用のお客様でも、弊社の者が手を取り使い方を説明いたします。
3.小学校と中学校が併設されているような地方では、放課後などに中学生が小学生の手を取り伝統行事などを教える光景が見られ、教科書や教材には載っていないその地方独特の歴史や文化を守り抜こうと努力しているのがうかがえる。

例文1と2・3では意味の違いがあることが分かりましたでしょうか。

例文1が「手を握る」という意味の「手を取る」です。例文2と3が「教え導く」という意味の「手を取る」となります。どちらの意味で使われているのかは、文脈から判断できるでしょう。大事なのは、2つの意味で「手を取る」が使われているということです。

さらに、「手を取り合う」という表現もあります。ただし、これは「手を取る」とは別の慣用句と考えたほうが良いでしょう。辞書にはこのような表記があります。

1.手を握り合う。「—・って喜ぶ」
2.親しい者どうしが連れ立つ。「—・って旅に出る」
3.力を合わせる。「—・って再建にあたる」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「手(て)を取(と)り合(あ)・う」

上記の通り、「手を取り合う」になると意味が3つに増えます。「手を握る」という意味は「手を取る」にもありますが、「親しいもの同士が連れ立つ」と「力を合わせる」はありません。よって、「手を取る」から2人が手を握り合うという意味を強調させるために「手を取り合う」とすることはできます。

「手を取る」の類義語は?違いは?

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ところで、「手を取る」の類義語は何でしょうか。違いとともに見ていきましょう。

\次のページで「「手を携える」」を解説!/

「手を携える」

手を携える」(てをたずさえる)という言葉の意味を調べた場合、辞書によっては「手を取る」と記載されている場合もあります。では、「手を取る」と「手を携える」の意味は一致しているのでしょうか。

結論から言うと、「手を携える」には「手を取る」にない意味もあります。それは「協力する」という意味です。お互いの手を握り合うさまが、現代では協力し合うという意味にも転じています。「2人の手を携えて幸せな家庭を築いてください」などと、結婚式のスピーチで聞かれるでしょう。

一方、「教え導く」という意味である「手を取る」の場合、慣用句の中で類義語と言えるものはありません。近いものを挙げるとすれば「手塩にかける」ですが、それは「みずからの手で大切に育てる」という意味なので、類義語とするには少し無理があります。

「手を取る」の対義語は?

さらに「手を取る」の対義語も見てみましょう。

「指導を仰ぐ」

慣用句やことわざの類とは言えませんが、「指導を仰ぐ」(しどうをあおぐ)という表現があります。

「親切に教える」という意味の場合の「手を取る」は、教える立場からの言葉です。「指導を仰ぐ」という言葉は、逆に教わる立場から発せられます。「仰ぐ」とあるように、本来であれば目上の人から指導してもらうときの表現ですが、現代においてはそうとも限りません。「シニア選手が若手インストラクターから指導を仰ぐ」というように、必ずしも目上ではないが専門的知識を持っている人から教わるときにも「指導を仰ぐ」という言葉が使われる傾向にあります

なお、「手を握る」などの意味である「手を取る」の対義語ですが、定義されたものはありません。反対の意味を持つ言葉を探すにも、「手を取られる」や「手を引かれる」などとなり、これらは対義語と言えないでしょう。

「手を取る」の英訳は?

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では、「手を取る」は英語で何と言うでしょうか。

「take someone's hand」「hold someone's hand」

take someone's hand」と「hold someone's hand」は、どちらも「手を取る」と訳すことができます。しかし、2つは全くの同じ意味かというと、そうとは言えません。

「take someone's hand」の場合、手を引いて連れて行ったり、手を引いている人と離れないようにするという意味合いになります。親が子供を連れて歩くイメージを持つと良いでしょう。一方「hold someone's hand」ですが、こちらは手を握ることに重きが置かれます。恋人同士が手をつないでいるイメージでかまいません。

\次のページで「「手を取る」を使いこなそう」を解説!/

「手を取る」を使いこなそう

この記事では「手を取る」の意味・使い方・類語などを説明しました。

慣用句である「手を取る」には、「手を握る」と「教え導く」という2つの意味があります。他人の手を握るという1つの行為が複数の意味を持つようになったのは、注目すべきことでしょう。「手を取る」相手は仲のいい人だけではありません。教えを請う人に対してもします。困っている人がいたら躊躇せずに「手を取る」、常にそういう態度でありたいものです。

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国語言葉の意味

【慣用句】「手を取る」の意味や使い方は?例文や類語を雑学大好きwebライターがわかりやすく解説!

この記事では「手を取る」について解説する。

端的に言えば手を取るの意味は「指導する」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国立大で国語学を学んだのタケルを呼んです。言葉の解説を得意としていて、大学時代はクイズサークルに所属していたので雑学にも詳しい。一緒に「手を取る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タケル

某国立大で日本語学を専攻。記事作成においては、手を取るかのごとく丁寧な言い回しにすることを心掛けている。文字だけで読み手が理解できるようにと心を砕く日々だ。

「手を取る」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「手を取る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「手を取る」の意味は?

「手を取る」には、次のような意味があります。

1.親愛の気持ちなどを表すために他人の手を握る。「—・って何度も礼を述べる」
2.親切に教え導くようすにいう。「初歩から—・って教え込む」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「手(て)を取(と)・る」

慣用句である「手を取る」には2つの意味があります。

1つは、文字通りとも言える「他人の手を握る」です。特に親愛の気持ちを込めて手を握るときに使います。男女間に限られるものではありません。

もう1つが派生した意味である「親切に教え導く」です。塾で子供たちに親身になって勉強を教える講師などをイメージすると良いでしょう。

「手を取る」の使い方・例文

「手を取る」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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