この記事では「一席設ける」について解説する。

端的に言えば一席設けるの意味は「宴会を開く」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国語力だけでこれまでの社会人生活を乗り切ってきたライター、ヤザワナオコに、「一席設ける」の意味や例文、類語などを説明してもらおう。

ライター/ヤザワナオコ

コールセンターの電話応対指導やマナー講師、テレビ番組の字幕製作経験もあるライター、ヤザワナオコ。

一席設けてもらうような立場になったこともないくせに、接待に使われるような高級店も大好きだとか。「秘書おすすめの名店」といった情報は、行く予定がなくても随時チェックしているらしい。「一席設ける」とはどんなときに使うのか解説してもらう。

「一席設ける」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「一席設ける」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「一席設ける」の意味は?

「一席設ける」には、次のような意味があります。

ちょっとした宴会や集まりを開く

出典:デジタル大辞泉(小学館)

「一席」の読み方は、この使い方の場合「いっせき」です。「ひとせき」では、場にある席の数を数えているようになってしまうので気をつけましょう。

「一席設ける」は、親交を深めたり謝意を表したりするために、宴会を用意してお客様などにご馳走すること。辞書上の意味でも「ちょっとした」とあるように、大規模なパーティーというよりは親しい間柄での宴会や数名での接待の場などを指すことが多い言葉です。とはいえ友人同士の単なる飲み会ではなく、一方が他方をもてなす関係にある場合に使います。

また、きちんと準備した接待であっても、主催者側が謙遜して「一席設けましたのでぜひお越しください」などと言うこともありますよ。「接待しますから」「ごちそうしたいので」と声をかけるのは直接的すぎるので、「場を準備した」ということを伝えています。日本語らしい婉曲な表現といえますね。営業マンとして接待するような立場になったら、日常的に「一席設ける」という言葉を聞くことになりそうです。

「一席設ける」の語源は?

次に「一席設ける」の語源を確認しておきましょう。「一席」は宴会などの一つの集まりを指します。それを「設ける」つまり準備をするのですから、「宴会の場をセッティングする」となりますね。

なお、ほかに演説、落語、講談なども「一席」ということがありますよ。落語家が高座に上がったとき、まず「毎度ばかばかしいお笑いを一席…」というのを聞いたことがある人もいることでしょう。

\次のページで「「一席設ける」の使い方・例文」を解説!/

「一席設ける」の使い方・例文

「一席設ける」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

・先生が退院されたので、快気祝いに研究会の仲間で一席設けることになった。幹事が当時行きつけだった店の名前を忘れてしまい、記憶をたどるのに苦労したそうだ。

・編集部として一席設けてじっくりお話ししたいので、ご都合の良い日時とあわせてお店についてご要望があれば知らせください。

「宴会」「宴席」という言葉からイメージするとおり、「一席設ける」という場合、この席は酒席、つまり通常はお酒を伴います。もちろん下戸の人もいますが、宴会はたいてい夜に開かれることもあり、お酒を全く出さないお店が使われることはまずありません。「酒食を共にする」というように、一緒にお酒を飲み、美味しい食事をして親睦を深めると仕事もうまく進むというのが従来の日本的な会社でのコミュニケーション方法だったのでしょう。

とはいえ、最近は働き方改革の影響もあり、懇親会や慰労会としてランチタイムにご飯だけの会合が設定されることも増えてきました。お昼なら家族との時間を邪魔しませんし、酔って醜態をさらすこともなさそうで、歓迎している人も多いのではないでしょうか。

「一席設ける」の類義語は?違いは?

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「一席設ける」と似た意味で使える表現を見ていきましょう。もちろん「パーティーを開催する」「飲み会を開く」「接待を準備する」などでもかまわないのですが、せっかくですからちょっと文学的な表現を紹介します。

「宴を張る(えんをはる)」

「宴」一文字だと「うたげ」と読みたくなりますが、ここでは「宴会」のときと同様「えん」と読み、飲食や歌舞をして遊び楽しむことを指します。「張る」は広がる、いっぱいにするといったイメージの強い語ですが、「開く、設ける」という意味も。ですから「一席設ける」と同じ意味になるのですね。なお、この「えん」は「筵」という字が使われることも。訓読みは「むしろ」で「風流な会合などの席」の意味がありますよ。

少々古いイメージもあり「宴を張る」はそう多く使われるわけではありません。皆さんは、もし目上の人や年長者が使った場合に意味が分かれば十分です。

\次のページで「「一席設ける」の対義語は?」を解説!/

「一席設ける」の対義語は?

「一席設ける」の反対は「宴会を開かない」ということなので、特に対義語となる慣用句はありません。

「一席設ける」の英訳は?

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最後に、「一席設ける」の英語表現を紹介します。

「Set up a business dinner」

日本語でも、一般にパソコンの初期設定を「セットアップ」と言ったり、会を準備することを「合コンをセットする」と言ったりしますね。英語のset upには「綿密に準備する、手配する」などの意味もあります。また、日本でいう「会食」はbusiness dinnerと訳すといいでしょう。

取引先の外国人を会食に誘う機会があれば、ぜひこの表現を使ってみてください。

「give a small party」

「一席設ける」の「ちょっとした宴会」のニュアンスを出すなら、「小さなパーティーを開く」と表すこともできます。逆に、フォーマル色の強い宴会ならhold a banquetがよさそうです。

また、「ごちそう」を表す語としては、feastも覚えておきましょう。banquetほど公式ではないものの、「祝宴、大宴会」の意味がありますよ。

「一席設ける」を使いこなそう

この記事では「一席設ける」の意味・使い方・類語などを説明しました。これは学生の間や、社会人になっても職種によってはあまり見聞きしない言葉かもしれません。だからこそ、とっさに聞いたときに意味が分からないことがないよう、「宴会の席を用意する」という基本的な意味だけはしっかり覚えておきましょう。

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国語言葉の意味

【慣用句】「一席設ける」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「一席設ける」について解説する。

端的に言えば一席設けるの意味は「宴会を開く」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国語力だけでこれまでの社会人生活を乗り切ってきたライター、ヤザワナオコに、「一席設ける」の意味や例文、類語などを説明してもらおう。

ライター/ヤザワナオコ

コールセンターの電話応対指導やマナー講師、テレビ番組の字幕製作経験もあるライター、ヤザワナオコ。

一席設けてもらうような立場になったこともないくせに、接待に使われるような高級店も大好きだとか。「秘書おすすめの名店」といった情報は、行く予定がなくても随時チェックしているらしい。「一席設ける」とはどんなときに使うのか解説してもらう。

「一席設ける」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「一席設ける」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「一席設ける」の意味は?

「一席設ける」には、次のような意味があります。

ちょっとした宴会や集まりを開く

出典:デジタル大辞泉(小学館)

「一席」の読み方は、この使い方の場合「いっせき」です。「ひとせき」では、場にある席の数を数えているようになってしまうので気をつけましょう。

「一席設ける」は、親交を深めたり謝意を表したりするために、宴会を用意してお客様などにご馳走すること。辞書上の意味でも「ちょっとした」とあるように、大規模なパーティーというよりは親しい間柄での宴会や数名での接待の場などを指すことが多い言葉です。とはいえ友人同士の単なる飲み会ではなく、一方が他方をもてなす関係にある場合に使います。

また、きちんと準備した接待であっても、主催者側が謙遜して「一席設けましたのでぜひお越しください」などと言うこともありますよ。「接待しますから」「ごちそうしたいので」と声をかけるのは直接的すぎるので、「場を準備した」ということを伝えています。日本語らしい婉曲な表現といえますね。営業マンとして接待するような立場になったら、日常的に「一席設ける」という言葉を聞くことになりそうです。

「一席設ける」の語源は?

次に「一席設ける」の語源を確認しておきましょう。「一席」は宴会などの一つの集まりを指します。それを「設ける」つまり準備をするのですから、「宴会の場をセッティングする」となりますね。

なお、ほかに演説、落語、講談なども「一席」ということがありますよ。落語家が高座に上がったとき、まず「毎度ばかばかしいお笑いを一席…」というのを聞いたことがある人もいることでしょう。

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