この記事では「右へ倣え」について解説する。

端的に言えば「右へ倣え」の意味は「まねをする」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

建設系広報誌の企画や校閲を6年経験したMaicodoriを呼んです。一緒に「右へ倣え」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Maicodori

建設系広報誌の企画・校閲などに6年以上携わり、言葉の意味や使い方を調べることが得意なWEBライター。年間100冊を超える豊富な読書量も活かし、「右へ倣え」の意味をわかりやすく伝える。

「右へ倣え」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「右へ倣え」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「右へ倣え」の意味は?

「右へ倣え」には、次のような意味があります。

1. 自分の右手にいる者にならえ。横隊の列などを整列させるときの号令。

2. 最初に行った人のまねをしたり追随したりすること。特に、無批判にそうする場合をいうことが多い。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「右へ倣え

「右へ倣え」は「みぎへならえ」と読み、2つの意味を持っています。1つ目は文字の通り、自分の右手側へいる人と同じ動きをすること。学生時代に整列するときによく使用しましたよね。2つ目は慣用句として、真似をしたり追随したりするときに使用されます。

なお、漢字で「右へ習え」と書くのは誤りですから注意しましょう。

「右へ倣え」の語源は?

次に「右へ倣え」の語源を確認しておきましょう。「倣う」はなかなか見ない漢字ですから、意味を国語辞典で確認しておきます。ついでに、同じような意味を持つ「習う」も示して比較しましょう。

すでにあるやり方、例をまねて、そのとおりにする。手本としてまねをする。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「倣う

1. 教わったことを繰り返し練習して身につける。けいこする。

2. 知識や技術などの教えを受ける。教わる。学ぶ。

3. 経験を積んで、なれる。習慣となる。

4. 慣れ親しむ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「習う

まず「倣う」と「習う」の違いですが、「倣う」は「真似をして学習する」という意味合いなのに対し、「習う」は「自ら学んで、又は教えてもらって学ぶ」という意味となります。「右へ習え」と書くと間違いとなる理由がわかりましたよね。

さて、ではなぜ「右」なのかということですが、「右へ倣え」は軍隊用語で右手側を基準とする習慣があったという説や、「右」は「2つを比べて優れている方」という意味を有しているためという諸説ありますが、語源はハッキリしていません。なぜ「左」では無いのかと気になる方は、この機会にさらに調べてみてはいかがでしょう。

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「右へ倣え」の使い方・例文

「右へ倣え」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1. 先生は隊列を組んだ大勢の子ども達に「右へ倣え!」と叫び、子ども達はロボットのように動いた。

2. 先人の知恵に対して思考せず完全に右へ倣えでは、オリジナリティに欠けた猿真似と変わらないよ。

3. 研究会で意見を求めても、今日はみんな右へ倣えだったな。このカリキュラムを他人事だと思っているんだろう。

例文の1は文字通りの意味ですね、隊列を組んだときの号令です。例文の2と3は真似をするという意味ですが、若干意味合いが違います。例文2は真似・追随という意味となりますが、例文3は「みんなと同じ」という意味です。

このように、誰かの真似をするという使い方に加えて、同調するといった使われ方もしますので覚えておきましょう。

「右へ倣え」の類義語は?違いは?

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それでは次に、「右へ倣え」の類義語を3つほどピックアップしましたので、見ていきましょう。

1. 「真似」

最初の類義語が「真似」(まね)です。念のため意味を確認しておきましょう。

1. まねること。また、形だけ似た動作をすること。模倣。

2. 行動。ふるまい。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「真似

このように「右へ倣え」とほぼ意味が同じであることがわかりますが、「右へ倣え」は「最初に行った人の真似」という含意がありますので、その点で若干「真似」と異なると言えるでしょう。

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2. 「みならう」

次の類義語が「みならう」です。これも意味を見てみましょう。

人のすることを見て覚える。見て学ぶ。また、見てまねをする。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「みならう

「みならう」は「見習う」「見倣う」とどちらの漢字でも表現できます。前述したように、真似をするというニュアンスが強い場合は「見倣う」の方が良いでしょう。

「見倣う」の場合は「右へ倣え」とほとんど同じ意味ですが、「見倣う」の方が若干敬意や積極的な姿勢が感じられる言葉ですので、少しネガティブな意味で使用したい時に「右へ倣え」を用いると良いと思います。

3. 「なぞらえる」

最後の類義語が「なぞらえる」です、これも意味を確認してみます。

1. ある物事を類似のものと比較して、仮にそれとみなす。擬する。なずらえる。

2. まねて作る。にせる。なずらえる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「なぞらえる

このように、「右へ倣え」が行動・行為なども含めて真似することだったのに対し、「なぞらえる」は何かを創出・作成する際に使用する言葉です。なお漢字では「準える」「准える」「擬える」と書かれます。どれも読み方が難しいですから、合わせて覚えておきましょう。

「右へ倣え」の対義語は?

さて、同義語の次は対義語(反対語)を見ていきましょう。

「独創」

「右へ倣え」の慣用句としての対義語は見当たらないのですが、「独創」があげられるでしょう。「独創」は「模倣によらないで、独自の発想でつくりだすこと。また、そのもの。」という意味です。類義語の「真似」の対義語として覚えた方がわかりやすいかもしれません。

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「右へ倣え」の英訳は?

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最後に、「右へ倣え」を英訳するとどうなるかを見ていきましょう。

「follow suit」

「右へ倣え」を英語で言い回す場合は「follow suit」が適切でしょう。真似をするというニュアンスよりは、「先に続く」「前例にならう」といった意味合いが強い言葉です。なお口語ではカジュアルに「me-too」が使われることもありますね。例文を見てみましょう。

・If you don't stop the habit of following suit just for the sake of appearances, you need to capture the essence and improve it to suit your own purpose.

上っ面で見た目だけ右へ倣えする習慣をやめにしないと、いつか失敗するよ。自分の目的に合わせて、本質を捉えて改良しないと。

・In my previous job, all I had to do was follow suit, but now I'm in a position that requires me to think, which is fulfilling.

前職は右へ倣えしておけばよかっただけから、今の仕事は思考力が求められるポストにつけたから充実しているわ。

「右へ倣え」を使いこなそう

この記事では「右へ倣え」の意味・使い方・類語などを説明しました。簡単に復習しておきましょう。

「右へ倣え」は慣用句としては真似をしたり追随したりするときに使用する言葉でした。隊列を組んだ際には文字通り自分の右手側へいる人と同じ動きをすることです。仕事上の会議でも打合せでも、「右へ倣って」ばかりですと信頼されないことが多いですから、オリジナリティのある発言や発信をしていかないといけませんね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「右へ倣え」の意味や使い方は?例文や類語を元校閲者がわかりやすく解説!

「右へ倣え」の使い方・例文

「右へ倣え」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1. 先生は隊列を組んだ大勢の子ども達に「右へ倣え!」と叫び、子ども達はロボットのように動いた。

2. 先人の知恵に対して思考せず完全に右へ倣えでは、オリジナリティに欠けた猿真似と変わらないよ。

3. 研究会で意見を求めても、今日はみんな右へ倣えだったな。このカリキュラムを他人事だと思っているんだろう。

例文の1は文字通りの意味ですね、隊列を組んだときの号令です。例文の2と3は真似をするという意味ですが、若干意味合いが違います。例文2は真似・追随という意味となりますが、例文3は「みんなと同じ」という意味です。

このように、誰かの真似をするという使い方に加えて、同調するといった使われ方もしますので覚えておきましょう。

「右へ倣え」の類義語は?違いは?

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それでは次に、「右へ倣え」の類義語を3つほどピックアップしましたので、見ていきましょう。

1. 「真似」

最初の類義語が「真似」(まね)です。念のため意味を確認しておきましょう。

1. まねること。また、形だけ似た動作をすること。模倣。

2. 行動。ふるまい。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「真似

このように「右へ倣え」とほぼ意味が同じであることがわかりますが、「右へ倣え」は「最初に行った人の真似」という含意がありますので、その点で若干「真似」と異なると言えるでしょう。

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