この記事では「鼻が利く」について解説する。

端的に言えば鼻が利くの意味は「嗅覚が敏感である」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本語が好きで日本文学科を卒業したハルを呼んです。一緒に「鼻が利く」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハル

日本語が大好きで日本文学科を卒業。現在は子供が言葉を覚えていく様子を見ながら日本語の奥深さを実感中。多くの人にそのよいところを紹介したいとの思いを込めて丁寧に解説する。

「鼻が利く」の意味や語源・使い方まとめ

image by PIXTA / 59591434

「鼻が利く」という言葉をご存知ですか。聞いたことがある、使ったことがある方もあるかもしれませんね。どんな意味を持つ言葉でしょうか。それでは早速「鼻が利く」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「鼻が利く」の意味は?

まず初めに、「鼻が利く」の意味を辞書で確認してみましょう。「鼻が利く」には、次のような意味があります。

1.嗅覚 (きゅうかく) が敏感である。
2.敏感で物を見つけ出すことなどに巧みである。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「鼻が利く」

「鼻が利く」は「はながきく」と読みます。においをよくかぎ分ける、においに敏感(びんかん)であることを表す慣用句です。また、わずかな兆候から役に立つことを見つけ出す能力を持っていることも表します。隠し事を見抜いたり、自分の利益になりそうな話を素早く巧みに見つけ出す能力を持っていることを表すのですね。

「鼻が利く」の語源は?

次に「鼻が利く」の語源を確認しておきましょう。

「利く」は「本来の機能を十分に発揮する」「機敏に、また、さかんに活動する」「それをすることが可能である、できる」ことを意味する言葉です。

例えば犬など嗅覚の優れた動物は、においをかぐだけで様々なことを識別することができる能力を持っています。空港などで、違法薬物や爆発物のにおいをかぎ分ける犬の活躍はご存知なのではないでしょうか。また、ウィルスやがん細胞まで識別できるよう訓練された犬もいるそうです。このように、嗅覚が鋭いということは、目に見えないものも認識できる力を持っているということになるのですね。そこから「鼻が利く」は、「敏感で物を見つけ出すことなどに巧みである」ことを意味する言葉となりました。

\次のページで「「鼻が利く」の使い方・例文」を解説!/

「鼻が利く」の使い方・例文

「鼻が利く」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.会社から帰った瞬間に今日のおかずがかす漬けだと気づくなんて、うちの夫は鼻が利く人だ。
2.彼は鼻が利くので、会員の検索履歴をざっと見たたけで、おすすめ商品ページに表示すべきキーワードやフレーズがすぐにわかってしまうのだそうだ。
3.ほんの少しのヒントだけで次々と正解するなんて、さすがクイズ研究会の中でも鼻が利くと評判なわけだ。
4.内緒にしていたつもりだった漢字検定を受けたことも、その結果も、とっくに知っていたなんて、やっぱり母は鼻が利く。
5.友人は鼻が利くらしく、便利なスマホアプリを次々教えてくれる。

「鼻が利く」は、そのものずばり「嗅覚が敏感である」ことを表す時に用いることができます。また、「嘘や隠し事を敏感に察知する」「利益になりそうなこと、役に立ちそうなことを巧みに見つけ出す」能力を持っていることを表す場面でも使うことができるのです。「私は鼻が利くので、隠れてタバコを吸ってもすぐにわかりますよ」「彼女は鼻が利くので、僕の嘘などすぐに見破られてしまう」「彼は儲け話には鼻が利く」「友人は鼻が利いておいしいお店を見分けることができる」などといったように用いることができますよ。

「鼻が利く」の類義語は?違いは?

image by PIXTA / 36119886

「鼻が利く」の類義語を見ていきましょう。

その1「嗅ぎつける」

「嗅(か)ぎつける」は「においでそのものを探り当てる」ことを意味する言葉ですが、「隠されているものを、気配などから察してうまく探り当てる」ことも意味します。「新聞記者が事件を嗅ぎつける」などと言いますね。やはり嗅覚が敏感であるということは、隠されているものを探り当てる力につながるということなのですね。

\次のページで「その2「目ざとい」」を解説!/

その2「目ざとい」

「目ざとい」は漢字で「目聡い」「目敏い」と書くこともあります。「見つけるのが早い。目が早い」ことを意味しますが、「目が覚めやすい」ことも表す言葉です。本来「見つけるのが早い」と良い意味を持つ言葉ではありますが、往々にして「卑しいためにすぐ見つける」というように否定的な意味で使われることが多くなりました。誉め言葉としても、悪口としても使われる言葉なので、文脈によって判断する必要がありそうですね。

その3「目から鼻へ抜ける」

「目から鼻へ抜ける」は「非常に頭の働きのよいさま。また、抜け目なくすばしこいさま」を表すことわざです。視覚も嗅覚も連動させて優れた働きをすることから、物事の判断が素早く、とても利口で賢いことを表すようになったのですね。嗅覚だけでなく視覚も働かせていることから、「鼻が利く」よりもさらに素早く神経が鋭い様子が伝わってくるようですね。

「鼻が利く」の対義語は?

「鼻が利く」とは反対の意味を持つ言葉を見ていきましょう。

「鈍い」

「鼻が利く」の対義語というのは特にありません。強いてあげるとすれば「鈍い(にぶい)」があげられるでしょう。「鈍い」には「動きがのろい、動作が機敏でない」「感覚が鋭敏でない、反応が遅い」という意味があります。「敏感で物を見つけ出すことなどに巧みである」ことを表す「鼻が利く」とは反対の意味を持つ言葉であると言えますね。

「鼻が利く」の英訳は?

image by PIXTA / 62610425

「鼻が利く」を英語に訳すとどのように表現できるか見ていきましょう。

「have a good nose」

「have a good nose」で、「嗅覚の優れた鼻を持つ」「鼻が利く」ことを表現することができます。「nose」という単語は「鼻」を意味しますが、「好奇心やおせっかいの象徴としての鼻」「嗅覚」「勘」といった意味合いも持っているのですよ。

\次のページで「「鼻が利く」を使いこなそう」を解説!/

As a reporter, he had a nose for a good story.
記者として、彼はよい記事をみつけるために鼻が利いた。

「鼻が利く」を使いこなそう

この記事では「鼻が利く」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「鼻が利く」は「嗅覚が敏感である」こととともに、「敏感で物を見つけ出すことなどに巧みである」ことを意味する言葉でした。あなたの周りに「鼻が利く」人はいますか。何でも勘づかれてしまったり、見抜かれてしまったりすると、いろいろやりにくいですね。そもそも隠すことなどなく暮らせばいいのかもしれませんが、そうもいかないものですよね。願わくば、自分が「鼻が利く」人になりたいものです。そんなことを思いながら「鼻が利く」という言葉、ぜひ使ってみてくださいね。

" /> 【慣用句】「鼻が利く」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学科卒Webライターがわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

【慣用句】「鼻が利く」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学科卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「鼻が利く」について解説する。

端的に言えば鼻が利くの意味は「嗅覚が敏感である」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本語が好きで日本文学科を卒業したハルを呼んです。一緒に「鼻が利く」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハル

日本語が大好きで日本文学科を卒業。現在は子供が言葉を覚えていく様子を見ながら日本語の奥深さを実感中。多くの人にそのよいところを紹介したいとの思いを込めて丁寧に解説する。

「鼻が利く」の意味や語源・使い方まとめ

image by PIXTA / 59591434

「鼻が利く」という言葉をご存知ですか。聞いたことがある、使ったことがある方もあるかもしれませんね。どんな意味を持つ言葉でしょうか。それでは早速「鼻が利く」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「鼻が利く」の意味は?

まず初めに、「鼻が利く」の意味を辞書で確認してみましょう。「鼻が利く」には、次のような意味があります。

1.嗅覚 (きゅうかく) が敏感である。
2.敏感で物を見つけ出すことなどに巧みである。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「鼻が利く」

「鼻が利く」は「はながきく」と読みます。においをよくかぎ分ける、においに敏感(びんかん)であることを表す慣用句です。また、わずかな兆候から役に立つことを見つけ出す能力を持っていることも表します。隠し事を見抜いたり、自分の利益になりそうな話を素早く巧みに見つけ出す能力を持っていることを表すのですね。

「鼻が利く」の語源は?

次に「鼻が利く」の語源を確認しておきましょう。

「利く」は「本来の機能を十分に発揮する」「機敏に、また、さかんに活動する」「それをすることが可能である、できる」ことを意味する言葉です。

例えば犬など嗅覚の優れた動物は、においをかぐだけで様々なことを識別することができる能力を持っています。空港などで、違法薬物や爆発物のにおいをかぎ分ける犬の活躍はご存知なのではないでしょうか。また、ウィルスやがん細胞まで識別できるよう訓練された犬もいるそうです。このように、嗅覚が鋭いということは、目に見えないものも認識できる力を持っているということになるのですね。そこから「鼻が利く」は、「敏感で物を見つけ出すことなどに巧みである」ことを意味する言葉となりました。

\次のページで「「鼻が利く」の使い方・例文」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: