
「異にする」の使い方・例文
「異にする」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、例えば以下のように用いられます。
1.僕と彼は同じ書物を読んでも感想を異にするから、どうも考え方が違うようだ。
2.同じ趣旨の文章を書いても、書き手によって表現の仕方を異にするからおもしろい。
3.昭和、平成、令和と時代を異にしてきたが、いつまでたってもこのメールマガジンだけは配信をとめられない貴重な読み物の一つだ。
「異にする」という言い方は、特に法律や条令、規則などでよく使われる言葉です。例えば人事院規則では、官署の異動に当たっての適用基準が附則で事細かく記されています。そのなかでは通勤手当や住居手当、俸給表による号俸別の給料月額などが規定されているのです。その運用方法も在勤地によって別々に決められています。その内容は複雑で、一度読んだだけではなかなか理解できません。それに関連して別の法律や規則を参照しなければなりませんから大変です。
そのほか「異にする」を使うのは、ほかより相当優れた能力を持っていて、その程度が違うような場合にも使われます。例えばある店舗のサービスがほかの店舗より際立って優れていた場合にも、「あの店のサービスは他の店のサービスとは次元を異にする」というように使うことができるでしょう。
その1「食い違う」
「食い違う」とは、組み合わせた部分がうまく合わない、物事や意見などがうまく一致しないことを表しており「異にする」の類義語と言えます。よく「噛み合わない」という表現と同じではないかと考える人もいるようですが、微妙な違いがあるのです。「噛み合わない」は歯車になぞらえたもので、ぴったりしないことや論点が互いにずれたまま議論を進めていく様子を表しています。これだけであれば同じ意味にも取れますが、言葉にしてみれば違いがわかるでしょう。
例えば「話がなかなか噛み合わない」とは言いますが「話がなかなか食い違う」とは言いません。また「見積書と食い違う」とは言いますが「見積書と噛み合わない」とは言わないですね。このように文脈によって意味が少し違ってきます。
余談ですが「イスカの嘴(はし)の食い違い」という言葉をご存じでしょう。これはイスカという鳥の嘴(くちばし)が上下で左右食い違いになっていることが由来になった言葉です。
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