この記事では「気を許す」について解説する。

端的に言えば気を許すの意味は「警戒心や緊張をなくしたり、ゆるめたりすること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

幼少期から様々な分野の本を読み続け、知識を深めてきた川瀬を呼んです。一緒に「気を許す」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/川瀬

幼少期から多種多様な本を与えられて育ち、分からない言葉があれば辞書で引く癖がついていた。本を読む度に、細やかで表現力豊かな美しい日本語に魅了される。これまでの読書量を活かし、丁寧に言葉の意味を解説していく。

「気を許す」の意味や語源・使い方まとめ

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皆さんは「気を許す」という言葉をご存知でしょうか。きれいな女性や、男前な男性を見ると、つい「気を許し」てしまう人もいるかもしれません。「気を許す」という言葉を今回始めて聞いた人もいるでしょう。そこで、今回は「気を許す」という言葉を紹介します。それでは早速「気を許す」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「気を許す」の意味は?

「気を許す」には、次のような意味があります。

相手を信用して警戒心や緊張をゆるめる。「—・したのが間違いだった」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「気を許す」

「気を許す」は「きをゆるす」と読み、「相手を信用して警戒心や緊張をゆるめること」という意味です。例えば冒頭に例で出したものでいうと、男性はきれいな女性を前にすると、それだけで嬉しくなり、警戒心などが薄れてしまうことがありますね。良く言えば人懐っこい人ですが、悪く言うとその女性が悪意を持って近づいていた場合、騙されやすいとも言えます。

「気を許す」の語源は?

次に「気を許す」の語源を確認しておきましょう。結論から申し上げますと、正しい語源は不明です。しかし、言葉1つ1つの意味を見ていく事で、語源が分かってきます。

「気」という言葉は「心の動き・状態・働きを総合して捉えたもの。精神」という意味です。「許す」とは、皆さんが想像している通り「さしつかえないと認める」という意味と、もう1つ「ゆるめる」という意味があります。この2つの言葉が合わさって、「気を許す」という言葉が出来たんですね。

\次のページで「「気を許す」の使い方・例文」を解説!/

#1 「気を許す」の使い方・例文

「気を許す」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.友達の親友と聞いて、つい気を許し騙されてしまった。
2.1週間面倒を見たら、甥っ子がやっと気を許す素振りを見せた。
3.気を許した友達に裏切られたことにショックを受け、人間不信になってしまった。

これらの例文について、詳しく見ていきましょう。

例文1のように、友達と親しいと聞くと、ついつい気を許しがちですよね。しかし、初対面の人に対していきなり警戒心を解いてしまうのはとても危険です。例え、その友達から「凄い良い人だよ」と言われても、どのような人物なのか分からないため、「気を許す」ことなく見極めましょう。

例文2のように、まだ幼い子供の場合、大人に対して警戒心が強いことがあります。そういった子供には、長い間面倒を見たり、遊んだり、食事をさせるなどして、やっと気を許してくれるのかもしれません。

例文3のように、親しい人から裏切られた経験はありませんか?その親密度が高ければ高い程、ショックは大きいものです。最悪の場合には、人間不信に陥ってしまうかもしれません。気を許した友達とはいえ、日ごろからその人を見極めていくことが必要です。

「気を許す」の類義語は?違いは?

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「気を許す」には、「警戒心を解く」「緊張を緩めること」という意味がありました。そんな「気を許す」の類義語についても見ていきましょう。

その1「気の置けない」

「気の置けない」は「きのおけない」と読み、「気を遣ったり気兼ねしたりする必要がないほどに親密であるさま」という意味です。よく「気の置けない友達」と使われますが、これは「気を遣う必要がないほど親密な友達」という意味になります。

「気が置ける」と使われることもありますが、これは誤用であり、「気が置けない」が正確な使い方なので覚えておきましょう。また、「気の置ける」と使っている人もいますが、こちらも全く意味が異なってくるため、気をつけてください。

\次のページで「その2「注意散漫」」を解説!/

・彼女とは知り合って1か月も経っていないけど、すっかり気が置けない間柄だ。

・彼は幼馴染なので、気が置けない仲間だ。

・いくら気が置けない仲だとは言っても、そんな頼みごとをするのは図々しいのではないか。

その2「注意散漫」

「注意散漫」と「ちゅういさんまん」と読み、「注意が定まっていないさま」「あれこれと気が散っているさま」という意味です。例えば、仕事に集中せずにスマホをいじっていたりする人は、「注意散漫」と言っていいでしょう。

・つづけざまに思い出がぶり返し、俺は少し注意散漫になっていたようだ。

・息子は少し注意散漫なところがあり、授業中にも先生からよく注意されているようだ。

・注意散漫な状態で運転すると、交通事故を起こすことが多い。スマホなどに気を取られないよう注意しよう。

「気を許す」の対義語は?

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「気を許す」の対義語についても見ていきましょう。

「気を許せない」

「気を許す」の対義語は、至ってシンプルで「気を許せない」です。意味も反対に、「油断しない」「安心できない」という意味になります。よく、「気が置けない」と「気を許せない」の違いを分かっておらず、誤用している人が多いです。

「気が置けない」ことを、「油断できない」こととして使っている人が多いと、文化庁の調査により判明しています。「気が置けない」は「遠慮しなくてもいい間柄」、「気を許せない」は「油断できない」なので間違えないようにしましょう。

・彼女とは知り合って時間が経っていないため、まだ気を許せない間柄だ。

・彼女は性格が悪く、周囲からも嫌われている。近づいてきても、気が許せない人だ。

・まだ気が許せない仲なのに、図々しいお願いではないか。

\次のページで「「気を許す」を使いこなそう」を解説!/

「気を許す」を使いこなそう

この記事では「気を許す」の意味・使い方・類語などを説明しました。「気を許す」は「きをゆるす」と読み、「相手を信用して警戒心や緊張をゆるめる」という意味です。本当は緊張した方がいい場面で、すぐに他人を信用して警戒心や緊張を緩めてしまった場合に使います。

類義語には、「注意散漫」「気の置けない」という言葉が挙げられますが、それぞれニュアンスの違いや、使われるシーンが違うため、しっかり覚えて使い分けていきましょう。

対義語には、「気を許せない」が挙げられます。よく間違われるのですが、「気が置けない」ことを、「油断できない」こととして使っている人が多いです。「気を許せない」が「油断できないこと」として使うので、間違えないようにしてください。

簡単に人を信用し、「気を許す」ことないよう日々気をつけましょう。

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国語言葉の意味

【慣用句】「気を許す」の意味や使い方は?例文や類語を読書家Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「気を許す」について解説する。

端的に言えば気を許すの意味は「警戒心や緊張をなくしたり、ゆるめたりすること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

幼少期から様々な分野の本を読み続け、知識を深めてきた川瀬を呼んです。一緒に「気を許す」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/川瀬

幼少期から多種多様な本を与えられて育ち、分からない言葉があれば辞書で引く癖がついていた。本を読む度に、細やかで表現力豊かな美しい日本語に魅了される。これまでの読書量を活かし、丁寧に言葉の意味を解説していく。

「気を許す」の意味や語源・使い方まとめ

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皆さんは「気を許す」という言葉をご存知でしょうか。きれいな女性や、男前な男性を見ると、つい「気を許し」てしまう人もいるかもしれません。「気を許す」という言葉を今回始めて聞いた人もいるでしょう。そこで、今回は「気を許す」という言葉を紹介します。それでは早速「気を許す」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「気を許す」の意味は?

「気を許す」には、次のような意味があります。

相手を信用して警戒心や緊張をゆるめる。「—・したのが間違いだった」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「気を許す」

「気を許す」は「きをゆるす」と読み、「相手を信用して警戒心や緊張をゆるめること」という意味です。例えば冒頭に例で出したものでいうと、男性はきれいな女性を前にすると、それだけで嬉しくなり、警戒心などが薄れてしまうことがありますね。良く言えば人懐っこい人ですが、悪く言うとその女性が悪意を持って近づいていた場合、騙されやすいとも言えます。

「気を許す」の語源は?

次に「気を許す」の語源を確認しておきましょう。結論から申し上げますと、正しい語源は不明です。しかし、言葉1つ1つの意味を見ていく事で、語源が分かってきます。

「気」という言葉は「心の動き・状態・働きを総合して捉えたもの。精神」という意味です。「許す」とは、皆さんが想像している通り「さしつかえないと認める」という意味と、もう1つ「ゆるめる」という意味があります。この2つの言葉が合わさって、「気を許す」という言葉が出来たんですね。

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