この記事では「水を掛ける」について解説する。

端的に言えば「水を掛ける」の意味は「邪魔をする」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

建設系広報誌の企画や校閲を6年経験したMaicodoriを呼んです。一緒に「水を掛ける」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Maicodori

建設系広報誌の企画・校閲などに6年以上携わり、言葉の意味や使い方を調べることが得意なWEBライター。年間100冊を超える豊富な読書量も活かし、「水を掛ける」の意味をわかりやすく伝える。

「水を掛ける」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「水を掛ける」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「水を掛ける」の意味は?

「水を掛ける」には、次のような意味があります。

活発な動きに邪魔だてをしてだめにする。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「水を掛ける

「水を掛ける」は「みずをかける」と読み、順調に進んでいた物事に対して邪魔をし、失敗させるということを表現する際に使用します。「水をかける」と「かける」がひらがな表記の場合は、実際に水を浴びせるという意味で使われることもありますが、「掛ける」の場合は上述した国語辞書の意味で使用される言葉です。

なお「水掛」(みずがけ)という言葉は「(実際に)水をかける」という意味などになりますので、注意が必要ですね。

「水を掛ける」の語源は?

次に「水を掛ける」の語源を確認しておきましょう。語源は明確ではなく、実際に「水を浴びせて邪魔をする」という行為から「水を掛ける」となったとも考えられますが、「水」と「掛ける」のそれぞれの意味を念のため確認します。

まず「水」についてですが、物質としての「水」の意味に加えて、「勝負が長引いたとき、一時中止させること。」という意味を有しています。つまり「水」という言葉自体に、中止といったニュアンスが含まれているのですね。類義語のところでもご紹介しますが、例えば「水をさす」「水が入る」というように中止・中断といった言葉に「水」が使われることが多いのも頷けます。

次に「掛ける」も非常に様々な意味を持っている言葉ですが、「望ましくないこと、不都合なことなどを他に与える。こうむらせる。負わせる。」という意味がある言葉です。このようにそれぞれ邪魔をするというニュアンスを有する「水」と「掛ける」がくっついて、「不都合なことを与えて邪魔をして中止させる」といった意味の「水を掛ける」になったと思われます。

「水を掛ける」の使い方・例文

「水を掛ける」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「水を掛ける」の類義語は?違いは?」を解説!/

1. 彼は能力も自信も安心感もある素晴らしい人なんだけど、議論に水を掛けることが多くてね。

2. せっかくお客様のご要望や質問をまとめながら順調に来たのに、あなたが話に水を掛けたせいで他社に取られてしまったわ。

3. もう少しというところで水を掛けたのはあの上司だ。

どの例文にも「上手くいっていた」という状況と、「失敗」や「中断」といった結果が共通していることがわかりますね。また「水を掛ける」は例文の1と2のように「議論」や「話」といった言葉とセットで使われることが多いですが、例文3のように単独で使うことも可能です。

「水を掛ける」の類義語は?違いは?

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それでは次に、「水を掛ける」の類義語を3つほどピックアップしましたので、見ていきましょう。

1. 「水をさす」

最初の類義語が同じ「水」を使用した「水をさす」です。念のため意味を国語辞書で確認しておきましょう。

1. 水を加えて薄くする。

2. 仲のいい者どうしや、うまく進行している事などに、わきから邪魔をする。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「水をさす

料理などで1の意味を使うことがありますが、「水を掛ける」の類義語としては2の意味となります。「水を掛ける」は「議論」や「話」といった単語とセットで用いられることが多かったのに対し、「水をさす」は「気分」や「雰囲気」といった心の動きに対しても用いられることが多い言葉でしょう。

なお「水を差す」と漢字で表記することも多いですが、意味としては同じです。

\次のページで「2. 「足を引っ張る」」を解説!/

2. 「足を引っ張る」

次の類義語が「足を引っ張る」です、こちらも意味を確認しておきましょう。

人の成功や前進をじゃまする。また、妨げとなる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「足を引っ張る

意味としては「水を掛ける」とほぼ同様ですが、「水を掛ける」は意図的に邪魔をするというニュアンスがあったのに対し、「足を引っ張る」は能力が不足していたり、不可抗力であったりして邪魔をしてしまうというニュアンスを有しています。

3. 「腰を折る」

今回ご紹介する最後の類義語が「腰を折る」です、こちらも国語辞書で意味を確認しておきましょう。

1. 腰を折り曲げる。腰をかがめる。

2. 話などを中途で妨げる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「腰を折る

「水を掛ける」の類義語としては2つ目の意味ですね。話や議論を邪魔するという意味では「水を掛ける」とほぼ同じ意味ですが、「腰を折る」は失敗したという結果を示すニュアンスは少なく、ただ中断させたという際に使うことが多いでしょう。

「水を掛ける」の対義語は?

さて、同義語の次は対義語(反対語)を見ていきましょう。邪魔をして失敗・中止させるという「水を掛ける」の純粋な対義語は明確には無いと言えますが、対義語として近いものをご紹介します。

\次のページで「「助長」」を解説!/

「助長」

対義語として挙げられるのは「助長」です。ご紹介しませんでしたが、「水を掛ける」の類義語の1つである「阻害」の対義語として覚えた方がわかりやすいかもしれません。意味としては「力を添えて、ある物事の成長や発展を助けること。また、ある傾向をより著しくさせること。」ですから、「力を添える」という状況と、「成長・発展」という成功を感じさせる含意がありますね。

「水を掛ける」の英訳は?

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最後に、「水を掛ける」を英訳するとどうなるかを見ていきましょう。

「throw cold water on」

「水を掛ける」に近い英語の言い回しが「throw cold water on」です。日本語と同じように「水」(water)が含まれていますから、覚えやすいですね。

意味としてはどちらかというと類義語の「水をさす」に近く、議論や話の邪魔をするという際に使うこともあれば、場を白けさせるといった雰囲気や気分にも用いることがあります。以下に例文を見てみましょう。

・We were discussing cost reduction to solve the problem, but I leapt as if I were throwing cold water on it.

解決するためにコスト削減の議論をしていたのに、それに自分は水を掛けるように議論をジャンプさせてしまった。

・“ We sell Western-style, domestically produced, high-grade premium tombstones throughout Japan.” ”I'm sorry to be throwing cold water on it, but I'm looking for the stylish type.“

「当店は洋風かつ国産・高級のプレミアム墓石がデザインの特長で、全国で販売しております。」「水を掛けるようだけど、私はスタイリッシュなタイプを求めているのよね。」

「水を掛ける」を使いこなそう

この記事では「水を掛ける」の意味・使い方・類語などを説明しました。簡単に復習しておきましょう。

「水を掛ける」は順調に進んでいた物事に対して邪魔をし、失敗させるということを表現する際に使用する言葉でした。ビジネスでもプライベートでも自己主張は大事ですが、あまりに「水を掛ける」ことが多いと信頼を失うことがありますから、気をつけた方が良いでしょうね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「水を掛ける」の意味や使い方は?例文や類語を元校閲者がわかりやすく解説!

この記事では「水を掛ける」について解説する。

端的に言えば「水を掛ける」の意味は「邪魔をする」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

建設系広報誌の企画や校閲を6年経験したMaicodoriを呼んです。一緒に「水を掛ける」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Maicodori

建設系広報誌の企画・校閲などに6年以上携わり、言葉の意味や使い方を調べることが得意なWEBライター。年間100冊を超える豊富な読書量も活かし、「水を掛ける」の意味をわかりやすく伝える。

「水を掛ける」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「水を掛ける」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「水を掛ける」の意味は?

「水を掛ける」には、次のような意味があります。

活発な動きに邪魔だてをしてだめにする。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「水を掛ける

「水を掛ける」は「みずをかける」と読み、順調に進んでいた物事に対して邪魔をし、失敗させるということを表現する際に使用します。「水をかける」と「かける」がひらがな表記の場合は、実際に水を浴びせるという意味で使われることもありますが、「掛ける」の場合は上述した国語辞書の意味で使用される言葉です。

なお「水掛」(みずがけ)という言葉は「(実際に)水をかける」という意味などになりますので、注意が必要ですね。

「水を掛ける」の語源は?

次に「水を掛ける」の語源を確認しておきましょう。語源は明確ではなく、実際に「水を浴びせて邪魔をする」という行為から「水を掛ける」となったとも考えられますが、「水」と「掛ける」のそれぞれの意味を念のため確認します。

まず「水」についてですが、物質としての「水」の意味に加えて、「勝負が長引いたとき、一時中止させること。」という意味を有しています。つまり「水」という言葉自体に、中止といったニュアンスが含まれているのですね。類義語のところでもご紹介しますが、例えば「水をさす」「水が入る」というように中止・中断といった言葉に「水」が使われることが多いのも頷けます。

次に「掛ける」も非常に様々な意味を持っている言葉ですが、「望ましくないこと、不都合なことなどを他に与える。こうむらせる。負わせる。」という意味がある言葉です。このようにそれぞれ邪魔をするというニュアンスを有する「水」と「掛ける」がくっついて、「不都合なことを与えて邪魔をして中止させる」といった意味の「水を掛ける」になったと思われます。

「水を掛ける」の使い方・例文

「水を掛ける」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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