
その2「金輪際」
「金輪際」は後ろに打消しや否定の表現を伴って打消しや否定を誇張する意味を表します。「煙草なんてもうこんりんざいごめんだね」「いくら謝ったってこんりんざい許してやらないわ」などのように打消しや否定の方言を伴う述語にかかる修飾語として用いられますよ。日常会話で用いられ、かたい文章中には登場しません。話者の強い意志を表明するので、話者が主体的にかかわれない事柄についてはふつう用いません。
そのため「今年の夏は金輪際暑くない」は誤用となり、正しくは「今年の夏は決して暑くない」となります。また、「金輪際」は「絶対」に似ていますが、「絶対」は打消しや否定の事柄についての話者の主観的な確信を暗示し、主体的行為でなくても用いられますよ。ちなみに「嫌という程」との違いは、「金輪際」は怒りのニュアンスが含まれているという点です。
その3「どえらい」
「どえらい」は程度がはなはだしい様子を表します。「今日はどえらい寒さだねえ」「奴は株でどえらく儲けたそうだ」などのように修飾語として用いられ、述語になることはありません。「えらい」の意味を誇張して表現した語ですよ。また、「どえらい」は「えらい」を強調した形の語ですが、「えらい」の賞賛や尊敬に値する様子、社会的地位が高い様子、物事が簡単にはできず、困難な様子の意味を表す用法はありません。なお「嫌という程」との違いは、「どえらい」は不満のニュアンスが含まれていないという点です。
「嫌という程」の対義語は?
「嫌という程」と反対の意味に近い言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。
「もう少し」
「もう少し」は数・量・時間・距離・程度などをさらに少量付け加える様子を表します。述語にかかる修飾語として用いられることが多いですが、述語にもなりますよ。くだけた会話ではしばしば「もすこし」と発音されます。例えば「討論をするにはもうすこし人数が必要だ」は数、「お酒、もうすこしいかが?」は量、「もうすこし待ってみない?」「今三時か、もうすこししたら出かけるぞ」は時間について用いられた場合ですよ。
後者の「もう少ししたら」は慣用的に用いられ、時間が少し経過したらという意味です。「踏切を超えてもうすこし行くと角に銀行がある」「君の家まだなの?もうすこしあるわ」は距離について用いられた場合で、後者の「もう少しある」は慣用的に用いられ、時間や距離がまだかなりあるという意味ですよ。
「もう少し」を使用する際のポイント
また「もうすこしで車にひかれるところだった」は程度の場合です。必ずしも少量の程度を追加するという意味ではなく、程度をよりはなはだしくするという意味で、間投詞的に用いることも多い。また「もう少しで…するところだった」の形で慣用的に用いられ、非常に危険な状態との境界にあったことを安堵の暗示を伴って述べます。
「(故郷にて)昔はもうすこし賑やかだった」は特に程度を限定しない場合で、なくても意味は変わりませんが、「もう少し」をはさむことによって慨嘆のニュアンスがこもりますよ。なお、「もう少し」は「もうちょっと」に似ていますが、「もうちょっと」はとてもくだけた表現になっています。
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