国語言葉の意味

「一人として」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説!

その2「一つとして」

「一つとして」は後ろに打消しの表現を伴ってまったく存在しない様子を表します。「彼は五回も転職したがひとつとして物にならない」「刑事はさまざまな状況証拠を挙げたが、彼が犯人であることを示すものはひとつとしてなかった」などのように打消しの表現を伴う述語にかかる修飾語として用いられますよ。

ややかたい文章語でくだけた会話にはあまり登場しません。対象を個別に吟味した上で、まったく存在しないという判断を下すニュアンスがあります。

「一つとして」を使用するときのポイント

また、「一つとして」は「一つも」に似ていますが、「一つも」はまったく存在しないことを客観的に表し、吟味したかどうかには言及しません

したがって「彼は五回も転職したがひとつとして物にならない」は「営業も経理も企画もみんなだめだ」、「彼は五回も転職したがひとつも物にならない」は「全部だめだ」というニュアンスになります。なお「一人として」との違いは、「一つとして」は物について用いられる表現だという点です。

その3「一つも」

「一つも」は後ろに打消しの表現を伴ってまったく存在しない様子を表しますよ。打消しの表現を伴う述語にかかる修飾語として用いられます。「この留学生の作文には間違いがひとつもない」「ピアノとフルートとギターを習ったが、ひとつも身に付かなかった」が基本的な用法で、具体的に数えられるものが一個も存在しないという意味。「昨日はごめんなさいね。ううん、君はひとっつも悪くないよ」はとてもくだけた表現となり、日常会話中心に用いられ、可能性や程度を誇張的に否定します

「一つも」を使用するときのポイント

「一つも」は「一つとして」や「少しも」に似ていますが、「一つとして」は対象を個別に吟味した上でまったく存在しないという判断を下すニュアンスがありますよ。「少しも」は打消しそのものを強調し用法が広い。したがって「興奮していたせいか一つも寒さを感じなかった」は誤用となり、正しくは「興奮していたせいか少しも寒さを感じなかった」となります。ちなみに「一人として」との違いは、「一つも」は物について用いられる表現だという点ですよ。

「一人として」の対義語は?

「一人として」と反対の意味に近い言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

「皆」

「皆」は全部の人間を表し、ふつうある範囲を定めてその範囲の人間全部という意味になります。例えば「誕生日を祝ってくれてありがとう。みなが幸福であるよう希望します」は昭和天皇誕生日に天皇が国民に向けてした挨拶で、この場合は国民全体を指しますよ。

「僕が発言するのはみんなの意見を聞いてからだ」はその場にいる関係者全員という意味、「このパゴダはクラスのみんなで作った」「(体育の授業)みんな、あつまれー」は該当する生徒全員という意味、「お宅のみなさんはお元気ですか」は相手の家族全員という意味です。「さん」をつけて丁寧形にするときは「皆」は用いません

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