
「天を衝く」の使い方・例文
「天を衝く」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
1.東京に引っ越してきて初めて東京スカイツリーを見に行ったが、頂上が雲に隠れていて、まるで天を衝くかのようだった。
2.相手の作戦を完璧に見破り、公式大会で連勝記録を出したあの選手の人気は今にも天を衝く勢いだ。
3.業界最大手であるわが社の新入社員たちは、入社できたことに誇りを感じており、毎日意気天を衝く顔で出勤してくる。
一つ目の例文は、東京スカイツリーというとてつもない高さの建物に対して天を衝くという比喩を使っています。空に届きそうな建物を見て、物理的な高さによる視覚的な衝撃が大きい様子が伝わる文章です。
一方、二つ目の例文では、連勝記録という成績によって今までになくチームの人気が高まっている様子を表しています。人気は目に見えるようなものではありませんが、「天を衝く」という表現により、その勢いが強調されている文章です。
三つ目の例文では、「天を衝く」から派生した慣用句である「意気天を衝く」という言葉が使われています。希望する会社に入れたことで、新入社員たちの意気込みが非常に高いことがわかる文章です。
「怒髪天を衝く」
「怒髪天を衝く」とは、「怒りの感情が最大まで高まった状態」を指す故事成語です。「故事成語」とは古代中国に由来する教訓やことわざなどを言います。歴史上で実際にあった、ものごとが中国語として大国から伝わり、かつて小国だった日本でも使われるようになったわけです。
「怒髪天を衝く」は「史記―藺相如伝」という歴史書からできた言葉といわれています。その内容は紀元前三世紀、中国が戦国時代であったときのことです。趙という国に藺相如という人物がいました。彼は宝石と領土を交換したいと秦という国の王に交渉します。
しかし、秦の国王はそれに応じようとせずに宝石だけ横取りしようとしたため藺相如の怒りは爆発しました。そして、自分の命がなくなれば宝石にもキズをつけると脅迫したのです。その時の怒り心頭な様子が、冠を貫くほど髪を逆立たせていたということが由来になっています。
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