この記事では「天を衝く」について解説する。

端的に言えば天を衝くの意味は「非常に高くそびえたつ様子」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

長年哲学を学び、難解な言葉が使われる論文や専門書に触れてきた「ネオ」を呼んです。一緒に「天を衝く」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ネオ

哲学や語学に興味があり、数々の難解な書物や論文に触れてきた哲学系ライター。言語の成り立ちを広い視野で研究し、その言葉が使われる意図を明確にすることを目指している。複雑な言葉もわかりやすくかみ砕いて説明していく。

「天を衝く」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「天を衝く」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「天を衝く」の意味は?

「天を衝く」には、次のような意味があります。

1.天に届くほど高い
2.勢いの盛んなこと

出典:デジタル大辞泉(小学館)「天を衝く」

「天(てん)を衝く」とは、物理的な高さが非常に高いこと物事の勢いがとても激しいことを指す表現です。高層ビルやタワーなどの物理的に高い建物に対してはまるで空に届きそうな様子を示す比喩としても使われます。出世や成長などの激しい変化に対して使う際は「天を衝く勢い」などと使うこともある言葉です。

「天を衝く」の語源は?

「天を衝く」の語源に明確なものはありませんでした。

「天を衝く」という表現は、視覚的にそのまま天を衝くほどに高いという比喩から生まれたと考えられます。そこから次第に目に見えなくとも程度が高いものに対して使う表現として変わっていった言葉だといえるでしょう。

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「天を衝く」の使い方・例文

「天を衝く」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.東京に引っ越してきて初めて東京スカイツリーを見に行ったが、頂上が雲に隠れていて、まるで天を衝くかのようだった。
2.相手の作戦を完璧に見破り、公式大会で連勝記録を出したあの選手の人気は今にも天を衝く勢いだ。
3.業界最大手であるわが社の新入社員たちは、入社できたことに誇りを感じており、毎日意気天を衝く顔で出勤してくる。

一つ目の例文は、東京スカイツリーというとてつもない高さの建物に対して天を衝くという比喩を使っています。空に届きそうな建物を見て、物理的な高さによる視覚的な衝撃が大きい様子が伝わる文章です。

一方、二つ目の例文では、連勝記録という成績によって今までになくチームの人気が高まっている様子を表しています。人気は目に見えるようなものではありませんが、「天を衝く」という表現により、その勢いが強調されている文章です。

三つ目の例文では、「天を衝く」から派生した慣用句である「意気天を衝く」という言葉が使われています。希望する会社に入れたことで、新入社員たちの意気込みが非常に高いことがわかる文章です。

「天を衝く」の類義語は?違いは?

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「天を衝く」に関連する言葉として「怒髪天を衝く」があります。

「怒髪天を衝く」

「怒髪天を衝く」とは、「怒りの感情が最大まで高まった状態」を指す故事成語です。「故事成語」とは古代中国に由来する教訓やことわざなどを言います。歴史上で実際にあった、ものごとが中国語として大国から伝わり、かつて小国だった日本でも使われるようになったわけです。 

「怒髪天を衝く」は「史記―りんしょうじょ」という歴史書からできた言葉といわれています。その内容は紀元前三世紀、中国が戦国時代であったときのことです。ちょうという国に藺相如という人物がいました。彼は宝石と領土を交換したいと秦という国の王に交渉します。

しかし、秦の国王はそれに応じようとせずに宝石だけ横取りしようとしたため藺相如の怒りは爆発しました。そして、自分の命がなくなれば宝石にもキズをつけると脅迫したのです。その時の怒り心頭な様子が、冠を貫くほど髪を逆立たせていたということが由来になっています。

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「天を衝く」の対義語は?

「天を衝く」の直接的な対義語はありません。

「天を衝く」に含まれる勢いの盛んなことという意味の対義語を考えてみましょう。勢いが盛んなことの反対は勢いが衰えることです。ここでは「天」の対義語である「地」が使われた慣用句「地に落ちる」を紹介します。

「地に落ちる」

地に落ちる」は高みにあったものにが落ちるというところから、人気や勢いのあるものが廃れる最低のレベルまで衰えることを言います。「天を衝く」が勢いがまるで天高くまで上り詰めるようなさまであることと比較すると、「地に落ちる」は勢いが天と真逆の地の底まで落ちるということです。

「天」と「地」が対照的なところも含め、「天を衝く」の対局な意味の言葉としてふさわしいといえるのではないでしょうか。例文で見てみましょう。

動画配信サイトが天を衝く勢いで需要を増している一方で、テレビの需要は地に落ちた。

この文章では、動画配信サイトの出現によって人々の需要が移り、かつては最も需要があったマスメディアであったテレビが廃れてしまった様子がうかがえます。対照的な表現として、「天を衝く」と同じ文中に並べても違和感がないことがわかりますね。

「天を衝く」の英訳は?

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「天を衝く」の持つ「勢いがある」という意味の英語は複数存在します。中でも、「gain momentum」で表すことが多いですが、日が天に昇るという意味の「rising」も似た意味を持った単語です。今回は「天を衝く」という言葉のニュアンスに最も近いといえる英語「most rising」を紹介します。

「most rising」

「most rising」は最大級を表す形容詞「most」と形容詞「rising」という二つの単語から成り立つ言葉です。太陽が天に上るように、勢いの上昇を表すという意味合いから「勢いに乗っている」や「絶好調」という意味になります。「天を衝く」とイメージが似ていますよね。直訳すると、「最も上昇している」という意味です。例で確認しましょう。

\次のページで「「天を衝く」を使いこなそう」を解説!/

 He is the most rising artist today and climbed to the top of the ranking.

(彼は現在、天を衝く勢いのあるアーティストで、ランキング上位に上り詰めた。)

「天を衝く」を使いこなそう

この記事では「天を衝く」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「天を衝く」は、「天に届くほど高い様子」や「勢いの盛んなこと」という意味です。目に見えない勢いや調子などを表すことが多いですが、物理的に高い建物などをあらわすときにも使うことがあります。何か通常では手に届かないほど凄い勢いものに対して使うことで、よりその迫力が強調されるのでおすすめです。

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国語言葉の意味

【慣用句】「天を衝く」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「天を衝く」について解説する。

端的に言えば天を衝くの意味は「非常に高くそびえたつ様子」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

長年哲学を学び、難解な言葉が使われる論文や専門書に触れてきた「ネオ」を呼んです。一緒に「天を衝く」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ネオ

哲学や語学に興味があり、数々の難解な書物や論文に触れてきた哲学系ライター。言語の成り立ちを広い視野で研究し、その言葉が使われる意図を明確にすることを目指している。複雑な言葉もわかりやすくかみ砕いて説明していく。

「天を衝く」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「天を衝く」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「天を衝く」の意味は?

「天を衝く」には、次のような意味があります。

1.天に届くほど高い
2.勢いの盛んなこと

出典:デジタル大辞泉(小学館)「天を衝く」

「天(てん)を衝く」とは、物理的な高さが非常に高いこと物事の勢いがとても激しいことを指す表現です。高層ビルやタワーなどの物理的に高い建物に対してはまるで空に届きそうな様子を示す比喩としても使われます。出世や成長などの激しい変化に対して使う際は「天を衝く勢い」などと使うこともある言葉です。

「天を衝く」の語源は?

「天を衝く」の語源に明確なものはありませんでした。

「天を衝く」という表現は、視覚的にそのまま天を衝くほどに高いという比喩から生まれたと考えられます。そこから次第に目に見えなくとも程度が高いものに対して使う表現として変わっていった言葉だといえるでしょう。

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