この記事では「犬の糞」について解説する。

端的に言えば犬の糞の意味は「軽蔑すべきもの、ありふれたもの」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

長年哲学を学び、難解な言葉が使われる論文や専門書に触れてきた「ネオ」を呼んです。一緒に「血走る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ネオ

哲学や語学に興味があり、数々の難解な書物や論文に触れてきた哲学系ライター。言語の成り立ちを広い視野で研究し、その言葉が使われる意図を明確にすることを目指している。複雑な言葉もわかりやすくかみ砕いて説明していく。

「犬の糞」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「犬の糞」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「犬の糞」の意味は?

「犬の糞」には、次のような意味があります。

1.汚いものや軽蔑(けいべつ)すべきもの

2.  数多くあるものをたとえていう言葉

出典:イミダス(集英社)「犬の糞」

「犬の糞(いぬのくそ)」とは、汚いものや軽蔑(けいべつ)すべきものを指す慣用句。役に立たないものや必要のないものに対しても使います。道端に落ちている犬のフンのように使い道がなく、どこにでもあるということを示す表現です。

動物の排泄物(うんち)に例えることで、対象を見下したような下品に罵倒する表現としても受け取れます。実際のコミュニケーションで使う可能性があるとしたら注意して使いたい表現です。

「犬の糞」の語源は?

次に「犬の糞」の語源を確認しておきましょう。

「犬の糞」というと犬の飼い主がペットを散歩させるときにマナーを守らず放置したりしてよく問題になっていますね。現代でもあらゆる場所に落ちている「犬の糞」。しかし、飼い犬のこうした環境に対する被害は江戸時代にはすでに起こっていたのです。

江戸時代に「伊勢屋稲荷に犬の糞」という言葉ができました。これは、どこにでもあるものという意味で使われます。当時、伊勢から多くの商人が江戸に来ましたが、治安の悪化を危惧して犬を飼う人が多かったそうです。そして、江戸の町は犬の糞でいっぱいになりました。

現代のように市役所や条例といった機能も整っていないので、江戸の町はかなり不衛生だったことでしょう。こうして、「犬の糞」はありふれたものや軽蔑すべきものの代表例として人々に認知されていったと考えられます。

\次のページで「「犬の糞」の使い方・例文」を解説!/

「犬の糞」の使い方・例文

「犬の糞」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.この学校は基本的にどこも清潔で綺麗だが、一階のトイレだけとても古くて汚れている。みんな近づこうとせず、犬の糞扱いだ。

2.先日購入したエアコンは、かなり高価だったというのに水漏れや変な匂いがして使えない。真夏だが、犬の糞ほどの価値もない。

3.毎日部屋の中にはコバエが何匹も飛んでくる。何度潰してもきりがなく、まるで犬の糞のようだ。

一つ目の例文は、ほかの場所と比べて一階のトイレのみが汚いことで、腫物扱いのようになっていることがうかがえます。ここでの「犬の糞」はありふれたものを指しているのではなく、一部の欠点を軽蔑すべきものとして見なしている表現といえるでしょう。

一方、二つ目の例文では、高価だったエアコンが夏場に使い物にならなかったという怒りが読み取れます。役に立たないものということを強調し、さらに皮肉が込められた表現が「犬の糞ほどの価値もない」です。

三つ目の例文は、コバエが大量に毎日飛んでくることから、単純に数や頻度としてありふれたものという意味で「犬の糞」が使われていると考えられます。

「犬の糞」の類義語は?違いは?

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「犬の糞」に関連する言葉として「犬の糞で敵を討つ」、「犬の糞も焼味噌も一つ」、「闇がりの犬の糞」があります。それぞれ「犬の糞」が使われている言葉です。ただし、各々が持つ意味は異なります。

その1「犬の糞で敵を討つ」

「犬の糞で敵を討つ」とはきわめて卑劣な手段で相手に復讐をすることのたとえです。

犬の糞という汚いものが汚い手段の比喩としてできた表現となっています。

\次のページで「その2「犬の糞も焼味噌も一つ」」を解説!/

その2「犬の糞も焼味噌も一つ」

「犬の糞も焼味噌も一つ」は「物事の良し悪しを混同させるさま」を表します。

犬の糞は軽蔑されるものですが、見た目的には味噌と区別がつかないこともあるでしょう。味噌は昔から、保存がきく食べ物として日本では重宝されてきました。このことから、「外見が似ていれば、それが良いか悪いかは関係なく扱う」という意味の言葉となったわけです。

その3「闇がりの犬の糞」

「闇がりの犬の糞」とは、「人の気付かない失敗は知らないふりをする」という意味です。

昔の日本における夜は街灯もなく非常に暗かったため、暗がりにある犬の糞に気づくことが難しかったと考えられます。結果的に犬の糞を踏んでしまっても気が付かないこともあるでしょう。このようなことから、「人の気付かない失敗は知らないふりをする」という意味になったといわれています。

「犬の糞」の対義語は?

「犬の糞」の直接的な対義語はありません。

「犬の糞」の持つ「ありふれたもの」や「不要なもの」という意味の対義語を考えてみましょう。それは、「なかなかないもの」であり「優れたもの」のことです。ここでは、珍しいものや優れたものという意味の「稀有」を紹介します。

「稀有」

稀有」とはその漢字の通り、稀に有るものということからできた言葉です。

「稀に見る」などという言葉もありますが、稀にしか見れないということから「珍しい」という意味として使われます。優れた人物やモノに対して、称賛する時に「稀有な存在」などと使うこともある言葉です。なかなかいないほどに優れて目立っている存在であることを示しています。

「犬の糞」の英訳は?

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「犬の糞」の英語の直訳は「dog's waste」で表すことができます。しかし、日本語のように幅広い場面で用いるには「waste」のほうが適しているでしょう。

「waste」

waste」は、動詞、名詞、形容詞など様々な使い方ができる単語です。名詞では浪費、無駄、消耗、衰弱、廃棄物、廃石、くずといった意味を持ちます。また、「〇〇's waste」で〇〇の排泄物という意味です。

waste」のみで使うと「役に立たないもの」、「汚いもの」などに当たるため非常に日本語の「犬の糞」に近い意味として使えます。例で確認しましょう。

\次のページで「「犬の糞」を使いこなそう」を解説!/

The site is free, but the list of menus doesn't display well. Even if you search for a registration method, you cannot use your time effectively and it will be a waste.

(そのサイトは無料だが、メニューの一覧がうまく表示されない。登録方法を検索しても時間を有効に使えず無駄にするだけだ。)

「犬の糞」を使いこなそう

この記事では「犬の糞」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「犬の糞」は、「汚いものや軽蔑(けいべつ)すべきもの」に対して使う言葉です。糞とつくことから汚いものや価値のないものに使われることが多いですが、単に「多くのありふれたもの」を示すときにも使うことがあります。

「犬の糞」はあまり上品に聞こえる言葉ではないので、人前で使う人は最近だと少ないでしょう。軽蔑や見下すような意味合いも含まれているので、セリフや文章などで目にする以外では使い道を選ぶ表現ですね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「犬の糞」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「犬の糞」について解説する。

端的に言えば犬の糞の意味は「軽蔑すべきもの、ありふれたもの」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

長年哲学を学び、難解な言葉が使われる論文や専門書に触れてきた「ネオ」を呼んです。一緒に「血走る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ネオ

哲学や語学に興味があり、数々の難解な書物や論文に触れてきた哲学系ライター。言語の成り立ちを広い視野で研究し、その言葉が使われる意図を明確にすることを目指している。複雑な言葉もわかりやすくかみ砕いて説明していく。

「犬の糞」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「犬の糞」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「犬の糞」の意味は?

「犬の糞」には、次のような意味があります。

1.汚いものや軽蔑(けいべつ)すべきもの

2.  数多くあるものをたとえていう言葉

出典:イミダス(集英社)「犬の糞」

「犬の糞(いぬのくそ)」とは、汚いものや軽蔑(けいべつ)すべきものを指す慣用句。役に立たないものや必要のないものに対しても使います。道端に落ちている犬のフンのように使い道がなく、どこにでもあるということを示す表現です。

動物の排泄物(うんち)に例えることで、対象を見下したような下品に罵倒する表現としても受け取れます。実際のコミュニケーションで使う可能性があるとしたら注意して使いたい表現です。

「犬の糞」の語源は?

次に「犬の糞」の語源を確認しておきましょう。

「犬の糞」というと犬の飼い主がペットを散歩させるときにマナーを守らず放置したりしてよく問題になっていますね。現代でもあらゆる場所に落ちている「犬の糞」。しかし、飼い犬のこうした環境に対する被害は江戸時代にはすでに起こっていたのです。

江戸時代に「伊勢屋稲荷に犬の糞」という言葉ができました。これは、どこにでもあるものという意味で使われます。当時、伊勢から多くの商人が江戸に来ましたが、治安の悪化を危惧して犬を飼う人が多かったそうです。そして、江戸の町は犬の糞でいっぱいになりました。

現代のように市役所や条例といった機能も整っていないので、江戸の町はかなり不衛生だったことでしょう。こうして、「犬の糞」はありふれたものや軽蔑すべきものの代表例として人々に認知されていったと考えられます。

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