この記事では「腰を据える」について解説する。

端的に言えば腰を据えるの意味は「落ち着いて物事に取り組むさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

幼少期から様々な分野の本を読み続け、知識を深めてきた川瀬を呼んです。一緒に「腰を据える」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/川瀬

幼少期から多種多様な本を与えられて育ち、分からない言葉があれば辞書で引く癖がついていた。本を読む度に、細やかで表現力豊かな美しい日本語に魅了される。これまでの読書量を活かし、丁寧に言葉の意味を解説していく。

「腰を据える」の意味や語源・使い方まとめ

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日常会話でもよく耳にする「腰を据える」という言葉の意味をご存じでしょうか?何となく、どっしりとしたイメージを感じる言葉ですが、正確な意味を知っている方は少ないと感じます。では早速「腰を据える」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「腰を据える」の意味は?

「腰を据える」には、次のような意味があります。

1.腰を下げて構える。腰の重心を低くする。
2.落ち着いて事に当たる。腰を落ち着ける。「—・えて研究に当たる」
3.ある場所に落ち着く。腰を落ち着ける。「転勤先に—・える」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「腰を据える」

「腰を据える」は「こしをすえる」と読みます。読み方が少し難しいため、平仮名で表記される事もあるようです。「腰を据える」の意味は、3つあります。

1つ目は、「腰を下げて構える。腰の重心を低くする」という意味で、腰の重心を低くすることで、安定した態勢を保つという意味合いです。2つ目は、「落ち着いて事に当たる。腰を落ち着ける」という意味で、精神的に落ち着いている事を意味します。3つ目は、「ある場所に落ち着く。腰を落ち着ける」という意味で、場所が安定していて「どっしり」しているという意味です。

「腰を据える」の語源は?

次に「腰を据える」の語源を確認しておきましょう。この記事の見出しにもあるように、「腰を据える」は慣用句であり、元々は腰を下ろし、重心を低くすることで体勢を保っているようすを表していました。「腰」という字は、「要」とはいっているように、人が動く時の中心になる部位です。「据える」は、「動かないように置く」という意味があります。

そこで、「腰を下ろし、重心を低くすることで体勢を保つさま」という意味から、現代では「落ち着いて事に当たる」「ある場所に落ち着く」といった意味に派生したと考えられるでしょう。

\次のページで「「腰を据える」の使い方・例文」を解説!/

「腰を据える」の使い方・例文

「腰を据える」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.現代では、1つの職場に腰を据えて働く若い人も減ってきている。
2.しばらくの間、腰を据えて受験勉強に集中しよう。
3.今まで、色んなところへ旅行に行っていたが、ここが凄く気に入ったので腰を据えて住むことにしました。

これらの例文について、詳しく見ていきましょう。例文1は、「ある場所に落ち着く」という意味での、「腰を据える」です。「腰を据えて働く若い人も減っている」とすると、その職場でずっと働く若い人も減っているという意味の文章になるでしょう。

例文2は、「落ち着いて事にあたる」という意味での「腰を据える」です。受験が近くなってきたため、集中したい気持ちを表した文章になるでしょう。

例文3も、「ある場所に落ち着く」という意味での、「腰を据える」です。色んなとこに旅行に行っていた中で、気に入った場所がありその場所に住むことにしたのでしょう。

「腰を据える」の類義語は?違いは?

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「腰を据える」には、「ある場所に落ち着く。腰を落ち着ける」「落ち着いて事に当たる。腰を落ち着ける」「腰を下げて構える。腰の重心を低くする」の3つの意味がありました。そんな「腰を据える」の、類義語について見ていきましょう。

その1「身が入る」

「腰を据える」の類義語には、「身が入る」が挙げられます。「身が入る」は、「一所懸命になる。 熱中する。 実が入る」という意味です。「落ち着いて事に当たる。腰を落ち着ける」という意味での「腰を据える」の類義語に当たります。集中したり、一生懸命になるという意味では、言い換え語として使う事も出来るでしょう。

\次のページで「その2「根を下ろす」」を解説!/

・失恋で悩んでいた彼だが、悩みが解決したのか、前よりも一層仕事に身が入っているようだ。

・初の甲子園という事もあり、部員たちは練習に身が入っているようだ。

・隣人が友達を家に招いているのか、物音が気になって勉強に身が入らない。

その2「根を下ろす」

「根を下ろす」は「ねをおろす」と読み、「草木がしっかりと根を生やす。転じて、しっかりと位置を占める。定着する」という意味です。「腰を据える」の「ある場所に落ち着く。腰を落ち着ける」という意味で、類義語にあたるでしょう。

・ケンさんは旅行がきっかけで、スペインに根を下ろす。

・自分は恋人が住んでいる街に根を下ろす事を決めた。

・子供達の活動は、たくさんの努力の成果が出て、すっかり地域に根を下ろしたのです。

その3「根が生える」

「根が生える」は「ねがはえる」と読み、「その場所から動かなくなる」という意味です。「腰を据える」の「ある場所に落ち着く。腰を落ち着ける」という意味の類義語にあたります。「根が生える」を使う際には、「根が生えたようにずっと立ってるね」「根が生えたかのように動かないです」など、まるで根が生えたかのように、その場にじっとしている事を表現する際に使いましょう。

・お父さんは根が生えたように、微動だにしませんでした。

・大きな地震が起きてもいいように、本棚も椅子も、床に根が生えたようにしっかりしたものに買い替えました。

・早くここから逃げなければいけないのに、足は根が生えたように動かなかったのです。

「腰を据える」の対義語は?

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次に、「腰を据える」の対義語についても見ていきましょう。

\次のページで「「散漫」」を解説!/

「散漫」

「腰を据える」の、「落ち着いて事に当たる」という意味での、対義語には「散漫」が挙げられます。「散漫」は「さんまん」と読み、「気持や考えが集中せず、とりとめのないさま」という意味です。落ち着いて事に当たるという意味での、「腰を据える」は何かの物事に集中している場合に使われます。これらの事から、「散漫」が対義語だと言えるでしょう。

・彼女は集中力散漫のせいで、よく先生に怒られている。

・歩きスマホは注意力散漫になるせいで、事故に繋がる。

・相手は注意力散漫なので、本を最後まで読んだことがないという。

「腰を据える」を使いこなそう

この記事では「腰を据える」の意味・使い方・類語などを説明しました。「腰を据える」は「こしをすえる」と読み、「腰を下げて構える。腰の重心を低くする」、「落ち着いて事に当たる。腰を落ち着ける」、「ある場所に落ち着く。腰を落ち着ける」という3つの意味があります。現代では、「腰を下げて構える」という意味で使われる事は少なく、何かにじっくり取り組んだり、1つの場所に落ち着いたりすることを表現したい時に使われる事が多いです。日常生活の中で、使える場面がくれば、是非活用してみてください。

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【慣用句】「腰を据える」の意味や使い方は?例文や類語を読書家Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「腰を据える」について解説する。

端的に言えば腰を据えるの意味は「落ち着いて物事に取り組むさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

幼少期から様々な分野の本を読み続け、知識を深めてきた川瀬を呼んです。一緒に「腰を据える」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/川瀬

幼少期から多種多様な本を与えられて育ち、分からない言葉があれば辞書で引く癖がついていた。本を読む度に、細やかで表現力豊かな美しい日本語に魅了される。これまでの読書量を活かし、丁寧に言葉の意味を解説していく。

「腰を据える」の意味や語源・使い方まとめ

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日常会話でもよく耳にする「腰を据える」という言葉の意味をご存じでしょうか?何となく、どっしりとしたイメージを感じる言葉ですが、正確な意味を知っている方は少ないと感じます。では早速「腰を据える」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「腰を据える」の意味は?

「腰を据える」には、次のような意味があります。

1.腰を下げて構える。腰の重心を低くする。
2.落ち着いて事に当たる。腰を落ち着ける。「—・えて研究に当たる」
3.ある場所に落ち着く。腰を落ち着ける。「転勤先に—・える」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「腰を据える」

「腰を据える」は「こしをすえる」と読みます。読み方が少し難しいため、平仮名で表記される事もあるようです。「腰を据える」の意味は、3つあります。

1つ目は、「腰を下げて構える。腰の重心を低くする」という意味で、腰の重心を低くすることで、安定した態勢を保つという意味合いです。2つ目は、「落ち着いて事に当たる。腰を落ち着ける」という意味で、精神的に落ち着いている事を意味します。3つ目は、「ある場所に落ち着く。腰を落ち着ける」という意味で、場所が安定していて「どっしり」しているという意味です。

「腰を据える」の語源は?

次に「腰を据える」の語源を確認しておきましょう。この記事の見出しにもあるように、「腰を据える」は慣用句であり、元々は腰を下ろし、重心を低くすることで体勢を保っているようすを表していました。「腰」という字は、「要」とはいっているように、人が動く時の中心になる部位です。「据える」は、「動かないように置く」という意味があります。

そこで、「腰を下ろし、重心を低くすることで体勢を保つさま」という意味から、現代では「落ち着いて事に当たる」「ある場所に落ち着く」といった意味に派生したと考えられるでしょう。

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